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企業は人なり
“企業は人なり”とは、言い古された言葉ですが、この週末、そのことを痛感させられる経験をしました。

関西の中堅美容サロンのスタッフ20名弱を対象にCRMのレクチャーをやらせていただいた時のことです。ブランディングおよびCRMの確立を目指すプロジェクトの中での一環で、私がCRMの基本的考え方と事例をお話させていただきました。土曜日の営業終了後の時間帯(みなさん、いつもそうして集まっておられるそうです)から、22時を回る時間まで息つく暇もない熱いディスカッションが繰り広げられました。

店長、副店長はむろん現場でのスタイリストを兼ねていますが、営業部長やマネージャーの方々も現役で現場業務をこなしながらの重責でいらっしゃいます。そんな、彼ら彼女らの年齢が若いこともありますが、とにかく全員が元気がよくて向学心に溢れていることに圧倒されました。さらに、オーナーのポリシーがしっかりされていることと基本的教育が行き届いておられることから、皆さんとても礼儀正しく、教えている私の方が、逆にいろんなことを教えられました。

20代の若者達のパワーに負けないよう、私も大きな声で挨拶して、しっかりと講義させていただきました。皆さんも多大な刺激を受けられたようで、日本初の、もしくは日本一のプログラムやメニューを開発するんだと張り切っておられました。いやはや、頼もしい限りですね。

この年齢になってそのような若い人々の中に入っても、元気と挨拶には負けないでいられる自分のルーツは、前職の新入社員時代に各種研修やOJTに鍛え上げられたことにあると改めて感謝しています。その会社は、十年以上も定期新卒の採用をしていなかったのですが、今春は久々に新卒をある程度の人数採用すると風の便りに耳にしました。

しばらく社内で聞かれることのなかった若い社員によるとりあえず大声の挨拶が飛び交う光景が復活すればいいなと願っています。元気と礼儀と大きな声での挨拶。ごく当たり前のことですが、これがどれほどの好影響を周りの人々に与えることか。受講者の皆さんから伝わってくる人間力と組織力に、当該サロンの輝かしい未来の予感を感じさせられたのでした。

雪の降りしきる中、終電で帰路につく私の心はとてもさわやかでした。
 2008/02/25 12:54  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
何が何?
今週、某社にて産業財産権のミニセミナーを開催します。

 産業財産権は法律では、「特許」「実用新案」「商標」「意匠」「著作物」「商号」などと定義されていますが、デザインや企画に携わる多くの現場の皆さんには、自分たちの業務を取り巻く様々な事象の中で、何が何に相当するのか、実はあまりよくわかっていないというのが実情のようです。

 我々は日常的には、「社名」「ブランド名」「ショップ名」「デザイン(洋服全体のシルエットからディテール、色、柄、ワンポイントにいたるまで様々な意味で使われます)」などの言葉を用いて業務上の対象を認識しています。ところが、それぞれが法律上の何にあたり、どんな認識や注意が必要なのかを理解していないと他人の権利を侵害したり、自らの権利の正当性を主張できなかったりということが起こります。

 法律には、「実体」と「手続き」が定められています。実体法と手続法という分類です。実体とは権利の中身と権利の主体、守られるべきもの(法益)などが定義されています。手続法では、行政上の手続きや法的効果を発生させるための手順が定められています。

 たとえば、特許庁に商標を登録すると「商標権」が発生します。商標権は登録権利者に対して「排他的使用権」と「禁止権」と「損害賠償権(民法も加わります)」を付与するものです。したがって、「財産権」と「差し止め請求権」を規定している法律ということができます。

 裁判員制度の導入を前に、日常的ではない法律用語を平易に表現していく動きもあるようです。とはいえ、プロとしては、自分たちが携わっている業務にまつわるルール、すなわち関連諸法を知らないでは済まされないという自覚を持つべきです。ストライクを三つとられてもまだバッターボックスに突っ立っている打者がいたとしたら、それはプロとは言えませんよね。

 法律とは社会的関係性の中で権利と義務を定めたものです。そこでは権利の中身と権利の主体者、および権利の実現方法とそれらの裏返しとしての義務が規定されています。

 平たく言うと、やっていいこと、やれること、してはならないことのルールブックが法律です。繰り返します。ルールを知らないままスポーツをプレーすることは滅多にない我々なのに、専門的に従事している業務にもかかわらず、実はルールをよくわかっていないというのが正直なところではないでしょうか?

ちょっとみんなで胸に手を当ててみませんか?
 2008/02/19 13:22  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)
産業財産権
 昨日、とあるクライアントとの議論で、コンペティターのメーカーの売れ筋のアイテムの同様素材の同じアイテムを製造することの是非がテーマになりました。

いわゆるデッドコピー(先行商品の全くの模倣)は不正競争防止法に引っかかる可能性が大ですが、下記の趣旨のお話を差し上げたところ、トップも納得しておられました。

 デッドコピーは法的にも商道徳的にも許されるものではありませんが、市場の売れ筋から消費者から支持されるキーワードを読み取って(もしくは先取りして)、それを自社の技術と世界観で再現することは、ある意味ファッション業界におけるモノ作りの本質であって、必要以上に苛まれることはありません、と。

 ただ、市場やサイト上に露出した自社オリジナル商品がいとも簡単にパクられてきた経緯に辟易してこられたご当人としてはセンシティブになっておられるのだろうと想像いたしました。

 はたして、表題の産業財産権について正しい認識と運用ができているアパレル企業と関連業務の従事者はいかほどいらっしゃるでしょうか?

 模倣は人類にとって学習の源泉にほかならないのですが、ビジネスの場面ではルールの遵守と倫理観の維持が重要となります。わが国を含めて、今では先進国と呼ばれている各国もその歴史の過程ではルールと倫理よりも経済成長が優先してきた結果として今があるという事実は否定することができません。世界に目を向ければ国レベルで、わが国の業界内でも企業や人レベルで、それぞれの進化のステージは偏在しています。にもかかわらず、我々は国境を越えて同時代の同じ時間を共有せざるを得ないのです。

 古くは「工業所有権」と称されていた表題の「産業財産権」には、“特許権”“実用新案権”“商標権”“意匠権”が含まれています。また、それらに“著作権”を加えて「知的財産権」とも呼ばれたりします。知的財産権としてはそれら五つの権利ではカバーしきれない様々な無形資産が“不正競争防止法”によって保護されることになります。「無体財産権」とも総称される場合があるのはそういう意味です。

 知的財産権の議論を少し深めることで、法務全般にわたる基本的フレームワークとそれをビジネスの場面にどう適用していくかのセンスを広範に共有することができます。しばらく知的財産権にまつわるお話を続けてまいります。
 2008/02/14 23:17  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
ヘリコプタービュー
 発想や議論が行き詰ったときに、「ヘリコプタービュー」を持つと創造的解にたどりつけることがあります。

 新入社員のころ、ボスからよく“お前は、ミミズか!!”と叱られました。なぜミミズかと言うと、地べたを這い回って、壁にぶつかると適当に向きを変えて、また壁にぶるかるとさらに適当に向きを変えて、穴があったらそこに落ちるし、全くもって目的地に近づいていないと…。

 当時、紳士系のブランドで偽者が横行しており、それらを扱っている善意ではない業者や人物に対する対応を担当していたときに、よくそうやって怒鳴らたものです。いまでこそ、知的財産権の事件で警察が動いてくれる世の中になりましたが、当時は単なる民事という扱い
で警察はまったく関与してくれない時代で、民間企業の一新人が四苦八苦して対応していたのでした。そんな中で、ああ言えばこう言うの海千山千の猛者を相手に会社としての成果を出せない私をミミズに例えて、ボスは指導してくれていたのでした。

 ヘリコプタービューとは、平面しか見えていなくて向かうべき方向や壁の乗り越え方がわからなくなったときにはヘリコプターに乗って上空に上がれば周囲が俯瞰できて、自分がいる場所とどこに向かえばゴールに近づくのかが見えてくるという意味で、ミミズと叱られてからおおよそ10年後に中期経営計画の策定をサポートしていただいたコンサルタントの方から教わったものです。10年の歳月を経てようやくミミズの意味がわかった私でした。

 その昔、ランズボローメイズという巨大迷路がパッと出てきて一瞬のうちに消え去りましたが、あれはまさにミミズ的疑似体験ををアミューズメントとして提供する施設だったのですが、人間にとって決して快適なものではないことから廃れるのも早かったのでしょうか?

 さて、巷では中国産の食の安全性が大きな問題になっていますが、今朝の朝刊のコラムで極めて冷静な議論に触れることができました。今の日本の立ち位置とレベルから一方的に中国を語るのではなく、我々にも昭和があったことを思い出すべきという趣旨のお話しでした。昭和の高度成長期には多くの食害、公害がごく当たり前のように頻発していて、それらを糧にして一定の年月を経て社会的に進化してきたという歴史がわが国に限らずすべての国において共通なのは周知のとおりです。

 中国は今年がオリンピックで再来年が万博ですから、昭和39年と昭和45年を今まさに二年間で走りぬけようとしているのです。時間軸と地理軸を大きく引っ張ってみて、一度ヘリコプタービューに立ってみると、今起こっている事件も少し違った見え方になるかもしれませんね。

 2008/02/05 18:22  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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