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科学って何?
科学に必要な要件は次の二つです。

 1)再現性があること
 2)反証可能性が示されていること

 1)は、同じ条件下では同じ現象が相違なく繰り返されるという意味で、2)は、“それはおかしいのでは?”、と突っ込みを入れたい人に対して、反対証明ができるプロセスや条件が示されている必要があるという意味です。

 時々、そうではない現象や結果が起こるという状況や、つべこべ言わずに結論はこれという態度は科学とは認められないということです。

 アパレル業界の業務の場面においては、前者の状況は日常茶飯事ですし、後者のような態度をとる上長者の存在は枚挙に暇がありません。

 であれば、アパレルを取り巻く業務、とりわけMDを科学にしてやろうと強く思ったのでした。

 ちょうどそのころ京都で勢いのあったアパレル企業が全国紙の全面広告でまさに、“アパレルを科学する”と謳い、“われわれはアメリカンフットボール型の合理性とチームワークに基づく業務に邁進する”とぶち上げました。

 その会社は、残念ながら数年前に自己破産宣告をするにいたりました。掛け声は十二分だったのですが、実際は科学することができなかったのでしょう。

 他社が公の場で宣言してしまったので、深く静かにアパレルを科学することへの挑戦を始めたのでした。
 2007/11/28 23:24  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)
アパレルを科学することとの出会い
 アパレル企業でSPA事業の開発と進展を間近で経験させていただいた私は、POSによって蓄積されるデータをどう分析して何に活かすのかを考え始めていました。

 神戸大学のMBAの講義では多くの学びがありましたが、もっとも印象に残ったもののひとつが、その後甲南大学に転進された得津一郎先生の統計学でした。

 もともと、大学受験直前までは理系だったのに、二次試験(共通一次の最初の年の受験生です)が現国と英語だけなので何とかなりそうという安易な理由で法学部に進学した私なので、得津先生の講義を聞いて、本来の血がメラメラと騒ぎはじめました。

 ちょうど、経営学の分野で統計的処理を駆使した論文が流行っていた頃です(学問の世界にも論文や研究の方法論やアプローチにあたかもファッションのように流行り廃りがあるのです)。

 得津先生の、何のアンチョコも見ることなく横5メートルはあろうかという黒板に、高性能のタイプライターが等速でひたすら印字していくかのように、見事にびっしりと数式を埋めていかれる光景に鳥肌が立ったのを覚えています。

 現在も甲南大学のHP上で、計量経済学は「いいかげん」な学問?という表題で面白いコメントを述べておられる先生ですが、当時もっとも印象に残ったご発言は次のような趣旨のものでした。

 そもそも科学たる学問の分野で、経営学が多用するケースの記述は、サンプリングの普遍性の乏しさや、そこから導かれる説明の厳密性の欠如という意味で、まったくもって認めがたいというのが持論でいらっしゃいまいた。

 ところが、n=1でも立派な説得力を有する記述もあるものだと得津先生をうならせたのが、MBAの先輩の加茂英司氏(現在は大阪学院大学の先生です)の著作「社会人大学院サクセスガイド」(94/3刊)でした。

 “科学って、面白れぇ!!!”その後の私の業務に多大な影響を与えた出発点となりました。
 2007/11/26 18:47  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)
最後まで波乱
 古い建物の多い大学のキャンパスは、あの揺れでは絶対に壊れていると思わざるを得ませんでした。ところが、あに図らんや少なくとも経営学部の校舎は、築数十年と見られる石造りの建物も含めて一棟たりともびくともしていませんでした。

 人々を受け入れる箱は健在なのですが、肝心の先生方や私たち学生の生活と交通手段が大変な状況下で、震災後一ヶ月も経過していない2月13日に修士論文の審査会が行われたのでした。

 最後の追い上げ時期に地震に見舞われたことなど、論文の出来に対する言い訳になろうはずもないと覚悟していたのですが、審査会でのもっぱらの話題は、互いの被害状況の確認や一ヶ月弱の被災者生活に対するねぎらいなどで終始し、肝心の論文に対する厳しい突っ込みはないまま無事終了しました。先輩に聞いても、後輩に聞いても、修論審査会は心臓バクバクものと聞くのですが、私たちの代はかなり特別な年だったようです。

 加護野ゼミの仲間全員が無事MBA取得ということで、3月19日〜21日にかけて韓国に卒業旅行に出かけました。二日目の20日の朝、ホテルのTVに東京からのとんでもない映像が飛び込んで来ました。結果的にはカルト的宗教集団の手による愚行だったのですが、その時点では国際的テロなのか、はたまた戦争の始まりなのか、まったく情報がありませんでした。

 当日、板門店(38度線上にある非武装地帯の唯一の対話の場所)ツアーを予定していた私たちに緊張が走りました。危機管理の観点からすれば中止する勇気云々という議論もあるところです。

 果たして、加護野先生の「そんなもん、行ってみな、わからへんやん」の一言で予定通りツアーを決行しました。普通に帰ってこられましたが、南側の微動だにしない若い兵士と北側の眼光鋭い兵士に囲まれて装甲車が行きかう中での観光は忘れられない思い出となりました。

 同時に偉大なる経営学者とは、類まれな好奇心と人並み外れた肝っ玉を持っているということをMBAカリキュラムの仕上げとして教わることができました。
 2007/11/20 09:01  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
阪神大震災
1995年1月17日(火)午前5時46分52秒

 確か、早朝の6時頃に目覚ましをセットしてベッドに入った筈だが…

 突然の、地の底から突き上げるような縦の衝撃に、暫くは何が起こっているのか、頭脳レベルではもちろん把握できないまま、かと言って、条件反射的に体が対応するだけの過去における条件の反芻もないような出来事が発生しました。

 当時の文部省が、社会人には一年でMBAを取得させることを試みていた年度の私達は、まさに修士論文の総仕上げの時期にあたっていました。

 二日前の15日に、加護野先生と大学の研究室で論文の仕上げの方向性について打ち合わせを済ませ、17日は、最後の情報収集のために先生と一緒に石川県のセーレンさんに訪問インタビューの出張を計画していました。

 7時半頃に大阪駅発の雷鳥で合流する目論見でしたので、神戸市北区の私は6時ごろ起きてJR三宮から大阪駅に向かう予定でした。

 訳もわからないまま、まず先生のご自宅にTELを入れて、“今日の出張は、なしですよね”と確認を取り、(岡本にご在住の先生の周辺は、実は大変な被害を受けられたのですが、直後には奇跡的に固定電話が通じていました)、続いて、私の実家と妻の実家にTELをして“みんな生きてるし、家も壊れてない”旨を伝えました。

 その後、同じ神戸の北区に住んでいる直属の上司に、“有給休暇扱いのの研究出張は中止になりましたが、今日は会社にも行けないですね。”と連絡できたのを最後に電話は一切通じなくなりました。

 地震発生からおよそ10分程度の間の出来事でした。
 2007/11/17 00:31  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
魚の獲り方
 合格者を対象にしたオリエンテーションの席に私は座っていました。予定通り?加護野先生のゼミ所属になり、先生のお言葉で目から鱗が落ちました。
 
 事務的な連絡事項のあとで、加護野先生がおっしゃられた次の一言です。「経営学の大学院にビジネスで直面する課題に対する答えを求めに来たのであれば、大間違いなので、今すぐにこの場を去るように…。ここには答えなど何もない。」

 一瞬十名強の同窓生は凍りつきました。なかでも、会社派遣でその場にいた数名は
すっかり固まっていました。(93年当時は、ゼミのクラスが十名強で、会社派遣が半分という状況でした)続いて、「ここには、何の答えも存在しないし、教えもしないし、教えられもしない。しかし答えの出し方は責任を持って徹底的に教る…と。」返す言葉を失った一瞬でした。
ずっと、答え(予め存在する正解)探しをしてきた30年強の人生だったのですが、ここには答えはないのか…と。
 
 今では、特にビジネスの基礎スキルの講師のお仕事をやらせていただくときに、中国の故事に由来する次の話をよく引用します。

 空腹のあまり行き倒れている旅人に遭遇した漁師のあなたは、さてどうしますか?
  1)獲った魚を与えて、その場の飢えを解消させる
  2)その場で魚を与えるのではなく、魚の獲り方を教える
  3)さらには、魚を獲るための道具の作り方まで教える
 2007/11/15 23:14  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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