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価値と価格
大事な携行品を忘れて、神戸空港から自宅に引き返した上で、新幹線で東京に入るというアクシデントがありました。

 前日の夜入りのパターンでしたので、神戸空港18:15発の便は、万一のときは新幹線に余裕で振り替え可能という状況で、フェイル・セーフは効いていると考えていたのですが、それが自分の忘れ物で効果を発揮するとは…トホホ。

 自宅までのタクシーのドライバーさんから、「沖縄便ですか?」と聞かれ、いやいやと事情を話すとえらい恐縮してくれましたが、道々いろんなお話しを聞かせてくれました。

 一つ前の羽田からの到着便ではタクシーにのった客はたった一人、当の運転手さんも私を乗せるまで二時間半の待機だったのだそうです。三ノ宮の繁華街もガラガラで、タクシー業界も大変なことになっているそうです。それでも、前の物流センターの仕事に戻るのは嫌なので、のんびりやりますわ、とのこと。

 長い待ち時間のおかげで、下から見上げる各航空機の離着陸の風景にはとても詳しくなっておられるそうで、赤や青は上手に操縦しはるけど、もうひとつのは見ていてヒヤヒヤするのだそうです。

 滑走路ギリギリまで大爆音を轟かせて逆噴射しまくりで、ようやくタキシングのスピードになるそうです。あるときは着陸寸前まで斜めの姿勢で、見ていた仲間みんなと直前まで、オイオイと思っていたそうです。当該航空会社での出張を推奨していない企業もあると聞かされました。

 平時に必要な能力と緊急時のそれは、また異なるものですから、この話しをもってして一方的に何かを決め付けることはできませんが、価格と何かの価値が引き換えになっていることは間違いのない事実です。

 私たちは、価格の「高い安い」の他極に、どうしても「いい悪い」という価値軸を置いてしまいがちですが、顧客にとっての価値はもっと多様なもので、その結果として、その顧客にとってのいい悪いが決まるものだと思います。

 アパレル業界でも、価格破壊は進む一方ですが、上代を下げたり原価を絞ったりする議論の方が先行して、私たちが顧客に提供している価値に対する議論が少し疎かになっているような気がしてなりません。

 消費者は価値を認めたものには、お金を払わない訳ではないのですから。ある社長が言ってました。家族4人で「シルクドソレイユ」を見に行って、一日で食事も含めると5万円ほどの出費だったけど、損をしたり多大な出費をしたという感覚はゼロで、ほどよい充実感が残ったと。

 そんな精神状況とお財布状況の顧客と対峙しなければならないので、イクスピアリの物販は並大抵では勝てないというオチでした。

 2009/07/06 09:38  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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