|
||
コミュニケーションをテーマにした新入社員研修で「メラビアンの法則」が一貫した参照ロジックとして示されました。 1971年、米国の心理学者アルバート・メラビアンが提唱したもので、私達の他人からの情報の受け止め方は、55%が視覚に頼り、35%が聴覚で、7%が言語情報に依存するというものです。 視覚は見た目やボディランゲージが、聴覚は声の大小やトーンが、言語情報はワードそのものが、その構成要素になります。視覚が主に右脳中心に、言語が左脳中心に、聴覚が右脳と左脳の両方に影響を及ぼすと考えることもできます。 ビジネスの場面で、言語情報のみで情報伝達を行う場合に、日々のメールやビジネスレターや報告書などがありますが、たった7%の影響力でしか伝えられないので、細心の注意を払うべしという教えや、その他の聴覚や視覚に訴えるコミュニケーション能力が伴わなければ、せっかくの言語情報が台無しになったり、正反対に捉えられる虞もあるので、視覚や聴覚に働きかけることを決して疎かにしてはいけないという教えに結び付けて、研修を進めてまいりました。 まさに携帯世代の彼らは、どれだけ視覚や聴覚に働きかける能力を持っているのか、興味津々でした。ティーンの息子達の携帯の利用明細で、パケット以外の通話料がチャージされている月はごくまれにしかありません。すなわち、彼らは携帯は持っているが、それを使って話すということはほとんどしない世代なのです。 限られた言語情報を補うために絵文字を駆使したり、女子高生文字が生まれたりしたのだと想像されますが、7%の枠の中で限りなく7%に近づくためのけなげな努力をしているように思えて仕方ありません。 さて、当日の経過と結果はというと…。 三日間のカリキュラムだったのですが、日を追うごとに彼らの聞く姿勢やグループワークに臨む態度、発表の仕方、質問の仕方に正の変化が表われました。 人間として本質的にもっているものは何ら変わりがなく、時代背景に機会やきっかけがなかっただけのことだと強く確信いたしました。つまり、彼らに正しいきっかけと方向付けさえ示してやれば、間違いなく正しく期待する水準まで到達することができるということです。 出展は明らかではありませんが、ファッションビジネスの店頭では次のようなポートフォリオがあると言われています。視覚83%、聴覚11%、触覚3%、臭覚1%、味覚2%。そこからVMDの重要性や、FAの接客態度はもちろんのこと、服装や髪型、お化粧まで手を抜いてはならないという議論に応用されたりします。 いま、アパレル業界に決定的に欠けているのはメラビアンの法則で言うところの7%の言語情報ではないでしょうか?35%と55%の表現テクニックは皆、上手になりました。 でも、大元の7%しかないかもしれませんが、言語情報に相当する“モノ”そのものの価値が陳腐化していては元も子もありません。そのことは、とっくに消費者に見抜かれています。 ユニクロさんの価値の源泉は、その7%の部分にあんこがパンパンに詰まっていて、このたい焼きはお得だよねと思われていることです。 |