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社会人になってようやく住宅ローンが組めるようになったとたんにバブルが崩壊。愚息達に費用のかかる最後の数年を控えて今のありさま。生まれたときから家にテレビと洗濯機と冷蔵庫はあったとはいえ、ほとほと昭和36年生まれは景気動向には縁がない世代と見えます。 さて、経済の世界では、景気動向指数に先行するものと一致するもの、遅行する指標が定義され観察されています。 機関や自治体によって若干の違いはありますが、概ね下記のとおりです。 先行指標:新規求人数 (企業倒産件数) 自動車新規登録台数、新設住宅着工戸数 鉱工業在庫指数 銀行貸出平均残高など 一致指標:鉱工業生産指数 大口電力使用量 輸入通関実績 有効求人倍率 建築着工床面積 大型小売店販売額 所定外労働時間指数など 遅行指標:(雇用保険受給者実人員) 常用雇用指数 法人事業税調定額 貸出約定平均金利 家計消費支出 消費者物価指数など ()は逆相関する指標です。 一喜一憂させられる大型小売店販売額はまさに一致指標なので、皆さんが毎日見て感じておられるとおりです。 我々の業界のブランドやショップの業績は商品企画の良し悪しと在庫コントロールの巧拙が絡んできますので純粋な指標にはならない場合も多いですが、一時期前年割れで大苦戦していたコモディティファッションが機能性を訴求した分かりやすい単品のヒットで盛り返してきたのは07AWあたりからでしたね。 一方で、大型高級車をはじめとする自動車販売が一気に落ち込みましたが、ブレミアムブランドの勢いが徐々にそがれていくとすれば、それは少し遅行して動いていることになりますね。 逆に帽子やストールなどの服飾雑貨はいい動きをしていますし、価格帯は少し下がったようですがブーツに対する需要意欲は相変わらず旺盛なようです。 それらを見ていると、ビジネスで直面する現象には、先行、一致、遅行、逆相関するものと全く影響を受けることがないものの五つがあるということになります。先行指標から今やるべきことを掴み取る。逆相関するものを旨く利用する。遅行するものを諸手を挙げて待ち受けるなど、MDにはそういう技術が必要とされます。 また、ファッショントレンドはそれを構成する諸要素固有の複数のサインカーブの合成変数であるという理論があります。(これについては、別途時間をかけてご紹介していきます) このような変数を操作することがMDだと考えると、感性に依存するクリエイティブな仕事というよりはメカニズムを理解してそれを操作するエンジニアリングという言葉こそMDの本質を言い表しているのではないでしょうか? |