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アパレル業界の旧態依然とした取引慣行が、“最後の暗黒大陸”と言われ、そのことを修士論文の前文に引用したのは、早や14年前のことになります。 最後の暗黒大陸よりもさらに取り残された暗黒大陸だと自嘲気味におっしゃられていた羽毛布団業界のメーカーさんのトップがいらっしゃいましたが、同社は現在民事再生の途上にあります。 さらに、とんでもなく取り残された業界がありました。“宝飾品”の業界です。ご縁があって、ここ何ヶ月か業界の方と議論する機会があるのですが、モノづくりのプロセスにおいて二つの側面でファッション業界とは全く異なる次元のままであることに驚かされます。 第一に、マーケティングやMDという発想が皆無であること。第二に、川上から川下までのサプライチェーンにおけるプレーヤーの多さと各プレーヤーの役割と取引条件の曖昧さです。 第一のポイントは、ダイヤその他の天然石、金、プラチナなどの普遍的価値が高いマテリアルを用いていることにも起因すると思われますが、究極のプロダクトアウト指向が今も主流のようです。顧客やマーケットが求めることよりも、原材料ありきで自分達の技術でできることをやるというスタンスです。 第二の点は、アパレル業界が複雑で多段階にわたる製造および流通のプロセスを、できるだけ合理化しながらギリギリのところで生き残っているのに比べると隔世の感があります。業界で起こったトラブルの例を以下引用することでそのことが理解できるのではないかと思います。 原石を販売する会社が海外国内を問わず多数あるのですが、そこから石を仕入れて加工して卸販売する業者が小規模で運転資金を負担する能力がない場合に、一定の保証金を積むことや信用枠を設定することで石の占有権の移転が簡単に行われるのです。 そこでは、保証金のレバレッジや与信枠の具体的な設定のないまま、いわば“移動伝票”のみ(場合によっては、それすら曖昧)で高価な材料であるダイヤモンドが右から左へといとも簡単に動くのです。その結果、使わなかったり残ったものが一定期間後に戻されて、その差分がそこで初めて納品として扱われる訳ですが、○○使用分と称して高価な石がどんどん流通し続け、保証金と与信枠が積み上がり、気がついたら石とともに担当者が消えていた…という結末です。 想像するに、足元の実際の動きに気が付いていない当該卸販売業者の負担する保証金と与信枠は膨れ上がる一方で、何かの事情を有する担当者は石をどんどん詐称して手元に引いて、市価の半値程度で換金する自転車状態にあったのだろうと。 今でも、その人は業界内で活動しているらしいとのことですが、彼を捕まえて逆さまにしても一銭のお金も出てこないだろうことから、事件として当事者を追及しても仕方がないという結末。 アパレル業界でも、有償無償を問わず支給原材料の管理や仕切り方については、どの会社も管理の強化と改善を努めてきての今があると拝察いたしますが、現在でもグレーな取引条件やトラブルの火種になりかねない曖昧な部分は少なからずあると思われますが、このような事故が起こる可能性はあまりないと言えます。 かかる宝飾業界にも、古き悪しき慣例をぶち壊して新しい秩序を志を有する武士は存在しています。何かのお力になれればと思案を重ねる日々です。 |




