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販売行為の法的分解
店頭でお客様に商品を買っていただく販売行為を法的に分解すると次のようになります。

 1)契約の誘引=お店を構えて商品をディスプレイしている状態
 2)買いたいという意思の伝達=商品をレジに持っていく行為
 3)売りますという意思の伝達=お買い上げありがとうございますという意思表示
 4)上記2)と3)によって売買契約の成立(合意)
 5)契約上の債務履行(売主は商品の引渡し、買主は代金の支払い義務の履行)

 1)〜5)までの行為が一連のものとしてほぼ同時に完了するのが通常ですが、それぞれに時間差が生じたり様々な横道が存在するので実際の販売の場面ではいろんなことが起こります。

 気に入らない客に、「おめぇなんぞに食わせる寿司ぁねぇ!!」と啖呵を切る職人さんがいるように、売主は売らない選択をする自由があります。一般的には上記1)の状態で“売ります”という意思表示も行っていると解釈されますので、アパレルの店頭でお客様が商品を手に取られたあとに、“売りません”というのは現実的ではありません。

 別のお客様のお取り置き商品は、レジ周りの棚やバックストックに避けておくことで間違いが起こらないような工夫をしていますよね。

 ところで、お取り置きとは法的にはどのようなステータスでしょうか?厳密に言うと、売買の予約契約を行っている状態と売買契約は成立しているが債務履行を遅らせながら解約解除権を買主に留保している状態とに分かれます。

 一般に、「ちょっと考えるので置いといて」というケースは前者にあたりますが、高額品なので内金を預かったり、一部入金しておいて次回全額払って持って帰りますなどの場合は後者になることもあります。

 それらのステータスによって、誤って他のお客様に売ってしまったり、紛失したり滅失したりした場合の法的扱いは異なってきます。日常の業務オペレーションの中で何気なく行っているいつもの行為の中にも法的ステータスが曖昧な場面や状況がたくさんあります。

 ノーマルな状況では問題は起こりませんが、イレギュラーなことが発生したりクレーム事案ということになると、そのようなケースでは安易に対応を始めるのではなく、まずは法的ステータスを確定させることから始めなければなりません。
 2008/06/15 10:31  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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