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スピンアウトと法律違反
スピンアウトやスピンオフという言葉には、前向きで肯定的なイメージがありますが、実はいくつかの違法行為と紙一重なのです。

 スピンアウトとは、企業の一部門や、活用されていない研究開発成果、ビジネスアイデア等を切り離し、一企業として独立させ、事業展開を行うことです。そのうち、元の企業とのつながりを保ったまま分離独立するパターンをスピンオフと呼びます。

 元気よく活躍している若い企業には、社内ベンチャー制度をジャンプ台としてスタートした事業も少なくなく、我々の業界では、中堅商社の中でその制度を活用して立ち上がり、雑誌型通販とNET通販を融合させて上場を果たされた企業や買物代行サービスで注目を浴びている運送関係の大手の子会社がありますよね。

 ある企業で、情報システムを担当している取締役が辞任して会社を離れるという事例が発生しました。創業来のメンバーだったのですが、最近の会社の方向性と自分の考えが合わないということで、やむを得ない結論になったようです。

 その企業は、基幹系、情報系ともに優れたシステムに支えられているのですが、いかんせん、ベンチャー故にシステムの要件定義書や業務フロー、システムアーキテクチャーなど、ドキュメントは全く存在しておらず、全てがその取締役の頭の中にあるとのこと…。

 そこそこの規模の中堅企業においても似たような話に遭遇したことがあり、会社にとっては大きなシステムリスクということになります。

 メンバーを誘って出て行くのではないかとか、退任後も暫くはアウトソーサーとして仕事をやらせて欲しいとか、そんな話が飛び交っているのですが、ちょっと注意が必要です。

 取締役には商法上、競合避止義務と忠実義務が厳しく課せられています。本業とは関係のないシステム事業を立ち上げるのであれば前者の問題は発生しませんが、自分の頭の中にしかないシステムを組んでおいて、外に出て、暫くは仕事をもらって、でもそうじゃない場合に備えて次なるクライアントの目処は立てておいて、システム要員を引き抜くとなると忠実義務違反については、かなりグレーになりそうな案件です。

 さらには、背任という犯罪がありまして、それは他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立するもので、状況によっては背任にもなりかねないデリケートな事案となっています。

 会社の中では普通に何気なく業務に就いているのが皆さんの実情かと思われますが、日々発生しうる普通の出来事のすぐ裏っ側に違法行為の危険性が潜んでいることを忘れてはなりません。
 2008/06/09 06:44  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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