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歴史は繰り返す
 私たち人類はどれくらい歴史から学ぶ能力をもっているのだろうか?、あるいはもっていないのだろうか。

 彼の国に対する様々な経済的制裁措置が議論されているが、最後の切り札として石油が検討されているという。ほんの数十年前、ハルノートにより無理難題を押しつけられて、石油を絶たれたことが直接の開戦意思決定の契機になったことは記憶に新しいはずだ。

 科学的、合理的には勝てる見込みはないと皆がわかっていながら、「空気」が開戦を後押しし、「空気」が大和を沖縄戦に出撃させた。ここで言う空気とは、山本七平氏の「空気の研究」に依拠している。氏は“臨在感”という造語で空気の存在と威力を説明する。

 空気とは非常に強固でほぼ絶望的な支配力をもつ“判断の基準”であり、それに抵抗する者を異端として「抗空気罪」として社会的に葬るほどの力をもつ超能力であると言う。私たちは多くの場合、総合された客観情勢の論理的検討の基に判断を下して決断するのではなく、空気に順応して判断して決断している。

 戦争に突入する過程、戦中の軍部のみならず国民の反応、戦後の手のひら返し、連合赤軍のリンチ、過激派学生たちのこれも手のひら返しと、とりわけ私たち日本人にはその傾向が強いと共に、事例は枚挙にいとまがない。

 国や大企業という大規模集団にありがちな空気であるが、数名の部署やたった二人の夫婦の間にもそれは忍び寄ってくる。場合によっては、個人一人の中にも空気なるものは存在している可能性があるので厄介だ。モノに臨在感を感じ、それが醸し出す空気によって支配されてしまうことは、精神活動的未熟児であると自省して、客観的合理的に判断を制御していく理性が求められている。

 とはいえ、客観的なるものはこの世にはなく、全て主観的認識によって個々人にとりこまれてそれぞれの頭と心の中で描き直されている以上、現実的には到達不可能な理想を追いかけ続けるのが宿命なのかもしれない。いろんなことが線として繋がってきて、生き様というより終わり様を意識せざるを得ないのは還暦がカウントダウンになった歳のせいだろうか…。
 2017/09/03 17:14  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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