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民主主義を考える
 棒読みで、目が泳いでいて、空々しさの権化のような人に、心境は「空(くう)」だなどと言われると、私たち国民としては返す言葉もない。

 土曜の塾では「民主主義とは何か」を扱った。課題図書には國分功一郎氏の「来たるべき民主主義」と「近代政治哲学」を用いた。地元の住民運動を通じて著者が強烈に感じたのは、民主主義のシステム的欠陥だ。

 立法府こそが統治に関わる全てに決定を下している機関であり、行政はそこで決められたことを粛々と実行する執行機関に過ぎないという大前提が民主主義の出発点だ。そして私たち市民は選挙を通じて議会に代議士を送り込んだり、自治体の首長を選択する権利を有していることで民主主義が成立していることになる。

 ところが実際に物事の大半を決めているのは行政であり、その決定過程に市民が関わることができないのが現実であるにもかかわらず、民主主義と呼べることになってしまうのだ。民主主義は歴史的に発展過程にあるに過ぎない、もしくは産声を上げて緒に就いたばかりなのかもしれない。

 カール・シュミットによる定義では、政治の究極的区別は“敵か友か”ということになる。ちなみに、道徳では「善と悪」、経済では「利益と損失」、美学においては「美と醜」ということになる。間違いなく今年の流行語大賞になるであろう「忖度」は、友すなわち味方として推し測れという強権発動にほかならない。民間企業においてはパワハラに必要以上の神経を使わなければならない時代になったが、忖度の強要はかなり濃いグレーだと思われる。

 ジル・ドゥルーズによれば、制度が多いほど人は自由になる。法は行為の制限を通じて人々の自由度を矮小化するが、制度は行為のモデルを意味し、それは人の行為の選択バリエーションとして私たちの自由度を増してくれるのだ。

 実は制度が先で法が後であるべきなのだが、近代国家においては法がありすぎて市民制度がなさ過ぎるというのが國分氏の問題意識だ。働き方改革においても、法による縛りよりも制度的選択肢の充実が求められるのはそれ故である。フレックスやテレワークなどの選択可能な制度をもっとバリエーション豊かに発想し、定着させていく必要がある。

 ただし、状況を見聞きしていると、それらの制度は業界や職種や当該個人の家庭環境や仕事観などとの相性が強烈であることから、全ての会社の万人に選択可能な制度はないに等しい。業界、職種、それぞれの個人の状況に応じて選択可能な制度が100ほどあってもよいくらいだ。

 政治が必ず敵と友の区別をもたらすのは原理的宿命ということだが、お友達人事とお友達政策にもほどがあろうというものだ。誰もお友達がいなくなると党首を辞さざるを得ないのも政治の原理的宿命だが、大の大人に国政レベルでお友達ごっこに興じられたのでは、迫り来る半島の危機に対応する術もなかろう。

 ご愁傷様!
 2017/07/30 16:32  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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