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サピエンス
「サピエンス全史」にようやく手を付けることができた。

 昨年来ベストセラーとして気になってはいたが、東京の友人からの地元目黒の図書館で500人待ちとの話しを聞いて、即手に取った次第だ。

 それにしてもイスラエルの人々の賢さには舌を巻くしかない。ダニエル・カーネマン、ダン・アリエリにユヴァル・ノア・ハラリと三連発だ。

 ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」は1万年のオーダーで人類史をとらえているが、本誌は数万年のオーダーで7万年前の認知革命から人類史を扱う。数千年前の農業革命が次なるイノベーションで、ここ数百年の科学革命が直近の大変革だ。

 大革命のスパンがムーアの法則のごとく短くなってきていることにお気づきだろうか。ムーアの法則とは、半導体の集積率が18ヶ月で倍になることに端を発して、IT系のスペックは10年で1000倍に進化するなど応用型で用いられる概念である。

 本当の直近の大革命をインターネットによる情報革命だと定義すると、それはほんの数十年ほど前の出来事ということになるが、そうすると数年のオーダーで次なる大革命が迫っているということだろうか?

 その旗手はAIが担って、最終的にはターミネーターやマトリクスの世界が訪れて私たちはゼロイチに隷属することになってしまうのか。

 ハラリ氏の逆説的問題提起は随所に溢れており、ハッとさせられる箇所が満載だ。私がもっともドキッとした部分を紹介するので、早く読もうと感じられた方はお急ぎあれ。

 小麦をはじめとする炭水化物食物を栽培化したことと飼育可能動物を家畜化したことが農業革命の背骨であり、その後の世界史を変えるパラメーターであったことは等しくダイヤモンド氏も強調した点である。

 そこでハラリ氏はこう言う。定住化して農耕民族のなった人間は、日々潅漑や水くみのハードワークに追われる、天候次第というストレスにさらされて、以前の狩猟採集民族の方がよっぽどハッピーであった。私たちは小麦を栽培可能にしたのではなく、その瞬間から小麦の家畜に成り下がってしまったのだと。

 現代に置き換えると、休みの日だろうが移動中だろうがスマホを通じたメールチェックに追われる私たちは、ITの家畜なのかもしれない。

 ワークライフバランスなる言葉には、OA化以前の職場環境へのノスタルジーが込められているように思えてならない。私たちはやっちまったのかもしれない。
 2017/02/12 16:30  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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