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システムの限界
 ロジカルシンキングほど普及はしていないが、システムシンキング(システム思考)も極めて重要なビジネススキルだ。

 システム思考においてシステムの限界として扱うものに“逆効果の応急措置”や“成長の限界”などがある。“共有地の悲劇”もその一つで、ルーツはアメリカの生物学者ギャレット・ハーディンのサイエンス誌への投稿論文(1968年)に遡る。

 これらの議論は経営学にも取り入れられ、行動経済学においても盛んに議論されてきた。政治学においては自由論の始祖ジョン・スチュワート・ミルの議論などから民主主義のシステム的限界、もっと具体的に言うと多数決の功罪が導かれる。

 99対1で一人だけが地球の方が廻っていると主張しても、答えは太陽が廻っていることになってしまう。51対49で勝敗が決すれば、49%の民意が反映される可能性は無に帰する。これが多数決ひいては民主主義の正体である。

 一億数千万の富まない白人の人々は新しいリーダーに未来を託す前に、自分の胸に手をあてて深く考え直すことができていたのだろうか。社会や政治のせいにする前に自分はどうなのかという自問自答だ。

 ひとそれぞれ持って生まれた才能や個性には差があるのは当然であるが、自分にできる範囲内で最大限のインプット(知識でも労働でも何でもよい)を行ってきたか(いるか)。MUSTを先送りにしてWANTばかりで現在を刹那的に過ごしてはいないか。次世代と自分の老後に備えて蓄えはあるか。クレジットを通じて債務超過状態にある個人の比率は世界一のお国柄である。蓄えの先送りではなく返済の先送りが積もり積もって今がある。身の丈を超えた消費と飲食を先取るから債務超過になり肥満になるのだ。

 いま米国のみならず世界のあちらこちらで進行しているのは大きな歴史的うねりだ。保護主義的思想が返り咲き右傾化しはじめた国は他にもある。民族的宗教的差別を源泉にした紛争は絶えるどころかますます激しさを増している。

 世界中の情報とコミュニケーションがネットを介して繋がってしまった現代においては、何か分け隔てて守ってくれる壁がないと落ち着かないのが私たち人間の性なのだろうか。もちろん資本主義にもシステムの限界は厳然と立ちはだかり、とりわけ株式会社という制度はシステム披露の塊であると言える。

 100年後、資本主義は健在だろうか。株式会社制度はどのような形で存続もしくは変態しているのだろうか。少なくともその三分の一近くは見届けられる可能性があるので、考えられることとできることを尽くしておきたいと思いを新たにする。
 2016/11/12 17:10  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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