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平時有事と組織個人
 県はいまだ判断を留保しているが、市は控訴を決定した。今後も続く法廷闘争に必要な両当事者の心的エネルギーを思うと忸怩たるものがある。本稿は当該事件そのものの論評や評価を行うものではなく、敷衍して一般論を展開することを目的としている。

 有事と平時では状況と秩序が逆転する。有事において組織的に行動することを訓練され、それを体現することができるプロフェッショナルは軍隊および警察、消防、税務などの救急や摘発を生業とする限られた職業でしかかない。彼ら彼女らにしても、最後の最後は現場における個人となる。

 その他の公務員をはじめとする大半の民間組織は平時対応を前提に、指揮命令系統を構築して組織的役割分担を決定している。平時においてもイレギュラーや突発事案が発生した場合のそれらが機能不全に陥る事例は枚挙にいとまがない。危機管理が声高に叫ばれて久しいが、不祥事における初動対応のまずさや情報開示のもたつきが止まることはない。

 本来プロ中のプロであるはずの高級将校が、戦時中はもとより、とりわけ敗戦時および反戦処理時に多くの醜態をさらした事例が少なくないことを私たちは忘れてはならない。むしろ愚将凡将が大半で、後年一流と評される将軍や将校は意外と少なかったことに驚きを隠すことができない。ただし私たち国民の名誉のためにも、現場の指揮官や下級将校や下士官(中隊長や小隊長、曹長や伍長)には多くの優れたリーダーがいたことも申し添えておく。
パラオ周りで言うと、船坂弘氏や高垣勘二氏だ。

 指揮官がその役割を全うするためには、第一に限りなく全体を網羅した詳細情報の入手、第二にそれらに基づく的確な将来予測、そして第三に効果を最大化する打ち手の立案と実際の行動の全てのハードルを越えなければならない。地位や名誉の保持や保身が微塵もかすめることがあってはならない。メンバー側にも保身や上を立てるという心理が働くので、それらのハードルには茨だらけのやっかいな代物となる。

 そもそも情報がない。仮に断片的情報が入手できたとしても将来予測のディシジョンツリーの分岐は無数にある。その上でアクションが功を奏するかはやってみなければわからない。
それでは有事を前提として特殊な訓練と手配りが施されていない組織が有事に遭遇した場合、どうすればいいのか。

 それは平時用の全てのルールと秩序を解き放って、全員を一個人に還元させることにつきる。幸い人間には自己防衛本能と火事場の馬鹿力が備わっている。システム1として悪さもする私たちの肌感と無意識ではあるが、有事においてはいかんなくその価値を発揮する可能性が高い。

 背後にある法則や規則性を体で覚えて、都度フィードバックを受けることによってのみ研鑽される第1感(マルコム・グラッドウェルによる最初の2秒)は、平時における訓練思考実験で身につけることは不可能だと自覚しなければならない。

下記記事、ご笑読あれ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/092900020/102500015/



 2016/10/29 07:40  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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