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日本人の忘れもの
 外国人の方が私たち日本人より日本を客観的に正しく捉えることができるのは、ある意味当然のことだが、その反面、私たち日本人が国際社会どころか日本そのものを正しく認識することができていないと猛省しなければならない。

 柔道暴力問題に関心を寄せる仏国の雑誌編集者オリビエ・レミー氏のコメントを引用する。「日本社会全体が欧米化する中で、柔道界にはサムライの精神性、武道の考え方が色濃く残っている。そのギャップが混乱を助長している。」と。欧米化という表現自体に彼らの思想と立場が表れているが、欧米化を文明化と置き換えると普遍的に考えることができる。

 ペルリ来航の頃から日本社会は戦術的目標として急速に欧米化を目指したが、そこには諸外国の植民支配に屈することなく我が国の主権を維持する戦略的目標(大義)があった。
さらに文明化の第一ステップを国民全てが安心して喰えて寝られる社会と定義すると、一揆が続出した江戸後期から明治時代にかけて我が国が目指した最初の社会は、欧米で先進先取された技術と方法論をもってして全国民が喰える社会だった。

 皮肉なもので、人間腹がいっぱいになって寝るところがあると次に勤しむのは繁殖行為だ。爆発的に増加する人口を支えるだけの食糧生産に対する危機感がやがて大陸への進出に繋がっていく。侵略なのか自衛なのか、事実としての行為はひとつしかないが、客観的には侵略と見えても仕方のないところに自衛のためのやむを得ない進出であり戦争であったと主観的には主張できる二面性が生じ、そこに史観の違いが惹起する。

 史観ほど大きな次元ではないが、真実とそれを説明する立場と言葉と、そして言葉を通じてもたらされる認識とが本来的には一致しなければならないところ、特に国際社会の下ではそれが叶いにくいことは直近のレーダー照射問題を見ても明らかだ。

 世界中のありとあらゆるところに、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語とキリスト教をばらまいてきた“欧米”の国々に侵略と言われる筋合いはさらさらないが、要は大陸で日本が覇権をもってしまうと自らの利権の余地がなくなることを嫌っただけの単なる利権争いが繰り広げられていたに過ぎない。

 インドにおけるイギリスの支配やアヘン戦争の実態を目の当たりにした当時の日本が、自国のみならず広くアジアを欧米列強の理不尽な支配から解放、回避しなければならないという大義を抱いたであろうことは想像に難くない。対外的プロパガンダは日本人が伝統的に有する奥ゆかしさと共存しにくいことから、内面には大義を抱きながらも外向けに自国の立場と意思を発信しきれないまま関東軍の暴走もあり泥沼の日中戦争に陥っていく。

 私たちは三国干渉や援蒋(蒋介石のバックアップ)行為の存在とそこから読み解ける構図を正しく理解しなければならない。大東亜戦争(我が国の主観的意図に基づく呼称であるが、後に戦勝国(勝ったから官軍)により太平洋戦争と改名させられる)の経緯は長くなるので省略するが、そして敗戦と戦後が訪れた。

 戦後の日本は米国による民主化の実験室として思うように扱われた。憲法しかり、パージしかり、教育体制しかりと。もっとも苛烈だったのは言論統制であり、柔道界で横行した肉体的暴力に優るとも劣らない精神的暴力をもって日本はメロメロに叩きのめされてしまった。戦闘行為は昭和20年8月15日で終了したが、戦争は後のサンフランシスコ講和条約締結まで継続していた。

 そこで私たち日本人が失ったものは、自らの頭で考えて自らの手で歴史を紡いでいく自己完結性と継続性である。レミー氏は欧米化と精神性および考え方、すなわちコンテンツのギャップに焦点をあてているが、実はプロセスのギャップの方がその影響は大きいというのが私の考えである。日本固有の日本独自の思想的精神的過程が断ち切られたまま、文明化の第二ステップの高度成長に突入してしまい、気が付けば第三ステップの成熟期にとっぷり浸かってしまった日本が今ここにある。

 戦前の日本と日本人は間違っていた。正しく理解することではなく戦勝国のロジックで徹底的に全否定をさせられていまった。その裏返しで手に入れてしまったのが経済的繁栄なので、私たちは文明を疑うことなく全肯定してここ数十年を過ごしてしまったが、歴史は天災を通じて私たちに大きな警鐘を鳴らしてくれている。

 ところが輪をかけて私たちの考える力と機会を奪い去っているのが情報化社会の進展だ。視覚情報がメディアを通じて視聴者の目に直接飛び込んできて“戦闘行為”に対する認識が大きく変わってしまう契機になった湾岸戦争の映像は記憶に新しい。
 
 情報化社会によって世界と繋がり、ありとあらゆる情報が入手でき発信できることが私たちの誤りを見えにくくしてしまった。私たち日本人に決定的に欠如しているのは、思想的アイデンティティの独自性と継続性だ。

 この国がどのような国であり、あったのか。そしてどうあるべきなのか。そこで生ける私たちはどう考えてどうふるまうべきなのか。憲法96条を云々という議論も聞こえてくるが、姑息にトリムタブ(大きな船の大きな舵に付いている大きな舵を動かすための小さな舵)を触りにいってどうするの?

 翻訳日本語なので、私たちには意味不明の日本国憲法をどうすべきかは真正面から触りにいくべきで、そもそも重要なのはこの国をどのような船にしてどこに向かわせるのかではないのか?

 市場構造という事実はひとつしかないが、それをどんな帳票やグラフでどう読み解いてどう認識するか。そして当該シーズンおよび次シーズンに向けてその認識を行為としてどのように具体化するか。MDロジックとはそういうもので、アパレルを科学するとはそうすることである。
 2013/02/11 09:11  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

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「武道」と「平和」って、日本人にとってなんでしょう

「私たち日本人が国際社会どころか日本そのものを正しく認識することができていないと猛省しなければならない。」
おっしゃるとおり!しかし、「外国人の方が私たち日本人より日本を客観的に正しく捉えることができるのは、ある意味当然のこと」とあるとおり、自分自身を客観的に正しく捉えることは、まことに難しい。
ならば、「外国人の眼」もしくは「日本の外で生きる日本人の眼」を借りて、日本を客観的に捉えることが、ひとつの方法ではないでしょうか。

【武道】
柔道の創始者である嘉納治五郎のもとに入門し、1966年(昭和41年)に単身で渡米し、以来、サンフランシスコを拠点に世界各国で柔道の普及にあたってきた柔道家の福田敬子さんの存在はたいへん興味深い。ああ、なのに、彼女の存在を知ったのが、彼女が昨日亡くなったというニュースであったなんて・・・。

日本の義務教育(中学校体育)で、武道が義務化されました。その矢先の柔道暴力問題です。
2006年教育基本法が改正となり、教育目標に「伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する態度」、2008年学習指導要領に「武道」を加えたにもかかわらず、「武道とは何か」「私たち日本人にとって武道がなぜ必要か」ということが議論され、中学生や保護者に知らされることがなかったように思います。
文科省が、日本の義務教育で育成したい「武道」とはなんだろう…。

【平和】
「翻訳日本語なので、私たちには意味不明の日本国憲法」
ですよね!日本国憲法は、やはり、私たちにとって意味不明なんですね。
なぜかというと、「翻訳日本語」だから。ですよね。

この事実を、
小学校の社会で「日本国憲法前文」を暗記させる前に
教えてくれれば、ずいぶん状況が変わってくると思います。
せめて中学では教えて欲しい。

まずは、
日本国憲法で言う「平和」ってどういう意味なのか。
私たち日本人にとっての「平和」とは、どういう意味なのか。
二つの「平和」の意味は、親世代の私たちにもうまく理解できていません。
それぞれどういう意味なんでしょう。
Posted by:しの  at 2013年02月11日(月) 17:49


プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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