サンデル博士が…
マイケル・サンデル博士がいってしまいました。次の次の日曜の講演を楽しみにしていたのですが、主催者のダイヤモンド社から講演中止の知らせが届きました。出張帰りのメールに即刻反応して、日曜日の東京日帰りを楽しみにしていたのですが、潰えてしまいました。

 協力会社を通じた氏とのコミュニケーションの齟齬があったとかで、講演内容について折り合いがつかなくてドタキャン。お詫びの500円のクォカードは、次男の肥やしとすることになりました。

 想像するに、ダイヤモンド社の思想とコミュニタリアンとしての同氏の考えがすれ違ったのか?
当日の題目に関する表面的なズレなのか?ギャラの0の数と間違えていたのか?真相のほどは、追々明らかになる可能性がありますが、協力会社と称されている実質下請け企業の今後を考えると‥‥‥という気持ちにさせられます。

 組織論においては、結果責任を負うのが管理職で、現場職はプロセス責任で評価されるべきとされます。管理職(この場合は発注元の親会社)はプロセス責任は果たしたと主張し、汗をかきかき頑張った現場(この場合は協力会社)は結果責任として、詰腹を切らされるのではと心配してしまいます。

 私たちに多くの知見を提供してくれる書籍の出版元の同社が、まさか…とは思いながら、サンデル博士とまみえる日を楽しみにしています。

 出産を間近に控えた母親の夫が医師からこう告げられます。「母子ともに救おうとすると50%の確率で両方とも命を失います。子を見殺しにすれば、90%の確率で母親だけは助かります。このケースにおいて、おまえならどうする?」と問答を仕掛けられたのは新入社員のときでした。
そんなもん、両方助けたいわ!というのはただの人情に過ぎず、合理的には母を助けて次なる子を期待するというのがそのときの上司の教えだったのですが…。

 同じような文脈で昨日はVMDの講義をさせていただいた私がここにいるということに深い感慨を覚えるとともに、まだまだ勉強と気が引き締まる思いです。
 2012/05/16 23:39  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

日本が失ったもの
週末、MBAのコンペがありました。

 同じ組で原価計算と管理会計の専門家でいらっしゃる加登豊先生と、昨年に引き続きラウンドさせていただきました。お互いにスコアは…でしたので、その点についてこの場で語ることは何もありません。

 昼食時にこんな話題になりました。「今度、韓国のビジネスパーソンを対象にした講演があって、そこでは日本の企業が何を間違えたかを話すつもりだ」と。

 ポイントは二つあって、第一は“他品種小ロットの弊害”、第二は“日本国内(ローカル)向け品質のグローバル化阻害”というテーマです。

 加登先生の論調は、前者については他品種小ロットとは所詮、売る意思と勇気のない弱小ビジネスパーソンがリスクヘッジのために開発した手法であって、マーケット対応や顧客満足の追求でも何でもなかったというもの。リスクを張って、会社の命運を賭けて全社一丸となって売りにきている海外勢のパワーに勝てる訳がない。

 後者については、過剰な品質はグローバル展開する際に余分な再開発を強いられることが国際競争力を削いでいるというお話し。例えば、日本のクルマは滅多なことでは故障しませんが、万一故障した場合に素人仕事では全く対応ができません。世界が求めているクルマは、よく故障はするけれども素人仕事で簡単にメンテができて、結果的にトータルでは手軽にローコストで維持可能な性能レベル。日本の医薬品卸が、外箱がへこんでいるだけで商品を受け取らない医療法人に辟易としている事例もお話しされていました。

 我が恩師の加護野先生は、さらに日本の企業の活力を削いだ元凶として、労働関係の法制強化を強調されます。「セクハラは論外としても、パワハラなんか気にしてたら後進なんぞ育てられるかいっ!」と内なる叫びを抑えておられる同志はたくさんいらっしゃると拝察されます。

 私はそれに追加して、過度なコンプライアンス(特に顧客情報保護)が追い打ちをかけて日本企業を弱らせていると痛感しています。もっとやんちゃでおおらかな環境の下で諸先輩も企業も成長してきた筈なのに、後知恵で木端役人どもと民間企業のスタッフ部門が小粒な仕事をしてしまうので日本は沈没に向かってまっしぐらです。

 相対的にやんちゃな業界に属する我々アパレル業界人が、いまこそ日本の経済の活力と元気を取り戻す起爆剤になるときです。
 2012/05/14 22:19  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

なにわ百貨店戦争
 連休中のMJで“なにわの百貨店 個性で勝負や”と引き続きの情報が報道されましたので、数字だけ抜いてご提供します。

 下記が単純計算の月坪効率、年商、売場面積(坪換算)を月坪の降順に並べたものです。

 ちなみに新宿伊勢丹は19500坪で2200億ですので、月坪は94万円。新宿ルミネは5200坪で500億(推定)ですので、月坪は80万円。
 百貨店の場合は、数百億の外商の数字がどの店に計上されているかで大きく数字がぶれます。また、地下の食料品や催事はビジネスモデル的に月坪の水準が異なります。

 とはいえ、ある種の比較検討は可能ですので、お試しあれ。

                月坪(円)  年商(千円)   坪数
阪急うめだ本店(増床後) 673,200  122,400,000   15152
阪急うめだ本店(増床前) 610,156   213,000,000   29091
近鉄阿倍野店        485,260   84,700,000   14545
阪神梅田本店        473,726   91,300,000   16061
ルクア             467,500   34,000,000   6061
高島屋大阪店        415,321  117,800,000   23636
大丸心斎橋店        295,801   83,900,000   23636
大丸梅田店          265,117   61,700,000   19394
近鉄上本町店        217,574   26,900,000   10303
あべのキューズモール   179,348   45,000,000   20909
JR大阪三越伊勢丹     170,500   31,000,000   15152
なんばパークス        138,031   26,000,000   15697

 2012/05/07 10:03  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

どっちかにしれくれい
 初めてぎっくり腰で立てなくなったのは20代後半のときのハンドボールの試合中の出来事でした。

 コートの中で崩れるように倒れ込んで、脂汗をかきながら這うようにして自宅までたどり着いた日のことを忘れることはありません。神戸の長田神社近くのハイツの新婚(ちょっと無理がある?)でしたので足は原付のYAMAHA champ。板宿駅から死ぬ思いで帰りました。

 その後、ビール大瓶のケースを持ちあげようとして“ギクッ”、朝、顔を洗おうとして“ギクッ”と、数年に一度は二三日寝たきりになる人生を歩んできました。三度目か四度目かの症状のときにMRIを撮ったのが十数年前。地元の社会保険関係の総合病院の若い医師の診断は、ヘルニアが二か所飛び出しているけど、これは脊柱管狭窄症だというものでした。

 漢字書けないし、初めて聞く言葉にちょっと汗かきましたが、(当時の)この歳だったら、腹筋背筋を鍛えて、大小の区別がつかなくなったら手術したらいいとの、なんともご親切なアドバイスでした。

 独立後、7年になりますが、ずっと内科的にも外科的にも皆勤賞を続けてきたのが自慢の私でした。ところが、今年はそれが潰えてしまいました。一月中旬に風邪気味になったのがミソの付き始めで、だましだまし仕事を続けていましたが二月の最初の週末に腰をやってしまいました。
少し暖かかったので洗車を終わって、前傾姿勢で手を洗いながら抜けきらない風邪のせいで咳きこんだところ“ギクッ”。久々に「キターッ!!」でした。

 いつもなら二週間もあれば完治するのですが、その一ヶ月後のある日の朝、腰を伸ばしたらギクッではなく“キュイーン”と腰にきて、3月の第二金曜には初めて体調が理由で仕事の予定をキャンセルせざるを得ない事態に陥りました。

 東京で紹介された医院にかけこんで、何とか神戸に戻るための痛み止めと座薬を処方してもらい、経験のない尋常ではない痛みとしびれと戦うことおよそ一ヶ月半。なんとかゴルフを再開できるまで回復することができました。騙し騙し…という感じではありましたが。

 して、今回のMRIと診断の結果は、「(珍しい脱出型のヘルニア)」だとか。半年ほどで消えると想定されるので、インナーマッスルを鍛えて頑張ってとのありがたいお言葉。レントゲンの段階では、脊柱管が確かに狭く、これは先天的なものだとの説明も頂戴し。母がよく腰が苦るという表現をしていましたが、痛いというより苦る状態がよくわかるようになってしまいました。

 業績悪化を背景に社員を叱責して、返ってモチベーションを下げてしまっている経営者もいらっしゃいます。ヘルニアだろうが狭窄症だろうが、腰が痛いのは一緒。社員のせいだろうが経営者のせいだろうが、経営が不振なのも一緒。

どっちゃでもいいから、どっちかにしてくれい。
 2012/05/06 18:09  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

めざせ飴ちゃん
「三越伊勢丹ナニワの洗礼」の見出しが朝日新聞関西版夕刊のトップに踊りました。

 一周年を迎える大阪ステーションシティですが、三越伊勢丹の売上が当初予測の56%に留まっていると。5万平米で3月末までの売上が310億なので、月坪に換算すると18万6千円。ほぼ同じ規模の梅田阪急の約4分の1。

 ちなみに約半分の規模のルクアが340億、大丸が617億で阪神がちょうど阪急と大丸の中間くらいの売上。並べてみると、三越伊勢丹〜大丸梅田店〜阪神梅田本店〜阪急うめだ本店がちょうど四等分で配置される。

 「大阪の人に訴えるには、値引きは絶対に必要」というのが三越伊勢丹のコメントだが、果たしてそうだろうか?

 おばちゃんの声として、“上質感はあんねんけど、東京っぽい冷たさを感じるわぁ”“話しかけても、営業の言葉で返事されるとキャッチボールにならへんやん”etc.

 私の見立ては、天高と通路幅が十二分に確保できている現代フォーマットが裏目にでて、シックで暗めの演出も逆効果で、人が少ないことがさらに負のスパイラルを生んでしまって…という売場に見えます。

 ルクアはというと、明るくてリズムがあって、何かが動いているという空気感を感じます、阪急、阪神、大丸の序列は梅田では歴史であり文化であり変えようがないものだと感じます。

 大阪のおばちゃん達とは、飴をあげたりもらったりのフレンドリーな関係が値引きよりも優先順位は高いのではと私は考えます。翻ってメンズ館の比較を行うと、新宿伊勢丹が別格で、阪急うめだがこじんまりとして親しみやすく、有楽町阪急が中途半端で……という感じでしょうか。
 
 商業施設は“街”です。人にとって街は自分を優しく包み込んくれるものであり、グリップできるものでなければなりません。包み込む優しさが感じられず、グリップできない感が醸成されると、人はその空間に近付いたり留まったりはしません。

 オフィス街でいうと、汐留とか品川がそんな感じで、私たち人間のサイズを超えて街が威圧してきますよね。

 大阪のおばちゃんが“飴ちゃん”を常に携帯し、人に施す理由もそこにあります。飴はポケットやポーチに自分サイズで自在に持ち歩くことができます。口に含めば優しく私たちの味覚を包み込んでくれると同時に、私たちは口のなかで飴ちゃんを完全にグリップすることができています。

 三越伊勢丹が大阪において目指すべきは、愛すべき飴ちゃんです。
 2012/05/02 17:56  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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