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ウールの存在感
 昨シーズンとは少し形を変えたメゾンもありましたが東コレ2013−14A/Wが終了しました。
 秋冬ということもあってウール素材がどのように展開されるか期待を持っていくつかのブランドのショーを見せていただきました。
 天然、合繊を問わず幅広い素材の中からブランドイメージに合ったものが選ばれ素材はいつになく多岐にわたったような気がします。
 ウールは比較的きちんと感のあるエレガンスラインに使われることから実力派のベテランデザイナーブランドのランウエイに登場しました。

 Cotoo(林秀三)は明るく品格のある色、カシミア混やファー使いで「シルクロード」のテーマのもとリアルクローズの中の非日常を描きました。
 クラシックなウールコートやジャケットなど上質感あふれるベーシックアイテムに、日本の女性の愛おしさを表して確実にファンを増やしています。







 カミシマチナミ も華美にならない素材の使い方が大人のエレガンスを巧みに表現するラインを発表しました。
 素材と洋服のバランスが秀逸です。
 深い色、刺繍、光感、毛皮などの中でウールの存在感を放っていました。







 matohu はいつも素材へこだわりをまず感じさせてくれるコレクションです。
 今回のテーマは「あはい(あわい)」。靄の中の大通りを歩くランウエイでした。 
 シンプルなラインの表現には華美ではないけれどもこだわりの色や(特に複雑なミックスカラーの美しさ)、工夫の凝らされた加工など、生地の作り手とのコミュニケーションの成果を感じさせてくれます。
 特にウールにつけられたダークや強い色が淡い色との優しいコントラストで更に引き立っているのに驚きました。









 一見ベーシックにこだわるように見えるウールにも新しい時代がやってきたことを痛感させられます。
 2013/04/28 22:07  この記事のURL  / 

Textile Network JAPAN展
 山形、東京、山梨、静岡、愛知、福井、大阪、兵庫、愛媛に本社や工場を持つ18社の機やさんが出展するTN展が4月23,24日青山で開催されました。
 アパレルなどのユーザーを対象に実際の洋服作りのための素材商談会です。
 作り手の話が直に聞けて背景や納期、素材状況などを加味しながら進められることもあり、頼りにしているデザイナーやMDが多いのではと推測します。 
 ヨーロッパ市場で見られたスポーツウエアのために使われたハードな経編み(本当は資材用)、二重織りの効果を最大に生かしたタオル(パイル地)、コットンジャカード、シルクのプロテイン加工など特徴のある間口は狭くても奥行きの深さや広がりが大いに期待できるブースが並んでいました。
 どれも毎回気になるのですが、時流も合わせて4社の商品をご紹介します。




福井経編興業(株) (福井県福井市)







 ニューハイテンション、ダブルラッセルを中心に合繊、アセテート、スパンを用いて新感覚の表情を持ったニットに力を入れています。
 特にメッシュスペイサーファブリックはPe100%、目付241g、厚み1.5~2.0cmというダブルラッセルは迷彩プリントが施され、一見ハードで実は軽くソフトな素材です。
 フランスのラグジュアリーブランドで使用され紳士用ジャケットとして高価なプライスで店頭に並んでいるとのこと。
 日本市場での広がりにはまだ時間が必要かもしれませんが大きな発信力があることは間違いありません。




遠孫(えんまご)織布(株)− 播州の機や(播州織工業組合)(兵庫県西脇市)





 コンピュータージャカード機を使って大きな柄や色の4原色を表現した織物を提案。
 シャツ地で有名な西脇山地ですが、今回は特にコットンジャカードに注目しました。
 カッチリとしたドビーやジャカード柄ではなく綿の柔らかさ、優しさにマッチした美しい色使い、滲むような色の大きなパッチワーク風の切り替えはインターシャニットを見る思いがします。
 カットジャカード、二重織り、そして迷彩柄などデザイナーの創作意欲を掻き立ててくれます。




渡辺パイル織物(株)(愛媛県西条市)













 オーガニックコットン、ノン枯葉剤、ウール混、麻混などの素材を使った片面、両面パイル、多重ガーゼ、ワッフルなどが主力素材。
 二重織りのパイル地はそのままタオルケットにもなりそうです。
 C85, ヤク10、カシミア5のパイル地は軽く心地よい肌触りで一年を通して使えるコットン素材です。
 染めに特徴があり、赤ワインで染めたくすんだボルドー色をしています。
 ビール染めもありお酒好きの社長が開発されたとか(ホントかなぁ)。
 草木染めの繊細な色、さまざまな大きさのワッフルが並んだようなシャーリングしたタオルなど遊び心いっぱいの商品です。




坪由織物(株) (福井県坂井市)



 PVで好評だったシルクファンタジーとトリックファブリック(意外な生地)、デジタルジャカードのコレクションに力を入れています。
 PV出展もそれなりの効果が得られたことから新しい挑戦としてハリ感と柔らかさを同時に持ったシルクのプロテイン加工を開発しました。
 すでにビッグメゾンからの引き合いがあり、今春パリの店頭で見ることができました。
 PVのコンセプトブックの中にも登場したほどの注意を引く存在です。
 発色性がよく濃色も(特にきれいな赤)、白に近いデリケートな淡色も美しい色合いが特徴です。
 ハリと膨らみ感、オチ感などオーガンジにはないデリケートな優しさも併せ持ちます。
 もちろん洗濯可能。
 そんな素材がヨーロッパだけでなく日本でももっと普及しないかなと期待したい素材です。

 2013/04/26 00:39  この記事のURL  / 

ベーシックアイテムにみられる素材
 秋冬に向けてのプレタポルテコレクションの傾向にシンプルやミニマリズムの継続、トラディショナルやオーセンティックといった落ち着いたクラシック調とともに新しい装飾主義の台頭が挙げられます。
 春夏はこのほかにナチュラルが大きなテーマになりますが、ここにも相反するテーストが並び店頭は賑わしく或いはゴージャスに複雑な展開を見せているような気がします。
 そんな中でもシンプルでナチュラルな表現がやはり新鮮なインパクトを放っています。
 素材ではデニム、柄ではギンガムチェック、大胆なグラフィカル、アニマル、迷彩など。
 シンプルなデザインにビニールやウレタン、プラスティックなどの第3のファブリックを使ったものはこれまでは斬新さが目立っていましたが、いつの間にかベーシックなラインに組み込まれるようになりました。
 シンプルやベーシックアイテムには素材の良さやラインの美しさ、吟味された色使いが求められます。
 従来のナチュラル感を表すものとして筆頭に挙げられたのがコットンや麻ですが、それもノンシャランからシルエットが保たれる高級感のあるもの、加工を施した合繊ライクのもの、心地よさやきちんと感の伝わるものなどへの変化が予測されます。
 カーキ(兵士の意味があります)やアーミー、ミリタリー、ワークなどのテーマに出てくる迷彩柄は文字通り自然環境の中で身を守るためのカムフラージュですが、配色に工夫をして新しくエレガンスやフェミニンの表現に使われることもありそうです。
 景気の上昇が期待され、再びラグジュアリーへの関心が高まりそうですが、同時に日常を豊かにするリアルクローズの存在感もさらに強まるでしょう。
 そこにどのような素材が落し込まれるか注目したいものです。









 2013/04/14 23:52  この記事のURL  / 

渋谷東横線ホーム跡・ユニクロTシャツ「UT Pop-Up!」
 カットソーの原点、さらに言えば下着の原点の一つでもあるTシャツを改めて考えさせられるビッグイベントが、話題の渋谷駅大改装中の東横線ホーム跡地で期間限定(3月28日〜4月7日)で開催されました。

 長年東横線を愛用してきた人たちにとって渋谷での他線との乗り換えがたいそう不便になり苦情が殺到したとか、と少々恨めしい思いでこの催しの初日に閉鎖された改札口を通りかかると、いつもと違う人混みがあり、よく見ると新しい広場ができ照明がつけられ天井に向かってたくさんのTシャツに埋め尽くされた空間がありました。
 周囲の噂によると1万2千枚がかけられ、それを着用した撮影サービスも行われているとのこと。
 デザインはコラボによるものも多く、ラデュレやルル・ギネスといった意外なものやアンディウォーホール、コカコーラ、ディズニー、スヌーピーなどおなじみのキャラクター、フォルクスワーゲン、フィアット、ホンダなどの車、スターワーズ、サンリオやトミカなどなどまさに圧巻のイベントです。
 綿が中心ではありますが合繊や複合も多く見られます。
 価格の中心は千円代から二千円前後、縫製は世界各地というユニクロの生産背景の大きさを物語っています。
 カットソーの幅が広がりこれらの対局にあるファンシーでエレガントなジャケットインに着るもの、デザインものも市場性を伸ばしています。
 日々の生活の中で楽しく気軽に着られて適度なユーモアを持ち合わせることもあるTシャツは、ビジネスでもやはりカジュアルの原点かもしれません。





















 2013/04/09 23:05  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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