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2012年 初夏 プリント
 プリントの季節になりました。
 今年の特徴はどのようなものでしょうか。
 長い間続いたナチュラルの観点から見た様々なテーマや、民族、エスニックなどの大きなくくりは根底にあるものの今シーズンはアニメーションタッチ、グラフィカル、アート的が重なり、範囲の広がりを感じさせます。
 プリント技法にもデジタルが当たり前になり写真のようなもの、大柄なものも沢山見られます。
 今まで見たことも無い新しい発見!という気分にさせてくれるものにはなかなかお目にかかれないかもしれませんが、昨年に比べて全体にキレイやカワイイをはじめシンプル、明快なモチーフが目に留まります。
 根強い水玉人気、風景や絵画の大胆なタッチ、遠近感の無い判(ハン)で押したようなフラットな柄、滲ませたラインなどなど。

 一口に幾何柄とはいえないグラフィカルなモチーフ、平面的でカワイイを思わせる単純なモチーフ、モダンなエスニックなど、気になる柄が盛夏に向かって勢ぞろいしています。
 洋服ブランドの中で浴衣のディスプレイを目にしましたが、その柄に何の違和感も感じないことに驚きました。













 2012/05/27 22:47  この記事のURL  / 

今シーズンのTシャツ
 色の楽しさと気持ちのよいフィット感で今年もユニクロのTシャツが大人気です。
 安定した価格が魅力の一つにもなっていますが、今シーズンはコラボレーションと称したデザイナーやスポーツ選手、文化人などTシャツに絵や色でメッセージを表現したものが目立ちます。
 Tシャツは下着から発展した丸首、襟なし、半そでという形が基本で、綿のイメージが強いアイテムです。
 そして丈夫でジャブジャブ洗っても平気、誰もが着られて安価、と極めつけの日常着の一つでしょう。
 新しい時代のライフスタイルにこれほど理にかなったアイテムは数少ないかもしれません。
 最近はタンクトップ、キャミソール、ブラウスのようなTシャツ、丈の長いチュニックスタイルなどデザインも豊富、超長綿などの高級綿の他に様々な機能を付加させた素材、化合線、麻、絹なども登場し「オシャレT」などと呼ばれています。
 ほとんど全ての女性が少なからずのかかわりを持ち、或る時は有名ブランドの逸品、或る時は色数を揃えたりデザインを楽しむなどかつてのTシャツの役割りを超えるようになりました。
 今シーズンは震災後一年が過ぎ、自然やエネルギーに対する新たな思い、デジタル化された新しいヒーローやヒロイン、アニメーション、動物を使った命の象徴など、カワイイの表現、アートのパワー、社会へのメッセージなど、今までになかったTシャツの存在感があります。
 時代に乗った情報発信のためのベストツールかもしれません。




 写真は5月10日、「コットンの日」に発表されたTシャツプリントデザインコンテストの最優秀デザイン。
 テーマは「再生」。
 震災から立ち直ろうとする強い思いが込められています。




 若い層のTシャツはカラーとポップなテーストがポイント。
 2012/05/20 22:44  この記事のURL  / 

Doors 34 2012-13A/W 合同展より
 (有)フォルツのニットブランド「Corcaelo」コルカエロの秋冬ラインで色の美しさとリバーシブルの楽しさに挑戦したニットに出会いました。
 かすり糸や混紡糸を使うことによって微妙な色の深さが生まれ、感性豊かな色使いが表現されます。
 ピンクやオレンジ、黄を優しいカラーミックスに変えたのはモヘアの絣糸(モヘア、ウール、ナイロン)をたくみに組み込んだアルパカニットです。
 リバーシブルのスヌードとチュニックのアンサンブルやワンピースは軽く舞うような感覚で、着る人に極上の日常を連想させてくれます。

 写真の製品はスヌードのカラー部分(アルパカ40%、モヘア15%、ナイロン35%、ウール10%)、チュニックとスヌードの白の部分(アルパカ60%、ナイロン30%、ウール5%)の素材の微妙な差がモヘアの絣を引き立たせています。







 ウール70%アルパカ30%の完全リバーシブルのコートにも注目しました。
 一重仕立てやリバーシブルは縫製やはぎ合わせに工夫が必要ですが、コルカエロでは編み端をデザインに変えパイピングの処理をラインとして生かしています。
 オフ白とベージュの配色加減、糸使いの表情をたくみに捉えた技が軽快で甘さのあるミニマリズムを感じさせてくれました。






 丸編みと横網み、カットソーとセーターの境界線が見えにくくなっている昨今ですが、やはり横網みにしか出来ない技がありそれが日本の産地やアパレルメーカーの強みでもあることをあらためて知らされた気がします。

 2012/05/13 22:55  この記事のURL  / 

Textile Network Japan 2013 S/S
 21の企業又はグループによるテキスタイルネットワーク展(2013 SS向け)が開催されました。
 山形、東京、山梨、静岡、愛知、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、愛媛に渡る日本の各産地の機屋、染工が集まり物作りを披露しました。
 失われつつある産地の技やこだわり、伝統などを感じることが出来るので毎回見に行くことにしています。
“「ecru+」色の連鎖”がテーマです。
 まとまったコンセプトやトレンドの発表もなく各社思いのままの展示方法ですが、それがかえってそれぞれの特徴が出る結果を生んだのかもしれません。
 気になるブースの中から今回は浜松の古橋織布のコットン、バンブー、シルクの新しい表情をご紹介いたします。

 低速のシャトル織機で織ることを特徴としている緻密でしなやかな織物は、綿や竹の独特のハリやゴワゴワしたタッチに滑らかさを与えてくれます。
 特に竹60%シルク40%のフランネル調の素材は優しく濃厚な手触りが何とも言えず、満たされた気分にしてくれます。高密度の割りに嵩高で軽いのが特徴でしょう。



 綿100%の一見プレーンに見える素材は微妙なしぼが立ち楊柳でもなくサッカーでもない静かな凹凸感が魅力です。





 シャツ地には5本に1本の割合でコード糸を入れ、畝ほどではないけれど繊細な表面感を出しました。





 ワンピースではヨコ糸に100番のトップ糸を使い、わずかな杢調がとてもエレガントな表情になりました。





 一番人気は一見インディゴやダンガリー風に見えるセットアップに仕立てた素材で、竹32%麻68%の混率ですが、タテに黒糸、ヨコにブルーのムラ染めのふし糸を使った先染めの織物です。
 密度の調節で色の差を楽しむことも出来るようです。

 商品のよさ、技術の高さを語るには言葉足らずですが、久しぶりに産地の技の粋を見たような気がしました。
 海外では出来ないこだわりの素材なのですね。

http://www.furuhashi-weaving.co.jp
 2012/05/07 01:11  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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