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コート
 12月に入り年末の慌しさと共に本格的な冬がやってきました。
 ファッションはお天気商売と昔から言われてはいましたがこうも顕著に現れるのかと今更ながら自然の威力を感じます。
 90年代に出始めた非ウールといわれるポリエステルやナイロンのマイクロファイバーを用いた表地に中綿やダウンを入れたコートが登場し、以来コートの分野が二分されました。
 合繊が新しい時代を迎えカジュアル化したライフスタイルの中でウールコートは獣毛混などでステイタスを高く保ちつつも、カジュアルやスポーツの表現にはハードルが高かったように思います。
 ウール素材の開発は日々進歩を続け新しい分野を開拓し、常に魅力的な素材が提案されていますが、今シーズンの前評判は折からのクラシックエレガンスのトレンドから、ウール本来のもつ高級感あふれる上質な素材感が市場性を持つことが予想されていました。
 今年買うなら新しい一枚はウールと決めている消費者も多いと聞いています。
 12月に入るまでなかなか寒くならない天気にやきもきしましたが、ここにきてコートの出番となりました。
 9月から店頭のコートに注目してきて感じることは、ウールはクラシックな表現にはプレーンではあるが高級感のある目の詰まった軽いもの、ふくらみ感や優しさの感じられる素材、ツィードのようなざっくりしたもの、ジャカードなどの柄物、ニット素材が多かったことです。
 そして何よりもデザインに一工夫があること。
 色はキャメルやグレーがベーシックではあるけれども新鮮です。
 ウール人気が先行しましたが実需はやはり合繊が根強く、新しい一着も軽くて機能的なダウンのコートを買う人も多かったようです。
 毛皮をあしらって高級感を充分に持たせたダウンコートはスポーツやカジュアルとエレガンスやラグジュアリーを併せ持つような位置にあります。
 百貨店アパレルのコートが久しぶりに活気付いたことで、ミセスやキャリアリッチの顧客の再来が望まれます。

 12月21日、東京ミドタウンの3階で午後2時から2時半までの30分間、お客様のコート姿をチェックしました。
 場所柄の印象はヤングからミセス、シニアまで幅広く、全体にエレガントな客層と見受けました。
 素材の断定は難しいのですが、およそのところウールのコートやジャケットを着ている人が62人、ダウン(と思しきものも含めて)54人、その他毛皮やレザー、ニット、スエードタイプ、プリントやジャカードの柄物など17人となりました。
 半々の予想を超えてウール素材はやはり健闘していることを実感しました。



 2011/12/25 21:19  この記事のURL  / 

春を覗かせるチュール
 季節を越えた素材の使われ方がされるようになって久しいものがあります。
 綿、麻とウールやキルティングが最も相応しいのはやはり夏であり、冬のコート地でしょうか・・素材開発が進みそんな垣根も次々に取り払われています。
 12月の店頭はセールよりプロパーの春もの、ホリデー向けの装いが例年に増してきちんと提案されているように思えます。
 クラシックやレトロ、ウール使いや毛皮、ケープやニットジャケットなどのトレンドを思わせるものなどが中心ですが、さらにマフラーや帽子、手袋などの小物なども充実しています。
 素材では予想通りウールが久しぶりにアウター向けに新鮮な展開を見せています。
 合繊は軽さを売り物にしたダウンジャケットや少し艶を消したような上品なキルティングコートをよく見かけます。
 今の時期コートやジャケットの素材としてウール、非ウール(主として合繊)はほぼ同じ比率に近いような気がしました。

 そんな中、チュールやオーガンジーなどの透ける素材が組み合わされているものが目につきました。
 使われる分量が少ない場合、レースほど豪華ではないけれどふんわりとした優しさと華やかさのあるこれらの素材が名わき役として役割りを果たしています。
 セーターやカーディガンなどのニット、ウールやスエード調の中肉素材、とろみのあるジャージーなどにかわいいアクセントを作っています。
 大きな面積に刺繍を施したり、チュチュのように分量をたっぷり使ったり、春には主役の座をねらっているのかもしれません。
 ウールやキルティングダウンとの相性も意外によいのに驚かされました。
 ハードとソフトの見事なマッチングです。



 2011/12/20 20:48  この記事のURL  / 

春一番の素材
 12月に入り一週間が過ぎる頃、東京もやっと冬になった感じがします。
 出足の重かったコートや防寒用のアウターもウール、非ウールを問わず何かと話題になっています。
 大災害の後の私たちの生活では寒さから身を守ることや節電対策などが自己防衛を中心に強く求められています。
 寒さはこれからが本番ですが、そんな中一部の店頭ではもう春ものがお目見えしています。
 エコ意識や安全、健康といった思いは変わるものではありませんが、便利になりすぎた現代に季節感を感じさせることに今新たな関心がもたれているような気がします。
 地球の温暖化や局地的な洪水や竜巻のような災害、意識の上で最も強く恐れられている地震や津波など自然の力を思いっきり知らされる今日この頃ですが、四季に恵まれている日本人の心意気には季節を伝えるキーワードが沢山存在するのかもしれません。
 やっと寒くなった今はとにかく暖かなものを、と願うのは当然ですが、まもなく来る春への期待も大きなものがあります。
 つらい一年だった反動なのでしょうか。
 春一番として新鮮に感じるウィンドウがこの時期見る人の目を楽しませてくれます。
 綿もしくは複合で綿の表情を持つ素材、麻がほんの少し混じっているようなナチュラル感、よく見ると繊細な柄が浮き上がっているようなドビーやジャカードの織物、刺繍のように見える織り柄などの手の込んだ先染め、機能性やテクノロジーが際立つ新素材に比べるととても自然や歴史、人の手の技を感じます。
 現実と夢が入り混じる年の瀬を迎えることになりそうです。



 2011/12/11 22:05  この記事のURL  / 

2012秋冬素材展 東レ展
 2012年秋冬東レウィメンズ&メンズマテリアル展が11月30日から12月1日の2日間行われました。「PRIDE of GOUSEN」のもと同社の選ばれた素材が並びました。
 合繊が最もその威力を発揮する機能性は震災後ますます重要性を増してきました。
 合繊と天然の複合、特殊加工を施した樹脂や膜、高密度に織り上げる技術、目に見えぬほどの極限の細さへの挑戦など、私たちの想像の範囲を超えています。
 化学の世界の専門性は別にして、毎日の生活の中で便利で快適に着られる実感が機能性を何より身近なものにしてくれました。
 そして冬にはやはり保温や蓄熱、暖かさが一番かもしれません。
 今回の展示会にも “ソフトで優しい着心地の発熱・保温機能素材” としてcrosswarmクロスウォームが紹介されました。
 クロスウォームは “マイクロアクリルとレーヨンの混紡糸とその特性を活かしたファブリケーションの組み合わせにより、優れた吸湿発熱・保湿機能性と優しい着心地を兼ね備えたファッションテキスタイル” と定義付けられていますが、すでに市場に出ているもので最近更に研究開発が進んだ素材です。
 ウールやアンゴラ、ナイロンとの交織、保湿防水の機能を持つ膜材を挟み込むという新しい技術も開発されました。
 混率も織り地編み地も様々に変化させていますが今までになかったウールライクの味わい、温かみ、柔らかさ、ふんわり感があります。
 ライクラが加わって伸縮性が出るのも魅力です。


入り口のコート(To44 R30 N24 Ly2)


グレーのパイルニットのパーカー(To30 R20 W30 N20の柔らかなジャージー)


グレーのコート(N5 W48 To23 R15 Ag5 Ca4)
 などにその特徴が感じられます。

 また正式な発表を待つALS(仮称)は “極太の特殊ナイロン原糸を使用した軽量ツィード新素材。組織が際立つ表情豊かなテクスチャーと空気を取り込んだかのような軽やかなボリューム感が丸みを帯びた洋服のシルエットをモダンにします。”


写真はN58 W35 To5 R2のコート。

 その他新しいピーチスキンタッチのPRIMOGELO(プリモジェロ)やオハコともいえるポリエステルの薄地素材Sillook Lumisty(シルックルミスティ)にもマイクロサーフェイスのシルキー素材として更にストレッチも加わり充実進化しました。
 薄手にも中肉、厚手にも新しい合繊の波が押し寄せてきたようです。
 2011/12/06 21:54  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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