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2012SS PremiereVision シーズンアティチュード(観点となるもの)
Premiere Vision 2012 SSのプレ情報をお伝えします。
詳細の報告は2月中旬の予定。



Perspective(展望)
 建築資材に触発されたような改革的な技術を伴った素材。
 厚かったり極薄だったり伸縮性のない安定したものと、しなやかに伸びる素材。
 不透明も透明もというような洗練とテクノロジーを共存、統合させる。
 矛盾も楽しむ。
 儚い光沢や不規則な幾何、手描き風まで。

素材のキーポイント
・Architected Transparency(構築的な透明感)
 軽いボイルやオーガンザなどが表現する空気をはらんだようなマルチレーヤード。
 嵩だかのチュールやガーゼ、すかし模様
・Opaque Lightness(不透明な軽さ)
 コンパクトなウールやコットンのスーツ地。
 防水、防風の機能を持つ極薄素材。
・Variable Geometry(変化する幾何柄)
 わずかな歪み、手書き風のリピート柄、マイクロストライプ、方眼紙のチェック、パンチングなどの繊細なグラフィック柄。
・Smooth Density(滑らかな密度)
 ナイロンやナイロン/綿で表すつや消しのプラスティックのような素材。
 対照的なフォーミーなコーティング、軽くて薄いボンディングなど。
 デザイン性の高いアウターに適したしなやかで伸びないニット素材。
・Inner Shine(秘められた光沢)
 素材の中に潜む光のきらめきや虹色、真珠風の光沢




Openmind(オープンマインド)
 不均衡や折衷的が小気味良い生意気さと開放的なファッションを生み出す。
 強い個性のあるファブリックで自由で溌剌としたコーディネートを作る。
 極端なまでのスポーツマインドはシックなものと興味深いコントラストを作る。
 マルチカラーとニュートラルカラーを同居させる。
 ナチュラルにさえ見えるプラスティックのような光沢。
 奔放でユーモラスなモチーフ使いのラグジュアリー。
 独自性に賭けること。

素材のキーポイント
・Colours with personality(個性的なカラー)
 堂々としたマルチカラー。
 ファンシーヤーンをふんだんに使ったウールやコットン。
 ビビッドカラーベースのプリント。
 マドラスやタータン。
 カラフルな刺繍やレース。
・Chic Humour(シックなユーモア)
 プリント下地と柄のズレ。素材本来の味を曖昧に。
 カラフルで異例なまでのミックス効果を狙った平織り。
 ユーモアのある柄のジャカード。
・Ripstick Plastics(リップスティック・プラスティック)
 透明またはビニール調のコーティング。
 スパンコール、厚塗りのマニキュアのような艶。
 つるつる、きらきらのニットやシルク。
・Urbanised Rawness(都会的センスを持った粗野感)
 リネン、コットン、シルクのナチュラル感。
 基本的な平織り、ファンシーなバスケット織り、ざっくりガーゼ、素朴なレースや刺繍。
 ごつごつしていて実はしなやかな素材。
 プリミティブはファンシーさで再構築。
・Easy Performance(イージーパフォーマンス)
 シティウエアとアクティブスポーツ、両者の特徴と美学が行き交う。
 防水、速乾、ストレッチなどの機能性がシックさを生み出す素材。



Sense & Essence(感性と本質)
 懐古趣味ではなく現代の技術によって、より豊かになる本質と感性。
 シンプルな概観、天然、合繊の緊密なる交じり合い。
 これらは更なる新しい触感と性能を生み出す。
 すっきりした表面感でありながら、どこか中古感をもち豊かさの伝わる素材。
 色は洗ったりオーバーダイをかけて微妙に変化させるが、どれも清潔感を残す。
 装飾を排除し簡素にして素材を引き立てる。
 巻きつけたり、包み込んだり、たたんだり、ドレープをつけて素材の端はしまでファンシーさを失わない。

素材のキーポイント
・Botanical Poetry(植物の詩)
 生花、南の島、鳥などのモチーフ。
 正確ではあるが溌剌としていて伸びやか。
 ソフトカラーまたは超自然な色使い。
 下地は軽く繊細なものでファンシーさを強調。
・Sensitive Surfaces(高密度な表面感)
 リネンのスラブ、コットンやシルクのマイクロネップが表面に変化をもたらす。
 スーツやシャツ、ニット向け素材。
 手が込んでいて微細、細い畝の入った布帛やニット。
・Wellbeing Function(満足のいく機能性)
 バイオセラミック、抗菌、UVカットなどの機能性がビーチウエアからデニムまで欠かせない。
 環境に優しい染色フルオロカーボン(フッ化炭化水素)なしのコーティングなどエコも実践。
・E―motional Colour(感動を与えるカラー)
 イレギュラーだが清潔感のある無地やファンシー素材。
 品質、洗練性が高まり都会的になったインディゴ、ストライプ入りのポプリン、こざっぱりしたチェック、エレガントな紋様柄。
 製品染めや洗いで織り組織や柄が際立つ。

(※以下写真の素材は参考イメージ)




 2011/01/23 23:35  この記事のURL  / 

Premiere Vision 2012SS展 1 NY展より
 2月8〜10日パリで行われるPV展に先立ちNYで先週開催された2012年春夏向けの同展のカラー情報をお伝えします。

 たっぷりと色味を感じさせるフルカラーも抑えた色も自由に行き交う全24色が提案されました。その特徴は次の通りです。

・土の色、金、白を使ってソフトに静けさを漂わせたり、軽快にまっすぐ立ち上がったようなトーンに仕上げる。

・色自信の持つリズムで揺れ、ダイナミックにもスムースにも巧みな動きを見せる。
 クラッシュしたようにもデリケートにも流用できるよう考える。

・それほど白っぽくはない、カラフルなペールネス。

・中途半端ではないハーフトーンはナチュラルと夢見るような狭間で振動する。
 ダークカラーはピグメントでゴージャスにしてそれほど暗くなく。

・色たちは均衡不均衡を問わず、上昇志向を示し楽しげな不協和音を奏でる。
 しっかりとコントロールされた不安定な前進でもある。

・カラーは例外的なマルチカラーを作り出し、より力強い選択をし、際立った視覚効果を生み出す。

 2011/01/18 01:10  この記事のURL  / 

Matohu(マトフ)「慶長の美」展
 新年の店頭がSale一色の中で、久しぶりにワクワクする展示会(展覧会といったほうが適切かもしれません)を観ました。
 1月8日(土)から19日(水)まで、表参道のスパイラルガーデンで開かれているmatohu(マトフ)の「慶長の美」展です。
 安土桃山から江戸時代へ移り行く1600年前後20年間に花開いた「慶長(1596〜1615)時代には数々の工芸、アートが生まれましたが、そのほとんどが幻に終わったり、伝統工芸としての確立には至っていないようです。
 マトフ(デザイナーは堀畑裕之氏、関口真希子氏)ではここに注目、執着し、2005年のコレクションから2010年の5年間、10シーズンにわたってそのルーツを探り深いこだわりを持って発表してきました。
 今回の展示会はその集大成とも言うべきものです。
 残念ながら素材についての説明がほとんどなく、推察するところでは古くからの手法を重んじながら現代のテクニックも取り入れ、慶長時代の生活文化に根ざしながらも、今の素材の製法に基づいた作り方がされているということです。
 辻が花の絞り染めや蒔絵の技術は輪の伝統工芸ではありますが、「長着(ながぎ)」という洋とも和とも取れる衣装で表現することによって、コートでありドレスでも合って、かつ羽織るジャケットとして、独特な味がありながら今の生活の中で違和感のない存在になっています。

 大手アパレルのもの作りでは考えられない仕組みをもつマトフの商品がナチュラルであり、きらびやかさを持ちながら渋さも感じさせる、という不思議な魅力を持って静かにファンを増やしていることは大いにうなづけるものがあります。
 素材からクラフトワーク、更にプレゼンテーションまで、沢山の企業やスペシャリストが協力していることにも熱いものを感じました。

 展示されているテーマと作品(一部商品もある)を紹介いたします。




「織部」  黒の厚手の綿 白の部分は和紙






「帷子」(夏小袖)  オーガニックコットンに防染のりで茗荷のモチーフのプリント。家康の浴衣から。(下の写真はクリックで拡大)


「高台寺蒔絵」  3種の金粉を使用。本物の蔦をコピーして図柄を作り粉箔でプリント。

「嵯峨本」  和紙のような生地に雲母を混ぜた染料でプリント。

「南蛮」  スペイン、ポルトガル文化の匂い。




「志野」(秋草の影)  麻布に酢酸を刷毛でひいて鉄粉をまいて錆びさせた鉄絵。






「慶長小袖」  綸子に具象、抽象を組み合わせた黒、白、紅の絞り染め。金箔や刺繍を加える。七宝のブローチがモダンな味わいを添える。(下の写真はクリックで拡大)






「辻が花」  桃山時代の絞り染め。 絹の縮み風素材に絞りとプリント。(下の写真はクリックで拡大)






「かぶきもの」  「かぶく」ことを表現。この時代の大切なキーワードと見受ける。歌舞伎の起源は慶長8年。黒にラメ入りの長着。(下の写真はクリックで拡大)
たてー黒  よこー黒、鉄紺、濃紫、深緑 ラメー白×黒




「織部U」  代表的な織部焼きの四角い皿からのイメージ。
 2011/01/10 23:46  この記事のURL  / 

春立ち上がり 1
 明けましておめでとうございます。
 厳しい話が耐えない昨年の業界ではありましたが、次の十年に向かってそれぞれの分野で新たな覚悟と決意が示されました。
 テキスタイルビジネスも中国生産の問題、国内産地の課題、素材展のあり方、リスクの持ち方など、従来より抱えていた問題点を納得のいく状態に持っていく努力が急務です。

 少々暗い話からスタートしますが、それでもファッションの持つ美しいもの、夢を与えてくれるもの、楽しいものに勇気付けられることはいうまでもありません。
 いっそのことマイナスになることには目をつぶるというのはいかがでしょうか?
 ここまで悩み考えた後は、開き直って前に進むしかないのでは?

 表参道界隈の元旦の風景は、いつもと変わらぬラグジュアリーブランドの見ごたえのあるウィンドウから始まります。
 しかし骨董通りには空き店舗が並び、一歩中に入ると今まであった店がなくなり、空き地や駐車場が目立ちます。
 次への期待はあっても新春の光景としてはさびしい限りです。
 店頭も昨年同様saleのプレゼンテーションが圧倒的に多く、正月、新年を伝えるような表現はめっきり減りました。
 ただしセールには良いものが多く、ブランドによっては2日からの新春売り出しで集客に成功し好成績の店舗もあるようです。

 1月小寒のころからは東京も本格的な寒さが到来し、セール商品にとっては絶好の販売チャンスでもあります。
 薄くて軽いナイロンのダウンコート、クラシックなウールコート、ツィードのジャケット、ベストやカーディガンジャケット、ドレスという新しいアイテムで展開されているニットなど、人気だった商品も豊富に見られます。
 ファーは小物雑貨からベストまで、今シーズンのベストアイテムであったこともあり、セールには数少ない、と見受けました。
 今必要なもの、今着られるものに「ラグジュアリー」というステイタスが加わった魅力はセールの本来の目的かもしれません。

 本格的な春ものの出現にはもう少し時間が必要で、それまでの間来シーズンのためにプロパーを含めた冬物素材をじっくり見ておきたいものです。





 2011/01/07 21:38  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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