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コート市場と素材について
 今年も残すところあとわずか、21世紀最初の10年が終わろうとしています。
 様々な問題や課題が次々と出てきてテキスタイル業界も大波を乗り越える力を蓄えたところ、小波がボディーブローのように効いて抜本的な改革が必要になっているところなど、決断の年でもありました。
 一方で川上の素材メーカーが積極的に川下の小売りや消費者、またはアパレルデザイナーと情報交換をする機会を作り始めたように思います。
 エンドユーザーの思うところをどのように受け止め活用できるかは今後の素材作りに大いにかかわりのあるところでしょう。
 秋から冬にかけての変化の一つにウール素材への再注目があります。
 クラシックをテーマにしたライン、上質なベーシックテーストにはツィードやフラノタイプの素材が似合うことなどが理由です。
 すっかり浸透した非ウールコートを愛用しながらも、そろそろウールのコートを着てみたいと思う人も案外に沢山いるようです。
 夏のドレスと冬のコートが百貨店の婦人服売り場の柱であったころに比べると、平場がなくなりそれぞれショップやブランドに含まれた売り場に置かれるようになったこと、ポリエステルやナイロンを表地に使った中綿やダウンが登場したことも大きな変化でした。
 この変化の第一線上にいたのが合繊であることは否めません。
 今シーズンに見られた両素材はどちらかに偏ることなく、優劣が度々代わりながらシーズンを終わろうとしているのも稀なことです。
 消費者にはさほど気づかれないところかもしれませんが、合繊もウールもベーシックに隠された深い改良がなされています。
 特に最近の「軽い、柔らかい、しなやか、上質感」更に「ストレッチ」であることなどに応えるには新しいテクノロジーが使われています。
 クラシックやベーシックが今の時代に相応しいものであることが求められるからです。
 特に「ストレッチダウン」や「ストレッチフラノ」を手にする消費者のレベルがかなり上がっていることも見逃せません。
 合繊のコートに親しみながらもウールコートに魅力を感じる、というのが現実なのです。
 そのポイントは素材の違いはもちろんのこと、その素材感を生かしたデザインの魅力であることはいうまでもありません。
 来年のコート市場が楽しみです。





 2010/12/26 22:03  この記事のURL  / 

春一番の素材 2
 ファーとの相乗効果で春のアイテムが出ています。
 クリスマスホリデーと新春がうまくマッチングしたウィンドーの素材に久しぶりに感激をおぼえました。
 周辺の冬の彩りにはウールや厚手のニット、ダウンなどとともにファーが目立ちますが、そのファーが薄手の素材との組み合わせで春を装っていることは前回にお伝えしたことです。
 厳しい業界の動きではありますがファッションが持つ美しさや優しさは着る人にも見る人にも心地よく夢を与えてくれるものであるという原則は変わりません。
 新しい毛皮の使われ方もそんな素材の一つですが、そのファーに頼ることなく飛び切り上質の春のウィンドーが12月中旬から登場してきています。
 実用的で買いやすい価格のカジュアルウエアに慣れ親しんできた身には、一瞬ハッとさせられるインパクトがあり、本来ファッションやモードの持つ役割を改めて考えさせてくれるものです。
 上質な綿のレース、重さが気品をあらわすかのようなシルク、レーヨンの光沢、目の詰まったニットのしなやかさ、繊細なトーションレースをつなげたフリルのドレス、甘さを抑えた大人のピンク、少しアンニュイなレトロ感のあるバラの花のプリント、などなど。
 価格を忘れてウィンドーをちょっと覗いて見ませんか?








 2010/12/15 23:33  この記事のURL  / 

ファーアイテムの魅力
 クリスマスシーズンたけなわの12月上旬のウィンドウは、新春ものも登場し始めます。
 ホリデーの華やかさと重なり、着飾る楽しさはクリスマスと新年も同じということでしょうか。
 シーズンの立ち上がりは店頭や店のウィンドウの大切なプレゼンテーションの場でもあります。
 この時期ファーの存在が目に付くのは例年のことですが、今シーズンはとりわけファー関連の小物、アクセサリーを含む服飾雑貨、ベスト、ジャケットの売れ行きが好調です。
 そろそろ出始めた春ものへのブリッジとして、薄手のドレスやブラウス、チュニックなどとファーアイテムと組み合わせることにより、「クリスマス」と「新春」を同時に演出しているディスプレーを沢山目にします。

 大げさではないファーの扱いとフェイクの新しい楽しみ方は、今までにない消費傾向を生み出しました。
 ラグジュアリーでもありカジュアルでもある、フェミニンでもあり、スポーティーでもある、動物のようにワイルドでもあり貴婦人のようにもなれる、などなど。
 更に春物として出ているコットンやシルク、レースとの組み合わせは着る人の意思によってどのような場面にも適応できるものになりそうです。

 マイナーな存在と思われていたファーアイテムがこれほど多くの場面で見られるのは初めてかもしれません。
 店頭で見た新春を装う素材とファーの組み合わせのほんの一例をご紹介します。



 2010/12/13 00:46  この記事のURL  / 

ウールとマイクロファイバー
 今シーズンはクラシックに関連したテーマが挙げられ、ウールへの期待が高まっています。
 秋冬を代表する素材として長い間ウールがその役割を担っていましたが、90年代から合繊を表地に使ったダウン入りのコートやジャケットが出回るようになってコート素材は大きく変化しました。
 この間の「価格」「機能性」「イメージ」の変わりようは言うまでもありません。
 ウール、もしくはウールの複合素材と化合繊のミックスの2大分野がコートやジャケットの袂を分けていますが、上質なベーシックやクラシックの流れの中で両素材が互いの分野に大きく進出してきた気がします。
 つまりウールにも中綿が入り軽快でスポーティーなジャケットやベストが出てきたこと、高密度織物もしくは極細糸に新しい加工が施されスポーツテイストからエレガントでラグジュアリーな化合繊の使われ方がされていること、ウールの様に見えながらナイロンやポリエステルやキュプラなどのミックス素材であることなどに驚かされます。

 先週行われた東レの11-12秋冬向け素材展で発表された「Sillook Lumisty(シルックルミスティー)」はマイクロサーフェス構造で独自の表情を出し、柔らかく深みのある光沢を持つポリエステルです。
 乱反射に似たひかり加減がしわ加工とは違う優雅な表面感を作り出しています。
 似たものはすでに店頭でも見られますが、ドレス対応に適した新しいシルックルミスティーは、その肉感も含めて来シーズンのドレスやエレガントなボトムス活躍しそうです。
 同時に紹介された「クロスウォーム」はウールを使わずにウールタッチを表現した素材です。
 N79/ポリエステル11/R6/Ly4の混率やCu50/N30/P11/R6/Ly3で紡毛風でもあり合繊タッチでもあるパンツが作られていました。
 ウールとマイクロファイバーは急接近中です。


 2010/12/05 23:39  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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