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2011−12AW向け素材展 1
 10月はJFW関連のコレクションや展示会、素材展が目白押しでした。
 猛暑からいきなり晩秋、初冬という舞台の幕が開いたような戸惑いが売り場にも消費者にも見られます。
 厳しい状況下でのもの作りの大変さは言うまでもありませんが、その提案や対応も大きく様変わりをしているような気がします。
 素材展はいわば業界プロ同志が参画する展示会です。
 的確な判断とリスクを背負う潔さが作り手と買い手の双方にないと難しい・・と痛感します。
 素材展の中の秀逸の提案と素材にこだわった製品のブランドをご紹介します。

JC(ジャパンクリエーション)10月13,14,15日
 日本の素材展の最高峰のポジションを持っていたJCは、それぞれの地方産地展やグループ展への移行が見られるようで、その分絞り込んだ出展体制をとるという変化が見られます。
 テーマの打ち出しやトレンドファイルとしてスワッチが提案されるのも同展ならではです。
 今回も秀逸は天池合繊の「天女の羽衣」でしょう。
 7デニールのポリエステル糸の細さに心奪われるものがあります。
 この技術をガーメントとしてこなすには限りがあることは課題でもあることは否めません。
 織物の特徴(軽さ、薄さ、透明感など)に合った使い方としてはスカーフやパリオペラ座でのバレーコスチューム、テクニカルな使い方によるドレスやトップスなど、回を重ねるごとに用途開発も進みました。
「天女の羽衣」は今回SOMARTAの広川玉枝さんによるコスチュームが発表されました。
 素材も新たなラインが加わりました。
 中でもシルクとポリエステルを染め分けしたストライプは、タテ5D×ヨコ7Dのシャンブレー効果を出したもの、チタンコーティングを裏面に施し、表面をシルバー光沢にしたもの。
 エンボス加工で柄を出したものとともに展示内の最大の話題です。
 7Dの細さは糸にすると肉眼ではほとんど見えません。
 この糸を機械にかけて織る技術に特許があるようです。
 量産が難しいこともあって価格は高いのですが、幅が150〜160cmで1m5千円から1万円の「天女の羽衣」は言葉にし難い不思議な魅力を持っています。


(クリックで拡大)





 2010/10/31 21:47  この記事のURL  / 

PVと市場
 PV展を見てこのところ急速に感じるのは、その時期のパリ、ロンドン、ミラノの店頭でよく似たものがすでに見られることです。
 でもこれが“がっかり”を意味するものではなく、むしろそのことに意を強めるような気がします。
 前回にもまとめましたが、ウールを中心にベーシックが見え、ツィードを新鮮に見せるデザイン力を感じ、またファーの使い方の広がりに来シーズンへの期待を持つほどです。
 全体にはクラシックやオーセンティックを前提にして、その横にスポーツやアウトドアなどが並び、一方でエレガントなフォルムや装飾性につながるルサージュやモードの世界が繰り広げられていると感じました。
 この両方に機能性、民族調、ハイテクでありながらピュアな未来志向などが絡みます。
 話題性に富み、優位であった合繊は失速するのではなくたくみにこの状況に効果的に存在感を発揮していることにも驚きます。
 情報の行き来がこれだけ早い昨今は、有名ブランドは世界の主要都市のどこでも同じラインが見られる状況ですが、同じマネキンや什器を使っていても見え方の差が大きいことも事実でしょう。
 そんな中、今回は薄く軽いポリエステルやナイロンと中肉のキュプラや複合素材、その対極にあるようなファー(特に今シーズンはフェイクファーを含みます)を沢山見ました。
 ダウンジャケットのための表地はますます薄く軽くふんわりとダウンの味を損ねないようにしたり、繊細な刺繍やプリントを施したり、やや厚めのナチュラル感のあるもの、光沢のある化合繊が増えています。
 ファーは先ごろまでの本物の毛皮へのこだわりとともに、デザインや使い方が自由になるフェイクファーが出てきました。
 スポーティにもエレガントにも自在にこなされた化合繊とファーは要チェックです。
 パリの店頭での一例をご覧ください。











 2010/10/24 22:28  この記事のURL  / 

PVで際立った素材と店頭
1 ベーシックウールとツィード

 その数の膨大さと内容の濃さにいつも圧倒されるPVの各フォーラムですが、少し客観的な目で見ると今回は今までとの違いや特徴が明快に出ていたような気がします。
 触れて気持ちのよい素材、特にソフトであること、軽さなどは継続する中で、ウール、ウールタッチの素材が急増しました。
 予測や提案はあったものの、どちらかというと合繊に押されてテクニカルな処理に感動するシーズンが続きましたが、来秋冬に向けてこれらのハイテク(特に機能素材)やナチュラル、エコの基本的な考え方が化合線のみならずウールを中心とする天然素材に及んだといえます。
 このことを実証するかのようにロンドン、パリの店頭では、トレンドでもあるクラシックやオーセンティックの流れとあいまってオーソドックスなウールの使われ方があちこちで見られました。
 もちろん日本でも注目されているブランドがほとんどですが、店内でのディスプレーやウィンドーのプレゼンテーションの潔さはやはりより強い迫力を感じました。
 特にベーシックなフラノタイプ、ツィードは決して素材が一人歩きするものではなく、シルエットやデザインとのバランスの上で初めてシーズンのリード役になれることを痛感しました。
「ポール・カ」や「マックスマーラ」をはじめとする定評のあるエレガンスラインを持つブランドがこぞってこれらの素材によるアイテムを展開していること、更にアウトドアを含むスポーツウエアでも機能性が加わったウールでジャケットの領域を広げています。
 東京でも同じ傾向が感じられますが、本格的に消費者に伝わるのは次の秋かもしれません。
 そんな時間差がもどかしくもあり、有難くもありというのがもの作りの妙かもしれませんね。









 2010/10/17 23:05  この記事のURL  / 

2011-12AW PV 最終用途に向けた素材提案
 PVの提案の中でアパレルメーカーにとって見やすいのは採集用途に向けた4つのテーマによる提案です。
 実際に会場で見たり触ったりした素材によく似たものが同時期のロンドンやパリの店頭で見られました。
 会場ではどのようにまとめられていたか、ポイントとなるキーワードとともにお伝えします。

1 Seduction
 ファンシーで流れるようなラインを作り出す素材。
 トップスやインナーからコートまで。
 シルク、プリント、レース、刺繍、リボン、ニット、ファンシーウール、フェイクファーなど。
 このフォーラムでは「toutch(タッチ)」と「see(シー)」というポイントが挙げられ触角と資格を同時に楽しめる意図が伺われた。

・プリント
 earthy mist
 effacings(消したような)
 strange nature
 zoo 猫 オオカミ 自然
 animal アニマル柄
 imaginary vegetation 大柄植物
 hand drawn
 stardust 空 星
 modelables
 presious blackening(気品ある黒の光り)
 vibrant geometry シルクのふくれジャカード
 sirupy(sirup) シロップのような
 washed fluidity
 equestrian(騎手) スカーフ柄
 citified ビルの絵 織りとプリント
 feathers & skins 羽
 lusty velvet
 airly cosy
 wool ornamentation ウールレース ロービングヤーンとネット
 decoratively retro
 beyond tradition チュールレース
 opalescene 豪華レース
 imaginary animals
 graceful alteration
 discreet opulence
 broodly incised(切りつけたような、血の滲んだ)
 warm guipure 暖かそうな厚手のレース


2 relax & distinction
 このフォーラムでは「relax」と「distinction」の相反する二つのテーマが一緒になり、素材使いの対比と融和画提案された。
 両者をつなぐのが「シャツ」!!
 デイリーカジュアルのリラックス感とテーラードが作り出すきちんと感の両面に、素材が如何に対応するかの提案はとても興味深かった。

2-1 relax感を中心にしたくくりではカジュアルウエア、スポーツウエア、ジーンズウエア向けの素材が提案された。

・スポーツウエア
 city code
 waxy
 colour mashs
 extra soupless デラベ テロテロ
 skin deep
 reassuring
 massive
 stretch
 irregular
 extrasoft

・デニム
 natural irregulation
 fantasy ふくらみ ジャカード
 black mood
 city code
 shearings ダブル シャーリング 裏ファー
 shirting
 play with blacks
 cloudy paints

・プリント
 folks ペズレー
 flowers & flowerets
 camouflage
 little secenes 鳥 動物 飛行機

・ニット
 cuddly (抱きしめたくなるような)ボア、ニット、畦編み
 thick jumpers 雪柄
 fleece

・コート向けニット
 velvety & velvets
 double lightness 
 cosy fineness 

・シャツ
 douny  綿毛のような
 warm
 nonchalant
 misty chines
 multicolored softness
 city gingham 小柄
 in full 多色使い
 finesse stretch
 meticulous 細やかな
 girls costume

2-2 Distinction エレガントな装い。
 フォーマルウエア、テーラードスーツ(マニッシュ)を表現するための素材提案。
 シャツはrelaxと共有でき、ブリッジの役割を持つ。

・コート 細身か包み込むようなフォルム
 compressed (圧縮された)
 cosy carded
 rain prrof
 luxuary smooth 毛足あり ジャカード ラッセルモヘア 柄もの
 voluptuously cosy ケンピ ノルディックチェック

・スーツとアンサンブル
 muffled gleam スーパーエキストラファインウール フェザーウエイトでソフト
 stretch resort 合繊中心
 stretch confort

・ライトウエイトのジャケット&コート しなやかさが大切
 naturally imperfect
 a heart of soltness
 dark gleam 光 光沢
 rigolous diagonal
 double roundness 柔らかな二重織り

・ライニングへのアイディア
 裏地にも表地にも使えるもの
 ジャカード、サテン風 チェック柄


3 pulsation
 高性能素材、技術革新から生まれたさまざまな機能性を駆使したスポーツ、ランジェリー、デイリーウエア向けの素材。

 cosy(心地よさ)も同時に求められる。
 carapace 甲羅 厚手
 cosy protection アクアラングのような厚いものからフリースのような鹿の子まで。
 composite fineness
 bi−stretch
 recycled 固め
 anti−choc 資材を思わせるような厚手の化学繊維
 multi−performants
 feathery でもしっかり感
 angel skin 厚い皮膚感覚
 a breath of air 通気性があるが透けない
 weightless
 finely waxed 軽くて光沢がある
 ultra plains 二重織り 丈夫そう
 urbannised
 performant wools 合繊風ウール、機能性、二重
 rubbery ゴムのよう ラバーコーティング
 stretch protection
 fast dry 速乾性 カサコソとした触感
 intimate レースが沢山
 finely stretch
 knit(ジャージー)race

※ジャージーが非常に多い


 今回は文章のまとめが多いので、具体的な写真を選出しませんでした。
 次回にはヨーロッパや東京の市場での発見からPVの提案を照合したいと思います。


 2010/10/08 23:22  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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