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2011年秋冬素材予測
 ツィードは人気素材になるでしょうか?
 2010年も三分の二が過ぎました。
 これほど暑いのに暦の上では秋は確実にやってきます。
 二週間後に控えたプルミエールヴィジョン展を前に、素材業界では慎重な予測がなされているようですが、消費者の目から見た市場性について少し考えたいと思います。

 昔から秋冬を代表する素材としてまず「ウール」があり、「毛皮」「ニット」が続いた時代がありましたが、今は大きく様変わりをしています。
 素材の専門的知識から言えば技術開発による新しいテキスタイルが次々と生まれ、機能性のある素材やゴージャスでファンシーな素材がいくつも浮かびますが、現在の消費者にとってこの三つは「ダウン」「レザー」「カットソー」へと移行することが多くなりました。
 そんなことを十分認識した上で、このところ毎シーズンのように話題になる素材が「ツィード」でしょう。
 今年も汗だくの店頭でも8月の半ばからツィードが見られました。
 意図的に仕掛けている産地もあります。
 少々辛口になりますが気温の高い状況で見るツィードは正直“暑さ”を益々強調するものになることがあります。
 同時に“ツィードの常識”のようなものが変化していることを感じます。
 どんなに暑くても“本物のツィードの魅力”はその表現が適切であれば私たちを納得させてくれることは言うまでもありません。
 その証拠にシャネルのウィンドウには早くからツィードが見られました。
 オーソドックスでもあり豪華でもあり、そしてスノッブなシャレ気さえ感じます。
 マントやバッグなど今まであまりツィードが使われなかったアイテムの展開も魅力的です。
 ツィード素材は糸使いや色の組み合わせ、織り変化でクラフト的なものやアーティスティックなものからプレーンでフラットなものまで様々に広がります。
 ガーメントに落とし込まれるときには、色、素材、デザイン、シルエットのバランスが必要になり、デザイナーの腕の見せ所でもあります。
 消費者にとって「柄」を感じさせるツィードと「無地」のフラノ、モッサ、ブランケットなどに求める「ウール感覚」はほぼ同じものでしょう。
 化合繊に施される繊細なテクニックがウールにも展開され始めた中で、ツィードの市場性が気になりますが、ブレードやファーと組み合わせたり、軽さが求められたり、新しいツィードには新しいバランスが必要になりそうです。
 日本での市場性を注意深く見たいものです。



 2010/08/29 23:09  この記事のURL  / 

PremierVision11-12AWプレ情報 3 11-12AWに向けての素材ポイント
 相変わらずの猛暑が続く中で、店頭は少しずつ秋に変わっています。
 3週間後に迫ったPVの予測情報をお伝えします。
 ジェネラルフォーラムで示されると思われるテーマは4つ。
 前回ご紹介したファッションの流れとともに素材の重要なポイントになりそうです。
 現市場で見られる際だった素材使いを例にとってイメージを膨らませてください。

1 VISIBLE(視覚効果の高いもの)
 視覚効果を高める糸使い、構築的なもの、太番手の糸使い、組織変化などの素材でジャケットやコートに向けたもの。
 ニットにも展開される。



2 MOVING(動きのあるもの)
 濃密で繊細なニュアンス、触感、感性を重んじたもの。
 ソフトでストレッチ性があること。
 これらが動きのあるシルエットを作り出す。
 卓越した幾何学パターン。
 少しずれたような不規則性が新しい。
 かすかな陰影が大切。



3 FAMILIAR(おなじみのもの)
(紡毛糸)
 霜降り糸、意匠糸を自在に使ったツィード。
 再生紡毛糸を使った織物でジャケットやコートを作る。



(パイルとベロア)
 ベロアやフェイクファーの手ごたえのある柔らかさと象徴的な意味を強調する。
 しなやかさと柔らかさのあるスエード調、マットなレザー調、ムートン、裏皮など。
 北国、北欧などの寒い地方のフォークロアからヒントを得たモチーフや柄。



4 MYSTERIOUS(神秘的)
 凝りに凝った素材。

(ミルフィーユ(マルチレイヤード)何枚もの重ね。)
 ダブルフェース、オパール加工、カットジャカードなどを重ねてパターンを判りにくくする。

(ウール)
 ふんわりとしたウールを重ね、重さを感じさせずに温かく包み込む。
 ソフトで軽いモヘア、優しいウール、ウールの刺繍やボイル、保温性を高めたシルクやレース。
 軽く羽根のようにふんわりしたニットやガーゼ。

(もや)
 外見が曖昧で汚れてはいないが磨耗した感じの素材。
 色が褪せて茶色みを帯び古びたように見える素材。



(控えめな光沢)
 切子細工のように光沢を分散させたような素材。
 シルク、レース、薄手ニットなどに虹色の光沢を散らす。
 刺繍やジャカード、無地風素材にマットなスパンコールを組み込んできらめきを曖昧にする。
 ダークな玉虫効果。

(奇妙な柄)
 現実と非現実の間、超自然的な植物、創意に富んだブーケ、鳥の羽と植物の葉を掛け合わせたようなハイブリット。
 ダークカラー、姿形のはっきりしない不思議な花。
 水に溶けたようなピクセル柄。
 2010/08/22 22:38  この記事のURL  / 

プルミエールヴィジョン 2011-12秋冬 2 素材予測
 9月14-16日に開催されるPVの素材プレ情報を簡単にまとめます。
(写真は他展のものを参考にしています)


 ファションの方向性を三つに捉え、素材の特徴を挙げています。
 そのポイントは次の通りです。

 '11-12AW素材は、積極的で動きのあるシーズンとなる。
 カジュアルが強まるが、その中にエレガントやシックが十分に含まれる。
 ウールと綿がより結びついたり、ハイファッションがイージーウエアと連携を取り、アクティブスポーツウエアとカジュアルスポーツウエアの距離も縮まる。

1 オフビートな厳密性
 クラシックに自由奔放なひねりを加える。
 糸の面白さ 起伏や織り組織効果
 熟慮された常道(保守的や当たり前の)外しで新しい装飾性を生み出す。
 手ごたえのある流動感 特異な幾何学パターン





2 オーセンティックとエキセントリック
 伝統的要素に現代性を加えてエキサイティングさせる
 ファンシー×プレーン エコとテクノロジー
 遊び心とユーモアで両極をつなぐ
 コントラストは弱まりいつもとは微妙に違う新しさが生まれる。
 ファンシーな紡毛 ベロア デニム イミテーションファー
 奇妙なツィード 美しい柄





3 ポエティックな領域 
 芯から柔らかな素材 ふんわりと暖かなウール素材
 テクノロジーも詩の世界に近くなる
 保護の役割りを果たすもの 
 繊細に積み重ねられたような色と柄 ミルフィーユ
 不思議な雰囲気のある柄 控えめな光沢 大地の靄(もや)のような
 ほんのり ぼんやり 夢幻的
 ソフトさと高性能 ロマンティックな未知の近未来スタイル

 2010/08/17 21:43  この記事のURL  / 

PremiereVision11-12AW プレ情報 1
 どんなに猛暑が続いても確実に季節は進行しています。
 暦の上では立秋となりました。
 9月14から16日まで2011−12年秋冬向けプルミエールヴィジョンがパリで開催されます。
 そのプレヴュー展ともいうべき展示会が7月にニューヨークでありました。
 カラー情報はパリで発表されるものと同じなので、事前情報として簡単にお伝えいたします。
 来秋冬に向けて全23色が提案されました。


(画像をクリックで拡大)

1から8のグループ:more than nourishing(滋養のある)
温かみがあり滋養が凝縮されたような色。果肉たっぷりのジャムのようなレッド、オレンジ、ピンク系の色が際立つ。

9から16のグループ:more than natural(自然の)
やや曖昧で冷ややかではあるが、力強さを感じる色。
凍りついたような、光り輝く、鉛のようにずっしりと、など様々に変わる地平線のような色。

17から23のグループ:more than essential(本質的)
基本的ではあるが決して凡庸ではないエレガントはニュートラルカラー。
ベーシックカラーに厳格さを加え、安心感と同時に大胆さもうかがわせる。

 素材提案も秋冬ではあるが、動きのある積極的な表現が主流になるといわれています。
 エキセントリックとオーセンティックの境界線も曖昧になるようです。
 攻めの姿勢が感じられる9月のパリ開催に興味が沸きますね。
 2010/08/10 22:36  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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