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2010年春夏市場から見る素材の総括 3
 素材が季節を表す効果が大きいことは言うまでもありませんが、昨今は複合化が進み原材料を特定することが難しくなりました。
 逆に今シーズンはサファリやマリンというテーマがわかりやすい素材のくくりを作ってくれているような気がします。
 またファンタジックなイメージを持つアイテムには薄くて透ける素材が使われたり、クラシカルなワンピースにはレースやアートピケ、サテンなどが多く見られました。
 言い換えるとわかりやすい反面、オーソドックスで冒険のない、安心して着られるものが主流だったといえます。
 新しいストリート系として人気の高い「山ガール」はアウトドアを中心としたスポーツスタイルが突出していますが、これもジャージー素材のカットソーアイテムや機能素材をオシャレにこなしたものです。
 判りきっている素材が新しいデザイン感覚で市場性を得ていることは「目からうろこ」のような衝撃です。
 ベーシックで格調のある見慣れた素材や、専門性の高い分野で使われていたナイロン、ハイテクを思わせる加工や仕上げの施された合繊、いずれも機能性に直結することがポイントです。





 ラグジュアリーブランドやエレガントでゴージャスの表現と、カジュアルやスポーツから始まった機能性は思いがけないところで繋がり、さらに新しい出口へと向かっています。
 今シーズンの店頭は案外に雄弁でした。

 2010/07/24 21:43  この記事のURL  / 

2010年春夏市場素材総括2
 今シーズン着装として新しく登場したアイテムは、プリント柄の肩の出たマキシドレス、サルエルパンツ、つなぎなどでしょう。
 苦戦を強いられてはいるものの、百貨店アパレルの中堅ブランドでは新感覚の素材とデザイン、さらに機能性を加味したコートやジャケット、シャツが好調でした。
 二重価格市場の中で「楽しんで着る安価なもの」と「更なる付加価値を感じ納得して買う価格の高いもの」は販売数が多いか、少数でも見合った利益が取れるかの違いがポイントです。
 これはこのままファストファッション又はそれに準じたブランドと、百貨店のベターブランドの売れ筋に重なるものがあります。
 素材には風合い、色、柄などで両者に共通した点が沢山ありますが、上代の決め手となるのはやはり原価の中の素材価格でしょう。
 人気のあった小花プリントのマキシドレスはどちらもリゾート感覚の可愛いものが多く、素材での価格差は一見しただけでは判りません。
 でもよく見ると微妙な光りの有無、柄の緻密さ、先染めにさらにプリントをかけるなどの違いがあります。
 さらに触れると薄く軽い中にも張り感があり、ギャザーやフリルにふくらみが感じられます。
 柄行や配色にもこだわりがあることは言うまでもありません。






 二重になった市場価格ですが、両方で大きな売れ筋になったのはカットソーです。
 綿のみではなく、レーヨン系や麻も登場し、薄手、中肉、厚手と様々な重さや編地変化、縞、ジャカード、プリントや刺繍などが見られました。
 中でも差別化のコンパクトジャージーを使ったジャケットにヒットが見られました。
 カラー展開に魅力を感じるタンクトップ、袖なしのハイネック、Tシャツなどと一線を画して、大柄プリント、立体刺繍、つまみ細工のようなデコレーションを施すなど、トップスからスカート、ジャケット、ワンピースまで、カットソーアイテムに使われるジャージー素材は又奥を深めました。







 2010/07/18 22:50  この記事のURL  / 

今シーズンの市場を振り返って2011年春夏の素材を探る
 7月も中旬に入りました。
 サッカーと選挙と雨情報に振回されながらも気がつくと早いところでは秋を知らせるウィンドウと夏物セールが例年に比べると静かに進行しているような気がします。
 この一年、作る側も売る側も慎重さが前面に出た店頭ですが、消費者の気持ちもファッションにはやや冷静のようです。
 来シーズンの芽となる素材のポイントをいくつか探ってみたいと思います。

麻の存在感
 夏の代表的な素材でもある麻は日本の市場ではなかなか浸透しません。
 言うまでもなく気になるところは「しわ」ですが、形状記憶やしわ加工が一般的であることからすればもっと市場性があっても良いのではと考えてしまいます。
 でも麻のしわは「貴族のしわ」といわれるように、美しく優雅さが求められます。
 この微妙で相反する特徴をどのように活かしたらよいかがポイントです。
 ナチュラルタッチ、光沢感、独特なドレープ性など麻ならではの素材感とガーメントのシルエットやデザイン、色などのバランスが取れたものを目にしました。
 産地を明記したものや、シルクとの混紡、麻ライクや麻ミックス、プリント、カラーミックスが麻商品の魅力を感じさせてくれます。
 カジュアル市場に麻の美しさや楽しさが受け入れられるためには、素材とアパレルのバランスが欠かせません。
 しわになりにくい加工、複合化、洗濯や着脱のための機能性も必要です。
 麻にはまだまだ市場性が残っているのではないでしょうか。









レース
 ラグジュアリーブランドの人気が上昇すると同時にレースが大活躍しています。
 本来副資材としてリボンやビーズ、スパンコールとともにテキスタイルとは一線を画していました。
 この2年の間ですっかり素材として座を持つようになりました。
 エレガントなテーストの表現に、或いは格調の高さを表すために、ゴージャスな味を出すレースは見応えもあります。
 前シーズンに続いて増加傾向にあるレースはその種類も豊富になっています。
 来年はコントラストをつけるためにも活躍しそうです。









デニム
 増えることはあっても減ることのないデニムです。
 ひところのダメージ加工や装飾性の強いものよりも、マリン感覚の中で登場したり、ダンガリーなどの「デニムライク」素材のバリエーションも増えました。
 これはシャツ人気が予測されることや、ノーティカル、マリンといった海に関するテーマとして来シーズン注目されることもあり、綿素材の中心として重要になります。
 特にカットソーとの相性が抜群であることもポイントです。








 来シーズンの予想アイテムに伴って素材の傾向が重要な役割を持ちます。
 続きは次回に。
 2010/07/11 23:29  この記事のURL  / 

秋立ち上がり
 例年6月の梅雨入りの頃、海外ブランドを中心に秋物が立ち上がります。
 暑さの中、次の季節を感じることは意外に刺激的かもしれません。
 でも今年は6月が終わる頃まで東京市場ではそれほど秋の気配は感じられませんでした。
 そんな中、新宿三丁目の百貨店のウィンドウは季節を先取りしクリエーターのこだわりの逸品をいち早く見せてくれることで話題になります。
 今年も6月3週のウィンドウをハイダー・アッカーマンやビクター&ロルフ、ジルサンダー、マルニなどのコレクションで秋をスタートさせました。
 一味違う正統派のドレスややハードではあるが布と皮をたくみに馴染ませたスーツ、30年代を思わせる少しレトロ、かつ斬新なシルエットなど、着こなしはまさに2011年に目を向ける力を持ったものです。
 未来志向のアシメトリーのドレス、宇宙から来た兵士のようなドレスなど、ファストファッションへの感心が高い中で、ファッションのもう一つの大切な役割りを気づかせてくれるウィンドウです。



 2010/07/07 22:04  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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