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ジョイント尾州展
・ベーシックウールを甦らせる
 尾州素材展の切り口がウール以外に移りつつあること、つまり織りや加工、仕上げにおいて他産地の技術を取り入れることにより、今までにない新しいウールの表情や、場合によっては全くウールを使わない素材も沢山登場することになりました。
 これは展示会を見る私たちにとって新しい発見でもあり、更にウールの奥深さを感じさせてくれることもあります。
 一方でウールに対する安心感や信頼感はやはり尾州に寄せられるものであることも事実です。
 何気ないクラシックな柄からファンシーでカラフルなものまでツィードは市場でもさまざまな見せ場を作っていることは前回ご報告しましたが、同時に今回の展示会では見慣れたベーシックウールにも新たな展開が見られます。
・軽く縮絨をかけわずかなナッピングをつくる(表面の柔らかなつぶつぶ感)
・立体的な二重織り(軽く膨らんだ編地のようなハチス織り)
・空気をはらんだような軽さ(モヘアをからませる、粗い織りなど)
・ふくらみと緻密さ(ループ状の表面感)
・ふんわり感の起毛(ラフに毛足を感じさせるほどの起毛)
・更に膨らませたような圧縮(軽くかつ手持ち感のある)
・畝にふくらみを持たせる(かさ高のコードレーン、楊柳)


W100% 三星毛糸株式会社



W87% モヘア5% N8% 後藤毛織株式会社



W100% 田中テキスタイル株式会社



W52% アルパカ20% アンゴラ16% S12% 田中テキスタイル株式会社



W73% リネン12% N15% 渡六毛織株式会社



W32% アンゴラ54% モヘア7% N7% 艶金興業株式会社



W90% N10% 小池毛織株式会社



W100%


 これらの素材がアパレルデザイナーの手によってふさわしいガーメントになることを願ってやみません。
 2009/11/28 23:21  この記事のURL  / 

店頭で見るウール 1
 プルミエールヴィジョンをはじめ、国内の素材展でも来秋に向けてツィードを中心としたファンシーなウールが提案されています。
 ウールらしさの表現としてツィードは欠かすことが出来ない存在ですが、市場性としては難しい問題もありなかなかまとまったヒットにはならなかったと言えます。
 厳しい今の状況下では、作り手にとってますます危惧されるところですが、今シーズンの店頭では思いのほかツィードの活躍が見られます。
 ラグジュアリーブランドの中でも、ファストファッションの中でも、又日本独特のヤングファッションファッションでもコートやジャケットにこの素材が使われていることに驚きました。
 その出所や色使い、柄やミックス感でさまざまなグレードに分かれるほどツィードは幅広く奥深い素材です。
 ベーシックでもあり流行を十分に感じさせることも出来ますが、今シーズンはカラフル感のあるものと、黒や白、グレーなどのベーシックなものに大別されます。
 シャネルツィードの別名を持つほどざっくりとしたツィードにブレードをあしらうジャケットは共糸で編んだブレードや数種類のテープやリボンを組み合わせたものまで、従来の付属の使い方にも新しさが見られます。
 このような素材には価格志向を感じさせない何かがありそうです。





 2009/11/23 00:45  この記事のURL  / 

ジョイント尾州展 2
 前回はまず印象に残った素材についてお伝えしました。
 もう一度2010−11年AWに向けた全体の構成を見てみましょう。

 秋冬という季節感と尾州というウールの生産を軸に持つ産地の結びつきは、このシーズンの展示会を大いに期待のかかるものにしてくれます。
 参加17社、テーマは三つ。そのポイントは以下の通りです。

(1)IMPULSE(インパルス)
 ダンスやパフォーマンスからのインスピレーション。
 アバンギャルドでモダンなテーマ。
 サブテーマにERGONOMIC(人間工学)とRHYTHMIC(リズミック)がある。
(2)MYSTERIOUS(ミステリアス)
 不可思議なものの魅惑。
 古色、侵食などの時とともに変化するものからのインスピレーション。
 サブテーマにENIGMATIC(謎めいた)とDUSTY(ダスティ)がある。
(3)ACTIVIST(アクティヴィスト)
 ニューテクノロジーにヒントを与えるエコロジーとデザインからのインスピレーション。
 サブテーマにECO CITIZEN(エコシティズン)とHIGH TECH CITIZEN(ハイテクシティズン)がある。







 内面的な打ち出しが求められたためか全体に重厚感が強く感じられました。
 ウールの復活が話題になる一方で、尾州は複合化が進みかつてのようなウール中心というわけにはいかなくなったようです。
 中国との連携やライバル関係、尾州を離れた加工技術の取り入れ、極小化するロットなど問題が多いのは他産地と同様です。

 今シーズンの店頭で見られるウールはふくらみ感のあるソフトで軽いベーシックなもの、表面変化のチェックなど本来のウールらしさが出ているもののほかに、色の美しいツィードやラメ入りのものが見られます。
 国内の素材展ではなかなか見ることが出来ないのが残念ですが、この産地に是非頑張ってもらいたいものです。
 尾州産地のファンとして展示全体のイメージに明るく綺麗な色と、テーマの表現にもう少しメリハリのある違いが欲しかったように思います。
 2009/11/16 22:55  この記事のURL  / 

ジョイント尾州展 1
 2010-11年秋冬向け尾州産地の展示会が東京青山ベルコモンズで開催されました。
 ウールの産地である尾州が今大きくその姿を変えつつありますが、同時にウールならではの季節感の表現や伝統的な織物の存在感を追及する若手の作り手がいることに驚かされます。
 今シーズンの市場でもファンシーなエレガンスにつながるツィードが好調に推移しています。
 飾りすぎず、地味すぎずのツィードは色遣いも含めていくつかのグループに分かれますが、比較的ベーシックでかつテクニックを感じるものをご紹介します。

1 ウール/綿/ナイロンにほんの少しのポリエステルとキュプラを加えたファンシーツィード(渡六毛織)密かに光るスパンコールがグレードを感じさせる。





2 ロービングヤーンを使った刺繍(みづほ興業)





3 アンゴラ/ウールにモヘアとナイロンをミックスさせたプードル起毛(艶金工業)





4 ウール100%のハチスツィード(田中テキスタイル)

 2009/11/07 00:46  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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