« 前へ | Main | 次へ »
ジェネラルフォーラム 4つのテーマとキーポイント
 5号館に設けられたジェネラルフォーラムではカラーと総合的に見た4つのテーマに分けられ素材が提案された。
 今回の初めての試みでもあるPremiereVisionAwardのためにノミネートされた素材にタグがつけられ、最終日の審査を待つこととなった。

 広い会場の高い天井に心臓(ハート)が他のオブジェが吊るされ四方に4本の動脈を思わせる赤いパイプが配され、その先に各テーマのコーナーが設けられている。耳を澄ますとドクッドクッと心臓の音が聞こえる。




1)Rudimentary(基本の)



(会場での確認)
会場では黒い大きなタイアを囲んだラックに素材がおかれている。
ロック調 ダークカラー
リサイクルウール
大胆な織物 ツィード
バイオウォッシュ
ナチュラル 粗 
ダーティーなイメージ
見た目と軽さの違い
ペンキを塗ったようなプリント
よく見ると綺麗 屑を集めたような
PVAにノミネートされたのは:Texapel(伊)、Jacob
Schlaepfer(中) その他
(ポイント)
subustainable solutions(持続可能な解決策)
エコロジカル素材 有機栽培の植物繊維 コットン、リネン、ヘンプ
リサイクル繊維 グリーン染色 環境を考えたナチュラル染色など 
リサイクルウール+リネン(ヘンプ) リサイクル合繊+有機天然繊維
環境を考えたケミカル処理      
compressions(圧縮) 目の詰んだ縮絨
フェルト 縮絨 クラッシュ加工のウール コンパクト 目の詰んだ織り組織 モールスキン 不規則なベロア 密なニードルパンチ
imperfections(不完全)
ぬくもりのある厳格さ 視覚効果 凸凹 天延繊維のブレンドにウール、アルパカ、カシミアをミックス スラブ糸効果 泡だった表面
フクレ オープンワーク ブークレット 乱れた毛並み
rough decoration(ラフなデコレーション)ラフな装飾
素朴 時代遅れ感覚の装飾効果 つくろい つぎはぎ 粗野なタッチ
目の粗さなどで単純化や部族、異国を表現
corrosions(腐食)
酸化 炭化 錆び 手を加えていないような光沢 古びたメタリック感 月の石のような 隕石のような表面



2)Nobility to the Test(試練に凛として立ち向かう)



(会場での確認)
 18世紀頃の貴婦人の画像の入った大きな額縁、その周辺に果実や植物を配している。
安心できる定番的なウール 
デニム各種
千鳥柄変形 ツィード プリント レース
紐を編んで立体感を出した織物
幾何柄のプリントやジャカード
バロック風 
PVA:グレンチェックとストライプの表裏(神田毛織)、表裏二重シャツ地 非常に薄手(TESTA伊)、ベルベットに風通のような加工とファーのプリントの組み合わせ(BOUTON−RENAUD)
その他
(ポイント)
pyjamas and robes(パジャマとローブ)
パイル シュニール モールスキン ベロア 優雅な気だるい時間 包み込むようなツイルとサテンのシルキーな量感
patinated flamboyance(古色を帯びた華やかさ)
古びたインテリア素材 古古したオーナメンタルジャカード ブロケード、刺繍やレース、バロックやロココの渦巻き模様 セミプレシャスな光沢(パールやメタル)
washing luxury(ラグジュアリーを洗う)
ノンシャランなラグジュアリー アイロンをかけない洗ったカシミアやアルパカ 古びた高級シルク くたびれたファインニット ほころびのあるシャツ地 
mistreating heritage(伝統をかき乱す)
ツィード シェトランドをソフトに 派手な刺繍やアップリケ カラーリングやプリントを風変わりに グレンチェック 千鳥格子
cultivating ambiguity(曖昧を応援する)
既成概念と習慣を覆す デニム、コットン×アルパカ、ビキューナ、カシミア クリーンな合繊と最高級のファインウールを組み合わせる
ブライトカラーのリサイクル品



3)Excessme(過度の)



(会場での確認)
 グリーンの人工芝が置かれた派手なきらびやかな印象。
maxi−plastic
メタル ゴールド
スポンジ リング
リップスティック
PVA:皺をグランドにしたチェック、ファンタジック(JB BERNARD仏)、シフォンにコード刺繍(GRATACOS(ES))紺のブランケットに白の毛糸でニードルパンチ風の刺繍 (Texapel
伊) その他
(ポイント)
augmented(誇張)
凸凹感の組織 手編み調 ツィード 極太の糸 太畝のコーデユロイ
モヘア コントラストのきいた二色使い
exacerbated shine(更に光沢を!)
口紅 漆の光沢 溶け込むような表面感 合繊の刺繍 アウトドア用のジャカード(モノクローム) ベロア タフタ ダブルサテン 合繊のニットなどにも光沢
virulent decorations(毒のある装飾)
まねできないような装飾 生々しいイラスト 病んだような花 社会性のあるメッセージ ブラックユーモア 無分別なアイディア 常識を越えたマルチカラー レイヤードチェック 誇張されたテクスチャー


4)Silent(静けさ)
(会場での確認)
 ベージュ味を帯びたグレーの壁。全体にプレーンで落ち着いた感じだが、実は・・
厚く手軽い
ブークレー 二重織り 風通ジャカード
ブランケット ツィード
キルティング
一見プレーン
PVA:黒の縮絨二大きなチェック(LANIFICO LUIGI RICCERI 伊)、超ベーシックな黒の薄手ウール(岩仲)、超薄手素材にヌキのプリント・黒で(GUARISCO CLASS 伊)
しっとり厚手コットン(DRABONI 伊)、angels‘caress超薄手のマイクロファイバー、スキンタッチ (東レ) その他
(ポイント)
subustantial fluidity(存在感のある流動性)
しなやかでコシのある素材 キュプラ、シルク、ビスコースとファインウールや厚みのあるコットンと組み合わせる イレギュラーな糸 視覚効果のあるパターン
caressingly foamy(愛撫するようなムースタッチ)
クレープ 泡のような軽さ 半透明のテリークロス 発砲加工やコーティング
conciliating thicness(調和された厚み)
ボリューム感 丸い3D構造 エンボス加工 凸凹のキルティング 多層構造で軽い
flexible density(柔軟性のある密度)
ダイアゴナル バスケット織り ダブルクロス ミラニーズニット レザー 伸び縮みするシルク ねじり、よじりのニット ピーチスキンウール


 2009/09/26 23:31  この記事のURL  / 

最終用途に向けた4つのテーマ
 先にお伝えした予測に加えて、ここ数年継続して最終用途を意識した4つのテーマのもとに素材がまとめられています。
 ジェネラルフォーラムのテーマと重なるところはありますが、一つの着こなしを表現する横断的な素材の提案はバイヤーやユーザーにとって見やすいものとして評価されています。

Seduction(ファンシーで流動的な素材感)
       さまざまなレース 薄くて透ける 光沢
       ボコボコした表面 刺繍 フランネル ツィード
       プリント(水玉、大柄)









Distinction(エレガントでフォーマルを意識した世界)
       スーツ用 フェルト状 ツィード ファインウール
       チェック ジャージー 密度の高いシャツ地
       パジャマストライプ 大柄









Relax(カジュアルウエア、スポーツウエア、ジーンズウエア)
       ウラ毛 スエット素材 起毛
       サッカー(ウール混で洗いのかかったもの)
       ウールデニム ウールジャージー 小付き柄 
       オーバーコート用の厚手のウール 厚手ニット







Pulsation(スポーツウエア、テクニカル素材、こだわりの技のある素材)
       柔らかく伸びる素材 スキンタイプ ブライトもマットも 
       玉虫効果 金属質 艶光沢 パリパリ レース
       ウールや麻、シルクを混ぜたナチュラルパフォーマンス
       見せ場のあるもの



 2009/09/21 22:22  この記事のURL  / 

新クラシックと色彩り
 売り上げ不振による迷いや逃げが感じられるウインドウが多い中で、やはり主張のあるもの、ブランドの存在感が伝わってくるものも沢山見受けられます。
 合繊の機能性やテクノロジーに見せ場の多かった昨年までの秋の立ち上がりでしたが、今シーズンはクラシカルな表現にウールが使われ、合繊とたくみに組み合わされているものが目につきます。





 素材を問わず「黒」の色使いがことのほか多いのも今秋の特徴です。
 長い間黒に慣れ親しんできたマーケットでは「攻めの黒」に今までにない新鮮な魅力が感じられ、「守りや逃げの黒」には又?と思わざるを得ません。
 その分岐点は素材とガーメントのデザインです。



 一方で、色使いでは強くて大胆な色やコントラストの効いた表現にも注目が集まっています。
 9月5日にリニューアルオープンした小田急新宿店のハルクでは、ゴルフやテニスを含むクラシックなカジュアルウエア、ハイスタイルなスポーツウエア、旅とアドヴェンチャーを意識したアウトドアースポーツが三層にわたって展開されています。
 専門性の高いアスリート向けからファッション感覚が盛り込まれたストリートカジュアルまでの幅広い集積は、今までのスポーツウエアのイメージを変えさせてくれます。
 中でもカラフルな色使いはレディスファッションとの垣根がほとんど見当たりません。
価格政策が優先する当世のファッションの中で、取り組み方や限定版を取り入れるなどの特徴を持たせ、その価値を認めさせることに成功したといえます。

 2009/09/11 00:50  この記事のURL  / 

昨年との違い
 経済社会の背景により、消費者マインドが大きく変わりつつあります。
 加えて天候や災害、インフルエンザなど自然とのかかわりの影響も大きく、日々の生活への考え方が浮き彫りにされています。
 厳しい消費の環境の中で9月を迎えました。
 7月から少しずつ秋への仕切りなおしや期待が込められた店頭に新鮮味を感じるのはやはり嬉しいことです。
 その一つ、ファーやレザーが気になることに加えて、ウールやウールライクに秋らしい様子を感じます。
 ラルフローレンのプレゼンテーションに久しぶりに見られたツィードのチェックは、柔らかくエレガントなトラディショナルを見事に表現しています。
 ベーシック、クラシック、オーセンティック、そしてトラディショナルなど厳密にはかなり意味の違いはあっても受けるインパクトには共通したものがかなりあります。
 分かりやすい反面、際立たせたり、新しさを表現する、流行を感じさせることが至難の業であることも痛感します。
 この表現に素材がとても重要な役割りを果たしていることも、商品を見て実感するところです。
 合繊の活躍が続いていましたが、ここへきてウールの顔が見られるようになりました。
 もちろん100%ではないもの、合繊とのミックスによる新しい表面感や加工など、複雑な素材構成のツィード、軽くて薄いウール感覚などもじわじわと増えています。





 縮絨や起毛などウールならではの風合いや膨らみ感が、エレガントやスポーツテーストを持ったトラディショナルやクラシックを表現するアイテムとなって、久しぶりに季節感を伝えてくれています。
 2009/09/02 23:09  この記事のURL  / 

« 前へ | Main | 次へ »
名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ