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初夏の市場に見る素材 5
[モダンの表現]
黒と白を中心にシンプル、シャープを強調するウィンドウを沢山見かけました。
この色の組み合わせは透ける素材が使われるとエレガントやセクシーなものになりますが、光沢や中肉でマットな感じの素材では潔いモダンさを表現します。
見慣れた黒白がとても新鮮に見えるのはこのアーティスティックなモダンさかもしれません。
色と素材のバランスに思いがけない発見がありました。






[ナチュラル]
売り上げをあまり期待出来ないこのごろの市場では、商品への目も厳しいものがあります。
価格が最も重要という意見が多い中で、素材や縫製、デザインポイントにも同様の目が注がれ、更に自分の価値観に見合うかを判断します。
それでもナチュラルはここ数シーズンの基本的で大きなテーマです。
同時にラグジュアリー、ストリートはもちろんスポーツでも取り上げられ、ファンタスティックにも、機能的にもナチュラルテーストは大きく係わっています。
新しい表現として、洗いざらしやしわはプリーツや折り紙風に、楊柳は幾何的に処理された複雑なプリーツに。
ぼかしたような色使いはグラデーション、柔らかく空ける素材は重ねて色のミックスを楽しんだり、身体を包み込むようなレイヤード使いにする、などナチュラルは素朴さや優しさだけでなく案外手の込んだラグジュアリーも見られるようになりました。





[やっぱりゴールド!?]
初夏の市場にゴールドの根強さを感じます。
それも地味に、渋くというのではなく、メタルとしての燦然たる輝きを誇るかのような金色です。
でも触ってみると軽く薄く柔らかいという不思議な触感です。
洋服やアクセサリーは勿論のことインテリアや雑貨にも見られ、キラキラ光るものは満足感を与える不思議な力を持っているようです。



 2009/05/29 23:09  この記事のURL  / 

初夏の市場に見る素材 4
消費者の購買行動が二極化とはいえ、圧倒的に低価格、高感度の店やブランドに軍配が上がっている初夏の市場です。
正直そんな中で素材の状況をまとめると、一瞬面食らってしまいそうな低価格の素材対応にお目にかかります。
作り方のシステムそのものが違うということを認識せざるをえません。
あらためて感じていることは、こなれた価格で沢山の数量を売ることから伝わるトレンドがあること、それが従来のトレンドセッターの出すメジャーのものと同じであるということです。
そんなことを考えながらもう少し今シーズンの特徴を探りたいと思います。

[デニムの変化]
出尽くしたかのように思えたデニムがいつの間にか又攻勢を掛けてきています。
ジーパンよりもジャケットやワンピース、新しい形のパンツやシャツに柔らかさやハリ、オチも感じられるデニム素材が登場しました。
ダメージやダーティーなイメージのものは激減し、変わってファンシーやエレガントな味わいのあるデニムも加わっています。
デニムはナチュラルであり、ブルーから連想するイメージが強くストリートファッションの主役的存在です。
ヨーロッパの市場でも今までとは異なるデニム市場が広がっています。
スポーツメーカーの中には、アディダスとジーゼル、プーマとEVIS、更にアクネジーンズとランバンなどジャンルを越えたコラボが行われていることもそんな印象を更に強くしているのかも知れません。
日本は世界に名だたるデニム素材の産出国ですが、撚糸、染色、織り、仕上げ、更に製品に作り上げる一貫した生産体制を持ち、輸出の比率も高いことは言うまでもありません。

デニム素材は藍染との共通点も多いことから「和の雰囲気」を持っていることも興味深いものがあります。
表参道のAo内にオープンした岡山の「桃太郎ジーンズ」や、海外進出も積極的に行っている「45rpm」の最初のイメージはブルーデニムであったことを考えると、洋服文化と和の文化の大きな接点を感じます。
欧米を中心に広まったジーンズと日本の藍染との共通点は、綿の丈夫な作業、労働着であるということですが、国や文化が異なるアプローチで現代のような日常的、かつ世界的な姿になったと考えられます。
今デニムはモードとして、又はそれぞれのこだわりのあるクリエーションやスポーツファッションとしてジーンズアイテムの範疇を越えようとしています。
今後もチェックを怠ることの出来ない素材のひとつでしょう。 





 2009/05/13 22:59  この記事のURL  / 

Forever21オープン
今日は今話題の標記について少々硬い辛口のご報告です。

H&Mに続いて原宿にカリフォルニア発のSPA「Forever 21」が4月29日にオープンしたことはニュースにもなったほど。
GWの連休は地方からの来店者も含め、原宿は他の店のオープンもあって一大観光地化した。
海外からの大型専門店の日本への進出はラグジュアリーブランドに散々慣れた消費者にとって少しも驚くことはないが、日々の生活にこれほど密着した買い物が出来る店はかつてなかった。
この動きは今の不況に対応するものと経済番組でも専門家が分析して語るほど時代にマッチしたできごとでもある。
どの説もなるほどごもっともであり、社会不安や経済基盤の緩み、労働条件の悪さ、年金や介護などの問題に囲まれている日常からは容易に想像の出来ることでもある。


店頭ウィンドウ

F21の店内は日々商品が変わるということで選ぶ楽しさがあり、レジに並ぶ人の列は腕や籠に何点も抱え順番を待つ。
この光景はセール会場のようにも見えるが、雰囲気はどこかゆったり、穏やかな感じだ。
初夏モノの中心はやはりプリントのチュニック。
他に無地や刺繍のワンピース、ニット、更にアクセサリーや雑貨類も充実している。
素材は綿、麻、ポリエステルと極普通のものではあるが、プリント柄は多種多彩。
幾何、アート、アニメーション、ポップ、グラフィカルな大柄、チェックやストライプ、風景、線画、水彩調など、トレンドを見分けるのは難しいが、消費者にとってそれが必要ではないことが判る。
むしろ色使いの爽やかさ、明快さ、楽しさなどが柄とあいまって訴求感を出している。

 

 



何よりも驚くのが価格の安さ。
綿100%のプリントのチュニックが1800円前後から。
タンクトップやTシャツは3桁も沢山。
ワンピース3800円では衝動買いをしてしまうほど。
カットソーがエレガントにこなされていたり、ニットのチュニックも2000円台で手に入るのは実に魅力的である。

気になるのが素材の価格。
追加生産をしない方針もあること、プリント下地も多岐にわたることから素材の手当ては縦横に張り巡らされた仕入れ網で、大きなテーマの下随時入手していることが伺える。
1800円のプリントのチュニックの生地値はいくらになるのであろうか。
乱暴な見方をすれば、用尺は2メートル必要として通常は540円から600円が予想される。
メーターあたり300円前後!?と驚くと同時に現実の方法を色々と想像してみる・・




※上記3点の写真はカタログより

F21の消費者に与える影響は大きく、その波紋が広がっているが、この成り立ちは構造的なもので、同分野での戦いは今のところ日本のSPA型企業の一部と欧米の企業がほとんど。
言い換えれば本質的な違いを持つ百貨店やセレクトショップとは袂を分けて考えるべきで、消費者の目線が異なることでもある。
売り上げ低迷の理由にはならない、という厳しい見方をする人もいることをどううけとめるべきか。
素材ビジネスも変わって当然と今更ながら痛感する次第である。
 2009/05/06 21:49  この記事のURL  / 

今シーズン気になる素材3
[光り具合も変化してきました]



ラグジュアリーの表現に欠かすことの出来ない光りや光沢感ですが、品格や優美さを表すためにも重要な役割りを果たします。
この場合素材そのものの艶感や朱子織りなどの表面にできる光沢を意味します。
たっぷりとした分量感、ドレープ性、襞やギャザーの光りと影など、きらびやかとは異なる上品な光沢が気になります。




[麻への期待]



夏が近づくと麻素材への関心がにわかに強くなります。
最近ではナチュラルを強調してコットンやウールのミックスに使われたり、しわを楽しむ傾向にありますが、今シーズンは期待に比して市場では減少気味で、盛夏までもう少し様子を見る必要があります。




[春ツィード]





久しぶりに春物のツィードが上品なファンシーさで健闘しています。
ベーシックな域に入りながら新しいジャケットの表現にもつながり、色のミックス感が華やかさも併せ持つ品格をかもし出してくれます。
綿、レーヨン、ラフィア、麻、ポリエステルなど沢山の素材が混ざり、軽くソフトなツィードを楽しむ傾向が出てきそうです。
 2009/05/03 00:16  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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