« 前へ | Main | 次へ »
2009年への期待
9月以降の急激な情勢の変化はテキスタイル業界にも更なる苦難を強いています。
中国での生産背景、ラグジュアリーブランドの浸透、国際社会における日本のポジションなどなど、ファッションビジネスは政治や経済と弧を同じにしつつ変化しています。
50年ぶりの不況とか・・その頃のファッションと今では比べようもありませんが、ものを買わなくなる心境は共通すものがあるかもしれません。
当時の状況ともっとも違うのは「情報化社会」であることではないでしょうか。
金融危機や環境問題などの大きなテーマもさまざまな媒体を通しその気にさえなれば豊富な情報が得られる今、ワーキングウーマンや家庭の主婦もその動きに一喜一憂したり、購買行動に影響を与えます。
将来の不安や充実した生活を望めば望むほどファッションから遠ざかる気配も感じられます。
因みにこのような類の情報にあまり関心を寄せない10代の若い人たちにはあまり影響はないようです。
2010年に向けてのファッションテーマに「オプティミスト(楽観主義者)」があります。
ラグジュアリーなムードに囲まれて過ごした21世紀のスタートを経験している今の消費者たちには回復へのエネルギーが内に秘められているに違いありません。
そんなパワフルな消費者が2010年には再びファッションを盛り立ててくださるよう作り手も努力したいものです。
今はしゃがむ時と心得るもよし、でもその時のために今しなければならないことが沢山あることを忘れずにいたいものです。
テキスタイル業界も日進月歩、奥まった位置からどんどん前へと出ようとしています。
価格問題とクリエーションはつねに相反するものかもしれませんが、その接点を探ることには最大の努力をするべきでしょう。
2009年が少しでも良い年になりますように!
又よろしくお付き合いください。
 2008/12/31 22:23  この記事のURL  / 

ジョイント尾州展
ウールの活躍が期待される秋冬ですが、環境の変化、ライフスタイルの多様化なども手伝ってこのところの尾州展ではさまざまな素材の変化が見られます。
サル11月に開催されたジョイント尾州展殻その特徴を拾ってみました。
尾州産地の17社の参加で行われた同展は三つのテーマが設けられました。

1) マスキュリン(新しいダンディズム。より繊細にくつろぎを感じさせるメンズタッチの素材)
2) アニマル(動物から学ぶ人間性、道徳観、倫理観などの表現)
3) ルーツ(粗野さを残した粋なスタイル。フォークロア調、東欧や北方の国々からのヒント)


石慶 C51% W38% N8% P3%                   小池 C63% S36% Pu1%


中外国島 W93% N6% Pu1%                    長大 C40 R16 N4 W30 P10


長大 W55% C40% Ry5%               渡六 ラメ入り W81 Ac6 P2 N11


岩仲 W50% P50%                   田中テキスタイル W66 Moh14 N14

ウールらしいウールとらしからぬウール、他の素材でのウールの表現もあります。
全体を通してナチュラルやエコへの関心が強く現れています。
竹、和紙からヤクの毛、おなじみの動物柄などの先染めやプリントがとても新鮮です。
 2008/12/27 22:04  この記事のURL  / 

ニードルパンチ
このところの気になる素材についてお伝えします。
そのひとつ、織物のようで織物でもなく、フェルトのようで違う、不織布かと思うと美しい柄が謎を深めてしまうといった不思議な素材に最近良く出会います。
これはニードルパンチ。基布に別素材を乗せ、針で刺し止めていくという原理は案外に簡単ですが、人の手間を充分にかけた感じがありさまざまな布や綿(わた)のミックス効果が独特です。

市場で何の気なしに見ているものの中にこのニードルパンチの素材があります。
素材のテクニックとしてこれからも色々な方法がとられ、刺繍に近いものやアイーティスティックなものまで、この季節ではコートやジャケットに使われたり、布のよさを充分に生かしたマフラーやひざ掛けなどにも使われています。




写真は桐生市のTEXBOX(テックスボックス)社の製作したニードルパンチ素材。
ウールや綿素材が自在に使われ、軽くソフトな風合いに出来上がっています。

生産性や用途の開発にまだまだ課題がありますが、素朴さとテクノロジーが隣り合い不思議な魅力を持つ素材です。
 2008/12/24 21:41  この記事のURL  / 

テクノロジー素材をこの上なくエレガントに表現するFUMIOコレクション
秋山フミオ氏のコレクションはいくつものハイテク素材の思いがけない表情にお目にかかります。
ニューヨーク、パリと東京のみならず幅広く展示会に参加し、欧米の一流のバイヤーやジャーナリスト、アナリストの高い評価を受けている「FUMIO」のポイントは、今注目されている日本の合繊を日本人離れしたデザイン力で表現していることでしょう。
ポリエステルを中心に極細糸で織られたもの、形状記憶、エアータンブラーなど、風合いの決め手となる加工技術を駆使した素材にこだわり、ドレスに仕立て上げるという着眼点はありそうでなかったことです。
秋山氏がコートを得意とし現在も大手アパレルでチーフデザイナーを務めていることを思えば、最先端の合繊に対するクリエーションが高いことは用意に頷けます。
日本のハイテク素材と言われる合繊が、欧米ではシルクや麻と伍して戦い同等の座を得ていることは周知の事実です。
非ウールコート素材を扱うファクトリーではリモンタ社やネロスネロ社が有名ですが、その素材の供給に日本の合繊メーカーが大活躍をしています。
素材の特性や機能にいくつもの付加価値をもつことから、合繊は薄いものだけではなく、またコートだけではなく新しい展開に期待がかかっています。
テープ上にカットしてフリルを思わせる効果を狙ったり、ゴムでギャザリングしたり親しみやすいテクニックではありますが合繊の表情が一変するデザインに目を見張ります。
写真はヨーロッパの展示会で公表を博したもので人が着るとそのエレガントさに魅せられてしまいます。
いずれも日本の産地、日本の問屋で扱う日本の素材です。
少し厚みを感じさせる膨らみとしなやかなおち感があります。

 2008/12/10 22:55  この記事のURL  / 

« 前へ | Main | 次へ »
名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ