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プルミエールヴィジョン08−09AW 4
市場との連動

PVでの情報収集は会場が広く、フォーラムが幾つもあって何度通っても難易度の高いものです。年々複雑な技が新たに加わる中で、一年先を予測し、実際の素材計画を見通さなければならないアパレルの商品企画にとって、インパクトが強い分素材に振り回されそうな錯覚に陥ります。
でもその一方で、街で同じような表情や風合いを持つ素材に出会うことがあります。ラグジュアリーブランドやクリエーションの高いデザイナーの商品の中でそんな素材に触れると、密かに「やっぱり!」と嬉しくなるものですネ。
最近はパリの市場でこの現象を特に感じます。勿論隠れた技やこだわりの原材料はこの限りではありませんが、市場での発見は既存するにもかかわらず、来シーズンの新しさのために大いなるヒントをもたらしてくれます。そんな一例をご紹介します。

○ウールの再発見
簡単に言えばウールらしくないウールとウールの王道を行くような素材の両極端が目立ちます。前者は合繊かと見間違えるほどの薄さや光沢、複合化されたもの、後者はシネ調やツィードです。新しい素材感が合繊がらみで表現され勝ちな最近の秋冬素材の中で、正統派とも言えるこれらのウールはバッグやブーツにまで展開され、ウールらしからぬ使い方やデザイン性が広がりました。

 

 


○合繊のしわ感
形状記憶やキャッチワッシャーといわれるしわ感が高められながら継続しています。最もベーシックなトレンチコートに使われている例が多く、軽すぎず、上品な光沢感があることがポイントです。

 

○張り感
ゴワゴワしている、針金でも入っている?と思うほどの硬い素材やフェルト化したものが出ています。日本人にはなかなか馴染めそうもありませんが、透けて繊細さを誇るオーガンジやゴース、従来は膨らみ感で暖かさや優しさを感じるニットやフェルトが、固められたような縮絨がかかり、見た目や期待感とは程遠い素材に変化したものになって登場しています。

○二重(ダブルフェイス)
ボンディングや接結、又は両面加工も含めてダブルフェイスのもの、更に透ける素材を使い、中にリボンやスパンコールなどを入れたサンドイッチ素材が増えました。張り感と同様の効果をねらったものもあります。表裏の素材には全く異なるもの、相反する素材がつかわれていて意外さや楽しさが加わりました。

 
 2007/10/21 21:50  この記事のURL  / 

プルミエールヴィジョン08−09AW-3
 プルミエールヴィジョンのhall6にある”special dernier”(latestnews)は、フォーラムの準備に間に合わず、当日持ち運ばれた出展素材がギュッと詰まっり無造作に書かれたかのような品質表示や会社名が生々しく、興味深いコーナーです。
そこで拾ったキーワードは今シーズンのトレンドを捉えていて、ストレートで分かりやすいものです。その幾つかをSchoellerTextileAG社のプレゼンテーションの写真と共にご紹介いたします。

・generous stripes(のびのびと大きなストライプー刺繍やカットワーク入り、ジャカード、プリントなどで表現)

・glinting(キラキラと光るーそこはかとない光り)

・extravagant metalic(とてつもない金属質の光り)

・blurry neatness(ぼんやりと霞んだ様なニートネス−こづき柄、ビーズ、スパンコール、フィラメント、箔)

・muffled check(失敗したようなチェック)

・colored blackness(タフタ、光沢)

・plastic shire(プラスティックのような光沢感)

・dense(柔らかくて緻密)

・visible weaves(表面効果)

・double(両面効果、二重織り)

・organic(レース、刺繍、光沢も含む表現)

・boiled(フェルト、縮絨、纏り感のある)

・mineral(ミネラル、岩石の表情)

・oxidises(酸化したような、箔、スパンコール使い)

・terrestrial(地球上に住む者ーナチュラルなテクニック、適度なファンシー、マジメ×不真面目、楽しさ)

・nuanced(グラデーション、ムラ)

・cut out(レース)

・ironic escotism(警護されたようなアイロニーープリント、刺繍、カットアウト)

・geometric,graphic(幾何柄、グラフィック柄)

・distorsion print(歪んだような柄ーブランケットやウールレースに、迷彩柄)






 2007/10/14 01:02  この記事のURL  / 

プルミエールヴィジョン08−09AW−2
 プルミエールヴィジョンでは膨大なスワッチがいつもながらに圧巻であり、そのプレゼンテーションには空間デザイナーの感性の粋が集められ、毎回の趣向が楽しみでもあります。
 一見したところ一年前又は前シーズンとの大きな違いは感じられない中で、自然との取り組みを思わせるような新しい表面効果、厚さの表現、突っ張ったようなハリ感などには衝撃を受けました。

 バイヤーの目と情報収集の目では目的や思惑も異なりまとめかたはそれぞれですが、フォーラムの説明や三つのテーマ、用途別に分けた四つの提案(これは三回目になり、見る側の目的意識が明確になってきました)についてはほかにも伝わる手段があるということで、ここでは、市場、予測されるファッショントレンドと連動させて注目すべきポイントをまとめてみたいと思います。

会場での素材提案
@ジェネラルフォーラム(Hall5)
 ・ Ambivalence 両面性 (本質を大切にしながらもあれこれ求め
   る人間の性のような欲望を表現するテーマ)
 ・ Alchemy 錬金術 (物質が大きな力で変容していく過程に注目
   する。今シーズン随所で使われるキーワード)
 ・ Anticipation 先取り (未来風ロマンティックとアナクロニズム
  −時代錯誤ー自然と科学の共存による素材表現がテーマ)

A用途別フォーラム(Hall5,6)
 ・ Seduction(FancySeduction−ファンシーで流れるような揺らめ
   きの世界)
 ・ Relax(RelaxAttitude−カジュアル、スポーツウエア、ジーンズウ
   エアの世界)
 ・ Distinction(TailoredDistinctionーエレガント、フォーマル、テイ
   ラードの世界)
 ・ Pulsation(ActivePulsation−スポーツ、テクニカル、パフォーマ
   ンスの世界)

Bスペシャル・デルニエ Special Dernieres(Hall6)
 開場ギリギリに持ち込まれたホットなテキスタイル。マメ札が無造作
 についたままのものや、手書き、きちんとカットされていないものも含
 めてランダムさが新鮮です。

これらのフォーラムから伺える今シーズンの大きなポイントは以下の通りです。
☆ナチュラルは錬金術のテーマに見られるように自然界に存在するも
 の、特に岩石や地中に潜むもの、地面や堆積された地層のようなも
 のの表現が出てきたこと。
☆ウールを中心にした複合素材が急増。(これからのウールの市場性
 とナイロンやポリエステルとの複合、更に一工夫ある仕上げ加工に注目)
☆変化に富み様々な風合いをもったダブルフェイス。
☆柔らかいものと硬いものの両極の主張。
☆ワイルドとファンシーも共存(毛皮や荒々しい縮絨とレースやシフォンなど)
☆光りとマット
☆シンプルに見せる複雑な加工


  開場で配られた<day by day news>より

次回はスペシャルデルニエでピックアップしたキーワードについてお知らせいたします。
 2007/10/08 22:19  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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