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年末に見る春
 2015年もあと数日となりました。
 モノつくりは市場の流れ、消費者の変化、業界の構造的変容などと絡み合ってこの一年でも大きく変わりました。
 洋服作りの基本である素材もテクノロジーが施され表情もタッチも重さにも変化が起きています。
 機能性に代表されるようにテキスタイルを見ただけでは判らない付加価値ですが、同時に着てみてしか得られない感動もなかなかなものです。
 モノつくりの中で進化し続けてきた技も、この辺でちょっと立ち止まって産地や機場の職人芸やフェイク(レザーやファーなど)の奥の深さ、これらの素材を使ったデザイナーの思いや知恵を考えてみる必要がありそうです。
 スポーツの存在感、クラシックテーストのモダンさ、ジーンズを軸にした幅の広いカジュアルなど、ラグじゃリーを頂点とした新しいファッションツリーが出来上がるのではないでしょうか。
 来年は消費者と販売や店頭、商品、更にモノつくりのよりよいリレーションが生まれますように。
 年末のウィンドウに少し明るい春の光りを見つけました。









 2015/12/29 22:14  この記事のURL  / 

春らしさの演出
 新春のウィンドウはいつものことながらセールと立ち上がりの商品が同居します。
 つい最近まで両社ははっきりと区別がつくものでしたが、今年は非常に似かよりSaleの文字を見るまでは分からないことがあります。
 シーズンをまたぐときはトレンドや季節のイメージが実際の気温や気候と異なり購買意欲を損なうような場合は、見た目でイメージを膨らませ、実際は気温に対応するというのが通常ですが、今年は例年通りの春のパステルの一方でダークカラーや黒が目立ちました。
 換言すれば「いかにも春」というより思いを含んだそれぞれのカラーが見られるというべきでしょう。
 春ものとしての黒はきちんと上品なクラシック調、刺繍やビジュー、スパンコールを施し華やかなもの、透ける素材などが中心です。
 松飾りが取れたころセールたけなわとなり、店内は客で込み合っている店も多く好調な売り上げを感じますが、春物プロパーもセール商品と並び手にする人が意外に多くいました。
 価値と価格が消費者にきちんと伝わっている証拠かもしれません。
 境目のないセールとプロパーのウィンドウをご覧ください。



SALE












NEW












 2014/01/20 23:52  この記事のURL  / 

2011年春立ち上がり
 2012SS向けのプルミエールヴィジョンが来週パリで開催されます。
 市場での実シーズンでもその兆候を見ることができ、トレンドとの整合性や差を感じます。
 来年どの素材がどのように加工されて新鮮に映るのだろうか、市場ではどのような反響があるのか、など色々思いをめぐらせます。
 夏ともなると求められる機能性も多い、しかし価値と価格のバランスが冷静に問われるようになった最近のマーケットではなかなか一筋縄では行かないことが容易に想像できます。

 前評判では麻の進展が期待されています。
 市場でもすでに見られますが、秋冬のクラシックラインの継続を思わせる上質でシンプルなラインには麻とともにしなやかで柔らかい綿が使われています。
 しかしよく見ると糸の撚りに工夫がしてあったり、裏に微起毛がかかってひと味違ったタッチになっています。
 一見ベーシックでも、70年代調といわれているものでもどことなく「今の時代」そのもののイメージが伝わることが商品価値として認められるところですが、そこにはスレスレの際どさもあります。
 昨年春立ち上がりシーズンには化合繊の活躍が際立っていましたが、今シーズンは天然繊維調の見せ場が多いような気がします。
 しかしテクニックが施され機能や新タッチ(触感)をもった綿や麻や絹は化合繊と錯覚するものであったり、逆のこともあり素材の複雑さを物語っています。

 一方市場ではラグジュアリーやステータスブランドの地位はゆるぎないものですが、日常のオシャレ心を充分に満足させてくれる様々なテーストやグレードのブランドが新たな存在感を持ち始めました。
 ラグジュアリーブランドのセカンドラインもこれに当たります。
 個人的な見解ですが、ランバンオンブルーやレッドバレンチノ、ジルサンダーネイビー、マークバイに魅かれるものがあります。
 素材とデザインのバランスが絶妙なことは言うまでもありません。
 綿や麻の価値観をどのようにアピールするかは簡単ではありませんが、PVの素材を見て次シーズンのマーケットが描けたら最高ですね!







 2011/02/06 00:00  この記事のURL  / 

春立ち上がり 1
 明けましておめでとうございます。
 厳しい話が耐えない昨年の業界ではありましたが、次の十年に向かってそれぞれの分野で新たな覚悟と決意が示されました。
 テキスタイルビジネスも中国生産の問題、国内産地の課題、素材展のあり方、リスクの持ち方など、従来より抱えていた問題点を納得のいく状態に持っていく努力が急務です。

 少々暗い話からスタートしますが、それでもファッションの持つ美しいもの、夢を与えてくれるもの、楽しいものに勇気付けられることはいうまでもありません。
 いっそのことマイナスになることには目をつぶるというのはいかがでしょうか?
 ここまで悩み考えた後は、開き直って前に進むしかないのでは?

 表参道界隈の元旦の風景は、いつもと変わらぬラグジュアリーブランドの見ごたえのあるウィンドウから始まります。
 しかし骨董通りには空き店舗が並び、一歩中に入ると今まであった店がなくなり、空き地や駐車場が目立ちます。
 次への期待はあっても新春の光景としてはさびしい限りです。
 店頭も昨年同様saleのプレゼンテーションが圧倒的に多く、正月、新年を伝えるような表現はめっきり減りました。
 ただしセールには良いものが多く、ブランドによっては2日からの新春売り出しで集客に成功し好成績の店舗もあるようです。

 1月小寒のころからは東京も本格的な寒さが到来し、セール商品にとっては絶好の販売チャンスでもあります。
 薄くて軽いナイロンのダウンコート、クラシックなウールコート、ツィードのジャケット、ベストやカーディガンジャケット、ドレスという新しいアイテムで展開されているニットなど、人気だった商品も豊富に見られます。
 ファーは小物雑貨からベストまで、今シーズンのベストアイテムであったこともあり、セールには数少ない、と見受けました。
 今必要なもの、今着られるものに「ラグジュアリー」というステイタスが加わった魅力はセールの本来の目的かもしれません。

 本格的な春ものの出現にはもう少し時間が必要で、それまでの間来シーズンのためにプロパーを含めた冬物素材をじっくり見ておきたいものです。





 2011/01/07 21:38  この記事のURL  / 

春一番の素材 2
 ファーとの相乗効果で春のアイテムが出ています。
 クリスマスホリデーと新春がうまくマッチングしたウィンドーの素材に久しぶりに感激をおぼえました。
 周辺の冬の彩りにはウールや厚手のニット、ダウンなどとともにファーが目立ちますが、そのファーが薄手の素材との組み合わせで春を装っていることは前回にお伝えしたことです。
 厳しい業界の動きではありますがファッションが持つ美しさや優しさは着る人にも見る人にも心地よく夢を与えてくれるものであるという原則は変わりません。
 新しい毛皮の使われ方もそんな素材の一つですが、そのファーに頼ることなく飛び切り上質の春のウィンドーが12月中旬から登場してきています。
 実用的で買いやすい価格のカジュアルウエアに慣れ親しんできた身には、一瞬ハッとさせられるインパクトがあり、本来ファッションやモードの持つ役割を改めて考えさせてくれるものです。
 上質な綿のレース、重さが気品をあらわすかのようなシルク、レーヨンの光沢、目の詰まったニットのしなやかさ、繊細なトーションレースをつなげたフリルのドレス、甘さを抑えた大人のピンク、少しアンニュイなレトロ感のあるバラの花のプリント、などなど。
 価格を忘れてウィンドーをちょっと覗いて見ませんか?








 2010/12/15 23:33  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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