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コットンへの期待
 来シーズンはことのほかコットンに注目が集まりそう、という思いから、三協会合同で開催された「COTTON USA アワード」に出かけました。
 三協会とは日本紡績協会、CCI国際綿花評議会、コットン・インコーポレイテッドを指します。



 コットンUSAは25年を機にシンボルマークを一筆書きで綿の実を描いたような優しいラインのものに変えました。



 ふんわりと包み込むようなイメージが伝わってきます。
 例年通り「コットントとともに生きる人、コットンの似合う人」というテーマでイメージキャラクターが選ばれました。
 女優でファッションモデルの桐谷美玲さん、歌舞伎役者、俳優の片岡愛之助さん、女優の檀れいさんの三人です。
 日々の暮らしの中でいかにコットンとのかかわりが深いかが語られました。

 同時に「Tシャツ・プリント・デザイン・コンテスト2014」の発表があり、神奈川県の大学4年生、山岸シュンスケさんがグランプリを受賞されました。




※クリックで拡大

 その他に8点の受賞作品がありますが、どれも美しい色調でありながらポップなアニメーションやほのぼのとしたイラストタッチでなごみを感じさせてくれるものです。







 本格的なスポーツテーストを感じさせるアイテムが幅広い層で受け入れられるようになりました。
 今シーズンから来シーズンに掛けて100%コットンはもちろん、複合された綿も含み付加価値のあるコットンへの期待が高まりそうです。
 2014/05/20 19:22  この記事のURL  / 

春一番の素材
 12月に入り一週間が過ぎる頃、東京もやっと冬になった感じがします。
 出足の重かったコートや防寒用のアウターもウール、非ウールを問わず何かと話題になっています。
 大災害の後の私たちの生活では寒さから身を守ることや節電対策などが自己防衛を中心に強く求められています。
 寒さはこれからが本番ですが、そんな中一部の店頭ではもう春ものがお目見えしています。
 エコ意識や安全、健康といった思いは変わるものではありませんが、便利になりすぎた現代に季節感を感じさせることに今新たな関心がもたれているような気がします。
 地球の温暖化や局地的な洪水や竜巻のような災害、意識の上で最も強く恐れられている地震や津波など自然の力を思いっきり知らされる今日この頃ですが、四季に恵まれている日本人の心意気には季節を伝えるキーワードが沢山存在するのかもしれません。
 やっと寒くなった今はとにかく暖かなものを、と願うのは当然ですが、まもなく来る春への期待も大きなものがあります。
 つらい一年だった反動なのでしょうか。
 春一番として新鮮に感じるウィンドウがこの時期見る人の目を楽しませてくれます。
 綿もしくは複合で綿の表情を持つ素材、麻がほんの少し混じっているようなナチュラル感、よく見ると繊細な柄が浮き上がっているようなドビーやジャカードの織物、刺繍のように見える織り柄などの手の込んだ先染め、機能性やテクノロジーが際立つ新素材に比べるととても自然や歴史、人の手の技を感じます。
 現実と夢が入り混じる年の瀬を迎えることになりそうです。



 2011/12/11 22:05  この記事のURL  / 

ウールとマイクロファイバー
 今シーズンはクラシックに関連したテーマが挙げられ、ウールへの期待が高まっています。
 秋冬を代表する素材として長い間ウールがその役割を担っていましたが、90年代から合繊を表地に使ったダウン入りのコートやジャケットが出回るようになってコート素材は大きく変化しました。
 この間の「価格」「機能性」「イメージ」の変わりようは言うまでもありません。
 ウール、もしくはウールの複合素材と化合繊のミックスの2大分野がコートやジャケットの袂を分けていますが、上質なベーシックやクラシックの流れの中で両素材が互いの分野に大きく進出してきた気がします。
 つまりウールにも中綿が入り軽快でスポーティーなジャケットやベストが出てきたこと、高密度織物もしくは極細糸に新しい加工が施されスポーツテイストからエレガントでラグジュアリーな化合繊の使われ方がされていること、ウールの様に見えながらナイロンやポリエステルやキュプラなどのミックス素材であることなどに驚かされます。

 先週行われた東レの11-12秋冬向け素材展で発表された「Sillook Lumisty(シルックルミスティー)」はマイクロサーフェス構造で独自の表情を出し、柔らかく深みのある光沢を持つポリエステルです。
 乱反射に似たひかり加減がしわ加工とは違う優雅な表面感を作り出しています。
 似たものはすでに店頭でも見られますが、ドレス対応に適した新しいシルックルミスティーは、その肉感も含めて来シーズンのドレスやエレガントなボトムス活躍しそうです。
 同時に紹介された「クロスウォーム」はウールを使わずにウールタッチを表現した素材です。
 N79/ポリエステル11/R6/Ly4の混率やCu50/N30/P11/R6/Ly3で紡毛風でもあり合繊タッチでもあるパンツが作られていました。
 ウールとマイクロファイバーは急接近中です。


 2010/12/05 23:39  この記事のURL  / 

2011年秋冬素材予測
 ツィードは人気素材になるでしょうか?
 2010年も三分の二が過ぎました。
 これほど暑いのに暦の上では秋は確実にやってきます。
 二週間後に控えたプルミエールヴィジョン展を前に、素材業界では慎重な予測がなされているようですが、消費者の目から見た市場性について少し考えたいと思います。

 昔から秋冬を代表する素材としてまず「ウール」があり、「毛皮」「ニット」が続いた時代がありましたが、今は大きく様変わりをしています。
 素材の専門的知識から言えば技術開発による新しいテキスタイルが次々と生まれ、機能性のある素材やゴージャスでファンシーな素材がいくつも浮かびますが、現在の消費者にとってこの三つは「ダウン」「レザー」「カットソー」へと移行することが多くなりました。
 そんなことを十分認識した上で、このところ毎シーズンのように話題になる素材が「ツィード」でしょう。
 今年も汗だくの店頭でも8月の半ばからツィードが見られました。
 意図的に仕掛けている産地もあります。
 少々辛口になりますが気温の高い状況で見るツィードは正直“暑さ”を益々強調するものになることがあります。
 同時に“ツィードの常識”のようなものが変化していることを感じます。
 どんなに暑くても“本物のツィードの魅力”はその表現が適切であれば私たちを納得させてくれることは言うまでもありません。
 その証拠にシャネルのウィンドウには早くからツィードが見られました。
 オーソドックスでもあり豪華でもあり、そしてスノッブなシャレ気さえ感じます。
 マントやバッグなど今まであまりツィードが使われなかったアイテムの展開も魅力的です。
 ツィード素材は糸使いや色の組み合わせ、織り変化でクラフト的なものやアーティスティックなものからプレーンでフラットなものまで様々に広がります。
 ガーメントに落とし込まれるときには、色、素材、デザイン、シルエットのバランスが必要になり、デザイナーの腕の見せ所でもあります。
 消費者にとって「柄」を感じさせるツィードと「無地」のフラノ、モッサ、ブランケットなどに求める「ウール感覚」はほぼ同じものでしょう。
 化合繊に施される繊細なテクニックがウールにも展開され始めた中で、ツィードの市場性が気になりますが、ブレードやファーと組み合わせたり、軽さが求められたり、新しいツィードには新しいバランスが必要になりそうです。
 日本での市場性を注意深く見たいものです。



 2010/08/29 23:09  この記事のURL  / 

2010年春夏市場から見る素材の総括 3
 素材が季節を表す効果が大きいことは言うまでもありませんが、昨今は複合化が進み原材料を特定することが難しくなりました。
 逆に今シーズンはサファリやマリンというテーマがわかりやすい素材のくくりを作ってくれているような気がします。
 またファンタジックなイメージを持つアイテムには薄くて透ける素材が使われたり、クラシカルなワンピースにはレースやアートピケ、サテンなどが多く見られました。
 言い換えるとわかりやすい反面、オーソドックスで冒険のない、安心して着られるものが主流だったといえます。
 新しいストリート系として人気の高い「山ガール」はアウトドアを中心としたスポーツスタイルが突出していますが、これもジャージー素材のカットソーアイテムや機能素材をオシャレにこなしたものです。
 判りきっている素材が新しいデザイン感覚で市場性を得ていることは「目からうろこ」のような衝撃です。
 ベーシックで格調のある見慣れた素材や、専門性の高い分野で使われていたナイロン、ハイテクを思わせる加工や仕上げの施された合繊、いずれも機能性に直結することがポイントです。





 ラグジュアリーブランドやエレガントでゴージャスの表現と、カジュアルやスポーツから始まった機能性は思いがけないところで繋がり、さらに新しい出口へと向かっています。
 今シーズンの店頭は案外に雄弁でした。

 2010/07/24 21:43  この記事のURL  / 

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名前:北川 美智子
Michiko Kitagawa

テキスタイルディレクター

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