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追悼 写真家 ビル・カニングハム
ファッション写真家 Bill Cunningham

 私が写真家として最も敬愛するビル・カミングハム氏が25日、87歳で亡くなった。

60代のパリコレでのBill Cunningham

長年ニューヨーク・タイムスの写真家として活躍した彼は、ハーバード大学を中退すると、パリコレがまだオートクチュール全盛期の1952年、“ユーベルト・ド・ジバンシー”のショーを撮影してから現在まで半世紀以上にわたってパリコレを撮り続けてきた。

Hubert de Givenchy


そしてとくに彼の名を世に知らしめたのは何と言っても、パリコレの会場前で、訪れる人々のファッション・スナップや、地元ニューヨークでも愛用の自転車に乗り、道行く人々のファッション・スナップを撮ることだった。
いつも青い作業着のジャケットを着て、首からカメラをぶら下げてる彼の撮影スタイルは変わらない。
ニューヨークで自転車に乗って走る彼に一度遭遇し、声をかけると気軽にペダルから脚を離し、立ち話したのが懐かしく想い出される。

パリコレ会場入り口前で被写体を探すビル(奥の青いジャケット姿)


パリコレの入場制限は厳しいが、どんなメゾンでも彼だけはフリーパスだった。
それは彼の持つ人間性と、仕事への妥協を許さない厳しさにあったと思う。 
しかし普段の彼はいつも笑顔で優しい人だった。
ある時、ツーリストらしき人が、ビルと一緒に記念写真をお願いすると、彼は
“私は写真家だから、、”と丁重に断っていたのを憶えてる。
2010年には「ビル・カミングハム&ニューヨーク」という彼のドキュメンタリー映画が上映され日本でもヒットしたが、彼の知られざる一面を垣間見ることができた。
そして2008年にはフランス政府から文化勲章オフィシェも受けている。
今はただ彼の冥福を願ってやまない。

2013年10月、パリコレ会場前で

私は、パリコレの舞台で彼と一緒に仕事できたことを誇りに思うと同時に、彼の事を一生忘れない。
 2016/06/27 13:48  この記事のURL  / 

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プロフィール


大石一男 (おおいしかずお)
KAZOU OHISHI


写真家・フォトジャーナリスト

長崎市生まれ。大学卒業後、テレビ番組の制作に8年間携わる。1979年に初めてパリコレクションを撮影。以降、ミラノやロンドン、ニューヨーク、東京、ソウルと世界のコレクションを長年に渡り撮り続ける。 東京ファションウィークには、第1回目からオフィシャルカメラとして参加。

2013年、第31回「毎日ファッション大賞」鯨岡阿美子賞受賞。著書に「カメラマンのパリコレクション」(読売新聞社)、おもな写真集に「Paris collection 1981〜2000」(新潮社)がある。

大石一男 オフィシャルサイト
http://www.kazouohishi.com/


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