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コレクションーその光と影−18
「山口小夜子 未来を着る人」

昨10日夜、「山口小夜子 未来を着る人」のオープニング・レセプションが
東京都現代美術館において行われました。
小夜子のヘアメイクスタイルで出迎えてくれたモデルさんたち

1970〜80年代に、世界のトップモデルとしてパリ・コレクション等で活躍した山口小夜子。残念ながら2007年に急逝しましたが、今回の企画展は二つの要素が入り組んだものです。ひとつは、コラボレーションを通じて、世代やジャンル、東洋と西洋、オーバーグランドとアンダーグランドなど、生前の彼女の軌跡をアーカイブとともに辿るものと、もうひとつは現在のシーンにおいて大きな影響力を持つ先端的な表現者たちの、小夜子に捧げる新作インスタレーションとなっています。
各種のポスターとコラボレーションの作品

ファッション、音楽、映像、演劇、朗読、パフォーマンス、ダンスなどが混在する実験的なこころみを行ってきた彼女の生涯を振り返りつつ,常に時代の先端を走り続けたその遺伝子を未来へと渡すものです。
等身大の小夜子マネキンと小夜子スタイルのモデルさん

しかし今回の企画展意図とは別に、私個人は彼女に対しての特別な畏敬の念がある。
私が撮影した80年代パリコレの山口小夜子

それは1979年、初めてパリコレ撮影に行った時、私は日本人カメラマンとしてコレクション会場でかなりの差別と嫌がらせを受けたからである。当時パリコレ撮影は、東洋人カメラマンは日本人のみで、まして日本から撮影に出かけていたのは私一人であった。
ショー会場で私が撮影場所を探していると。見知らぬ白人女性が、
「お前はどこから来た」と聞くから、私が「日本からだ」と応えると、
「日本人か、日本人はコピーするのがうまいからな、、また写真を撮って帰って日本でコピーするんだろう!?」といきなりそう言い放った。
私は悔しさと腹立たしさで一杯だったが、そんな彼女の悪態に反論できるほどの語学力もなければ度胸も無かった。ただただ彼女に言われるがままであった。
亡くなる4ケ月前の山口小夜子さんと

そんな精神的に落ち込む私に、勇気と励ましを与えてくれたのが、すでに世界のトップモデルとして活躍していた山口小夜子であった。ステージで堂々と振る舞う彼女の姿にどれほど私は勇気ずけられたかしれない。そしてその後、高田賢三を筆頭に三宅一生、山本曜司、川久保玲といった優れた日本人デザイナーたちの目覚ましい活躍が、私に大きな刺激と励みに成った事は言うまでもないからである。
山口小夜子のインスタレーション

「山口小夜子 未来を着る人」は4月11日(土)から6月28日(日)まで江東区の
東京都現代美術館にて開催されています。
今回の企画展を記念して発刊された「山口小夜子 未来を着る人」の表紙

今回発刊された本に掲載された私の写真(右側頁は右のみ)

私が撮影いたしました山口小夜子さんの80年代パリ・コレクションの写真も展示されておりますのでご覧いただければうれしい限りです。

東京都現代美術館 江東区三好4-1-1 TEL:03-5245-4111



 2015/04/11 12:53  この記事のURL  / 

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プロフィール


大石一男 (おおいしかずお)
KAZOU OHISHI


写真家・フォトジャーナリスト

長崎市生まれ。大学卒業後、テレビ番組の制作に8年間携わる。1979年に初めてパリコレクションを撮影。以降、ミラノやロンドン、ニューヨーク、東京、ソウルと世界のコレクションを長年に渡り撮り続ける。 東京ファションウィークには、第1回目からオフィシャルカメラとして参加。

2013年、第31回「毎日ファッション大賞」鯨岡阿美子賞受賞。著書に「カメラマンのパリコレクション」(読売新聞社)、おもな写真集に「Paris collection 1981〜2000」(新潮社)がある。

大石一男 オフィシャルサイト
http://www.kazouohishi.com/


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