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コレクションーその光と影−13
ショー本番中のスーテージに乱入

パリコレでは2000年代に入ると、それまで姿を見せた事のなかった動物愛護団体によるファッションショーへの毛皮反対運動が目立つようになった。
そして2003年秋冬コレクションでは、ルーブル美術館のすぐ隣にあるチュルリー公園のテント会場で、数人のグループがプラカードをもって毛皮反対を叫んでいた。
チュルリー公園 (Jardin des Tuileries)

こうした動きはパリに限らずのミラノの会場でも起きていたが、とくにパリコレでは世界中から集まる大勢のプレス関係者とメディアの影響力を狙ってか、動物愛護団体の活動は、毛皮とは関係ない有名ブランドや人気ブランドまでもがその標的にされた
本番中に突如としてステージに乱入し毛皮反対を叫び、ショーの進行を妨害することも日に何度かあった。
チュルリー公園内のオープン・カフェ

しかしここで問題なのは、パリコレに限らず世界で開催されるコレクションは基本的にプレスやバイヤーと言えども事前に登録申請し、メゾン側が許可した招待者のみであるから、こうした活動家がどうやって入って来たのかが問題である。
パリコレを一度でも経験した人なら分かるはずだが、招待状なしでパリコレ会場へ潜り込むのは至難の業である。それもメインの会場入口と、各ブランドのショー会場入口の、最低2カ所を通過しなければならない。そして各入口には、赤ネクタイをした屈強なセキュリティからの検問もある。
誰かが彼等にチケットを渡さないかぎりは会場に入るのは不可能といえる。
チュルリー公園内に設置されたショーのテント

そして2003年秋冬コレクションでは、ディオール(Christian Dior),セリーヌ(Celine)と言った有名ブランド等が標的にされ、前回(2002年秋冬)も妨害されたゴルティエ(JP.Gaultier)はそうした毛皮反対者からの妨害を想定していたのか、客席最前列に密かにセキュリティを配置していた。
ショーが中盤まで進むと、いきなり客席から裸の女性がステージに駆け上がると毛皮反対と大声で叫びはじめた。間一髪をいれずセキュリティが飛んで来ると裸の女性に事も有ろうか、用意してた毛皮のコートで彼女を包込むとステージから引きずり降ろした。会場は失笑と驚きで一瞬どよめいた。
毛皮反対運動家の彼女にとっては屈辱の極みだったと言えるが、私はこのゴルティエのとった行動に、毛皮反対運動家には叱られそうだか、さすがにウィットにとんだゴルティエだと感心したものである。
2003a/w-フィナーレでのJ.Pゴルティエ

その後もこうした毛皮反対運動は何度かあったが、2007年秋冬のクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)のとき、またしても動物愛護団体が本番中のステージに、”毛皮を着るより、私はむしろ裸になる”と書かれたメッセージをもって全裸で乱入し毛皮反対を叫んで、セキュリティに引きずり降ろされる事件があった。

2007a/w C.Lacroixショー本番中に乱入したPETAの活動家

しかしこうした反対運動にデザイナーも嫌気がさしてか、一時期ショーではフェイクファーが使われるようになり、動きも下火になったかと思っていたら2010年ころからはまた毛皮が復活してるというのも皮肉な現象といえる。
2007a/w-フィナーレでのC.ラクロワ(右側)
 2014/11/10 14:29  この記事のURL  / 
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プロフィール


大石一男 (おおいしかずお)
KAZOU OHISHI


写真家・フォトジャーナリスト

長崎市生まれ。大学卒業後、テレビ番組の制作に8年間携わる。1979年に初めてパリコレクションを撮影。以降、ミラノやロンドン、ニューヨーク、東京、ソウルと世界のコレクションを長年に渡り撮り続ける。 東京ファションウィークには、第1回目からオフィシャルカメラとして参加。

2013年、第31回「毎日ファッション大賞」鯨岡阿美子賞受賞。著書に「カメラマンのパリコレクション」(読売新聞社)、おもな写真集に「Paris collection 1981〜2000」(新潮社)がある。

大石一男 オフィシャルサイト
http://www.kazouohishi.com/


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