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コレクションーその光と影−10
ロンドン・ファッション・ウィーク 今昔

パリ、ミラノ、ニューヨークのことを書いてきたので、ここでロンドンのことも少し書いてみたい。
私のロンドン・ファッション・ウィーク(以下=LFW)撮影は、1984年の第1回目から1990年までの6年間、ミラノ・コレクションの後に行っていた。

エリザベス・タワー (ビック・ベン) Elizabeth Tower (Big Ben)

初期のLFWには15人ほどのデザイナーが参加し、期間も3、4日間位で、これまで書いてきた他国のコレクションと比較すると、その規模からしても、見劣りしてたのは否めない。

しかし当時、私が感じたのは、パンク・ファッションの発祥の地だけあって、ショーの合間をぬって出かけた、”カムデン・タウン”で見るストリート・ファッションには興味津々だった。


80年代中半のカムデン・タウン (Camden Town)

多国籍の人種が和気あいあいとしたムードで集い、それぞれが主張する思い思いのファッションで通りを闊歩する姿は、若者がまさに自由にファッションを楽しんでいるという印象だった。

80年代中半のカムデンタウンでのストリート・ファッション

LFWは初期の頃、ウエスト・ケンジントンにあるオリンピアのホールで行われていたが、その後、近くのアールズ・コートに特設テントが立てられ移動した記憶がある。

オリンピア・ホール (Olympia Hall)

アールズ・コートの特設テント (Earl’s Court)

現在は、2009年からテームズ河畔の”サマセットハウス”で行われてるようだ。

1984年の第1回LFWのとき、既に注目を浴びていたヴィヴィアン.ウェストウッド(Vivienne Westwood)とパートナーのマルコム・マクラーレン(Malcoim Mclaren)が手がけるパンク・ファッションの”ワールズ・エンド (World’s End)”は一世を風靡し、世界のプレス関係者をミラノコレの後、ロンドンへ引き寄せた功労者かもしれない。
しかしそのヴィヴィアン・ウエストウッドも、その後自身の名のブランドを展開し、1983年にその発表の場をパリにも移した。

Vivienne Westwood

そして相前後し1985年には、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)がLFWにデビューしたが、その才能を見込まれ89年3月には、パリ・オートクチュール組合からの招待でガリアーノも舞台をパリへと移した。
その後、ガリアーノと同じロンドンのセントラル・セント・マーチン芸術大学を卒業したフセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、そしてアレキサンダー・マックイーン(Alexander Mcqeen)と言った有能なデザイナーたちが、ほんの数シーズンでLFWから、発表の場をパリへと移している。

結局、有能なデザイナーの大半がLFWからパリへと移動したことにより、世界のプレス関係者の脚も自然にロンドンから遠ざかってしまったというのが、私を含めて大方の理由ではなかろうか。

しかし私が最も悲しく残念に思ったのは、2010年2月に突然この世を去ったマックイーンの死だった。生前、個人的に接する機会はなかったが、その優れた才能はもちろんのこと、シャイで優しそうな人柄からしても、今もって私は彼の死をなかなか受け入れることができない。

2009/10a/w A.Mcqeen Paris collection

亡くなる前年の2009/10秋冬パリ・コレクションで見せたその才能は、それまで見たどの作品よりもすばらしかったと私は今でも確信してる。

Alexander Mcqeen

こうして見ると、私はLFWの状況が東京と類似してるようでならない。東京でも数シーズン、コレクションを発表したデザイナーがパリへと舞台を移してしまう。もちろん長年コレクションを撮影してきた私には、少なからずとも彼等の心情は理解できる。
クリエイターである以上、当然上を目指して進むのが、ごく自然で当たり前のことだから。

テムズ川 (River Thames)

やはり何をさしおいてもパリ・コレクションは、ファッションに携わる人には憧れと、一度は挑戦してみたい魔力を秘めているのかも知れない。
 2014/09/29 00:05  この記事のURL  / 
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プロフィール


大石一男 (おおいしかずお)
KAZOU OHISHI


写真家・フォトジャーナリスト

長崎市生まれ。大学卒業後、テレビ番組の制作に8年間携わる。1979年に初めてパリコレクションを撮影。以降、ミラノやロンドン、ニューヨーク、東京、ソウルと世界のコレクションを長年に渡り撮り続ける。 東京ファションウィークには、第1回目からオフィシャルカメラとして参加。

2013年、第31回「毎日ファッション大賞」鯨岡阿美子賞受賞。著書に「カメラマンのパリコレクション」(読売新聞社)、おもな写真集に「Paris collection 1981〜2000」(新潮社)がある。

大石一男 オフィシャルサイト
http://www.kazouohishi.com/


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