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失礼な人とは。
「失礼な人とは自分が失礼なことをしていると気づかないから、失礼なのである。」


五月の節句を迎えても昔のように五月晴れの空に泳ぐこいのぼりを見ることは少なくなった。子供たちがすっかり成人してしまった我が家も、節句飾りは組み木作家・小黒三郎さんの5月人形<リンク: http://u-plan.jp>「円武者、三段飾り」で、簡易にすませている。59の木片が丸いお重のような容器に納められており、それを取り出して三段飾りにする。しまうときは逆にパズルをするように木片を組み合わせていく。ちょっと前までは簡単に出したりしまったりできていたはずなのに、年々、時間がかかるようになった。なぜだろうと思っていたら、50歳を過ぎて、急に眼が遠くなったことに気づいた。気持ちは若いつもりでも部品は確実に老化している。それが時間がかかるようになった理由である。少子化が懸念されている世相のなかで、逆に部品を老化させている人口は確実に増えている。



先日同世代のある大手企業の社長とゴルフをやる機会があった。その彼がランチタイムにメガネなしでメニューをみていたので、びっくりして、「目いいんですね、まだ」とうらやましそうに聞くと、「老眼治療をしたんです。10分で終わるし、メガネいらずになるから便利ですよ」との返事。医療技術がすすんであらゆる部品をアンチエイジングしたり、取り換えたりできる時代になってきた。しかし、TVなどに登場する整形美男美女をみるたびに、表情が同一化されていく恐怖を感じる。自然のままに年を重ね、できるだけ自然のままで老化を遅らせる努力をすること。それが一番いいのではないかと思っている。


そうはいっても、目はやはりいいほうがいい。数字や必要な書類に目を通すためにも老眼知らずの目でありたいと思う。昔、祖母が針に糸を通してくれとよく頼んできた。その時はどうして、このくらいの穴がみえないのだろうと不思議であったが、その年に近くなってきたら、祖母の立場がよくわかるようになった。経験すればその人の気持がよくわかるというが、年だけは追い越すことができないから、若い人には老人の気持ちや老いることの不便さはどうやってもわからないだろう。

ずいぶん前のことだが、ある会議の時に若い社員に「今度は老眼鏡を持ってきて、よく読んでください、」と冗談とも本気とも思えるようなことを言われたことがある。大人げないので、その場で怒ることはしなかったが、かなり頭にきた。自分だっていつかはたどる道なのに、全く失礼な話である。人の立場を思いやることのできない人は幸せになれない。そして、失礼を失礼と感じない鈍な人はどの世界でも成功しないと私は思っている。

若者と老人が50%ずつになる時代がもうすぐそこに来ている。その時皆が幸せであるためには、ひとりでも多くの思いやりのある人物を育てることだろう。それが、長い人生を歩んできた私たちのこれからの仕事かもしれない。
こどもの日を迎えて、来りくる老人の日のために一筆啓上。



 2008/05/06 23:00  この記事のURL  / 


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プロフィール
蟹瀬 令子(かにせ れいこ)
上智大学文学部英文学科後、博報堂に入社し、コピーライターやコピーディレクターとして活躍。
1999年、「ザ・ボディショップ」を日本で展開するイオンフォレストの代表取締役社長に就任。
ケイ・アソシエイツ代表として、外資系企業、および国内企業のブランディング、マーケティングを手がける。2007年スキンケアブランド、LENAJAPONを立ち上げ現在にいたる。

蟹瀬令子 プロフィール
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