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しゃららららーんと鳴るテキスタイル
言葉は「ことだま」である。

時としてすごい力をもつ。
五感の限界をらくらくと超えてくれるのが
言葉だとおもう。

お客様のところで、ラメ入りの二種類の生地を見ていた。
二種類の生地のラメは
どうやら、ラメ素材が異なるようで
若干光り方が違う気がする。

そのお客様にとってその差はとても大きいらしく
ライトに当てたり 角度を変えて見せながら
説明してもらう。

テキスタイルの「色」の差や、「素材」の差
はたまた欠点などは
なんて繊細な差異なんだろう。
それぞれのプロフエッショナルの方の視点はいつも
的確にそれを見出されるのですごいなぁと思う。
きっと、勝手にあぶり出されてくるように
迫ってくるんだろう。
プロの目には。


緑はまだ未熟な色彩感覚で
二種のラメ生地の差をなんとか寸前まで理解すべく
生地を 上げたり 下ろしたり まわしたり
自分がしゃがんだりしながら努めていた。

お客様はいう、
「こっちのラメ感はスワロフスキーのように見える、輝きがちがうんです」

なるほど、良い例えだなぁ。
たしかに光線が鋭くかつ
宝石から発せられるようで
多方向にキラキラとしている。

頭でだいぶわかってきた。

さらに言われることが
「このラメ生地、振るとシャラララーンって、
鈴の音が鳴りそうなんです!」


この、シャラララーンという擬音語を聴いたときに
ミドリの目には、突如
生地からラメが音になって
こぼれ落ちていくように見えた。

細かい鈴の音で、つめたい氷の部屋になんて
この生地を置いたら、
部屋にサラサラサラという音がひびいて
消えて行く。

で、生地を振るとまた音が鳴る。

ラメの輝きの粒が
すべて音楽のようにみえた。
そして、もう一方の生地には
この音は鳴らなかった。

さっきまで わずかだと感じていた光の差が、
とても大きい海峡にまで開いた。
訓練不足なミドリの眼が、
こころから表現しようっていう「言葉」
によって ありがたくも開かせられたのだ。

ミドリは、そのラメの本当の美しさと
彼女の言葉に感動してしまったので
ラメピストとして、
この感動とせめて並ぶものをラメで表現しなくては
彼女の心に届けなくては。と
強く心に誓った。

そのヒントが 昨日
見えた気がするので
早くお客様の心を動かしたい。
先は意外と長いのだろうけど。

ミドリはお客様に恵まれすぎているので、
ラメでその感動が伝わったらいいのに。
いや、伝えないとダメだ。
恥ずかしながらわたしだって
ラメのプロフエッショナルなんだから。


山田命音
2013年05月23日(木)  12:07  / ラメピスト_ミドリ  / この記事のURL

「金色」の蛇が出た。
先週、会社に金色の蛇が出た。

金色といっても金属光沢はないので
強く 鮮やかな山吹色であった。

なのに、そもそもなぜ「金色」の蛇
であったのかというと。

ある天気の良い日
事務所の外を掃除していた女性スタッフが、
社長を探して窓から中を覗き込んでいた。

社長の電話が終わったのを待って
「外に蛇がいます」と
こわごわと危険を報告する。

社長は「白蛇だったら縁起がいいなぁ、何色?」
と、かなりのどやかな受け答えをしている。

危険を足元に感じて目が離せないスタッフは
とりいそぎ蛇をなんとかしてもらわないといけない。

至極まじめに、
「金色です!金色の蛇です。」
と告げた。

にわかに事務所内が色めきだって
会話を流し聞きながらパソコンに向かっていたミドリも
数人も外に走り出して
「金色の蛇」を見つけにいった。

山吹色にかがやく蛇は、しばし動かず
ゆっくりとしていてくれて
注目がひととおり集まると工場の方へ消えていった。

思ったより大きい体だった。
すぐ、どこへ隠れたかわからなくなってしまった。
みんなで、しばらく わあわあと探していたとき
泉工業はとても平和な会社だった。


金銀糸メーカーにあらわれた「金色の蛇」は
神様のお使いのような印象を皆に与え
皆は少し幸せになった。

なによりもこの蛇をみて「金色」って
自然と口をついて出てきた女性スタッフがすごい。

日々、金銀の輝きに
囲まれて生きていることはとても恵まれていることだと
ミドリは考えている。

目の端に映るものも背景も
体にまとわりつくものも
全てきらめいているということが
明るい気持ちに作用しないということは無いのだ。

ミドリは、常に「ハレ」のきらきらしさに囲まれている、
そしてキラキラに侵されている。


金色の蛇は、一見神さまのようであったが
うちで生まれた「ラメ糸」ではなかったのだろうか。

世界に送り出された後、お勤めを終えたラメ糸たちが
蛇に生まれ変わって里帰りしてきたのだ。

ふと工場が懐かしくなって
おうちに帰りたくなったのだ。

とても頑張って働いてくれたろうから
もっと楽しいところへ行ったらいいのに。
動けるようになったのだから
自分の行きたいところへ自由になったらいいのに。

その日は一番暑くなったような日だったので
夜、会社のまわりは蛙がけたたましく鳴いていた。
蛇は蛙を食べるから
「金色」の蛇も お腹いっぱいになって
良い夢をみているといいなと思った。


山田命音

2013年05月21日(火)  12:17  / ラメピスト_ミドリ  / この記事のURL

花嫁のドレスの裾を踏ませないために

友人の結婚式にお呼ばれ頂いて、
結婚式というイベントを勉強した。

友人が式を上げたのは
街中のタクシーのおじさんが世間話で
「あそこは神戸で1番の式場」だって
口コミをしているくらい 立派なところだった。

建築や内装やお料理が
立派なのは勿論だけれど、
スタッフさんの「動き」が
飛び抜けていてすばらしかった。

緑が小学生だったら、「将来のゆめ」に
結婚式場スタッフさんと書いていたところだ。

キビキビした動作、お腹から出す声、
アドリブも想定済みのナレーション、
どれも完全に練られていて
立派な社内教育があるんだなと感じた。

とくに花嫁さんへのフォローが注力されていて、
すらりとした花嫁さんの長い足よりも、
さらに長いドレスの裾を
常にどなたかのスタッフさんが誘導している。

花嫁に裾を踏ませるわけには行かない。
花嫁さんは1番うつくしくあるべきであり、
常に1番うつくしいフォルムでいないといけない。
お芝居の黒子のように、
スーツで中腰になって
常にそれを整えているひとがいるのだ。
そして、適切なタイミングで
広間にも響く拍手をする。

花嫁さんはゼクシィの表紙のように
つねに美しかった。
スタッフさんは最後まで爽やかであった。

わたしは、きちんと誰かの裾を踏ませないように
生きれているのだろうか。仕事できているのだろうか。

たぶん、見えないところで
花嫁さんも自力で危機を乗り越えていたはずである。

でも、緑が裾を導くはずの人たちは、
もっと自力で歩いてくださっている気がする。
そして、わたしのほうが度々つまづいている気がする。

花嫁さんの一部ですら
とても優れた技術でできている。
そして、全体でみると数々の匠がいることだろう。

しかしなにより、友人であるこの花嫁さんは
あまりにも善良な女性であったので
この素晴らしさは スタッフさんが心打たれて
全力の仕事を出し切った結果かもしれない。

この日の素晴らしさは、
神戸でいちばんの式場ゆえの普通ではなく
この花嫁の起こした 奇跡だったのかもしれない。


「この人のために仕事したいな」って思わせてくれる人は
つくり手にとって ぜったい必要で
つくり手の力を 
より引き出してくれるはすであるから。


山田命音
2013年05月13日(月)  12:11  / ラメピスト_ミドリ  / この記事のURL

魔法使いと「働く意思」

京都の 五条通りの東の方に
夢のようなお店がある。

店内はもちろんすてきで、スタッフさんは優しくて、
よいものばかりが並べてあり、
繊維関係のイベントが度々ひらかれる。
ここで得たご縁は限りなく多くて、
むかし通った学校くらいの思い出があったりする。

スタッフさんは皆華やかなのだが、
とくに 
同い年の美人店長さんがいる。

緑が会社帰りに この五条通りをとおると、
自転車に乗った彼女によく出会う。

彼女も帰り道だったりして
緑が弱っているときなどは、一緒に
おうどんを食べてくれることもある。


「人に必要なのは
才能でなく、目標である。
達成するための力ではなく、
働く意思である。」

という言葉に 感銘を受けたと
彼女に話したとき、

「涙が出そう」 
っていうので、

「わたしも、これを読んで泣いたんだよ」
って伝えた。


大切なものや、仕事にとって
もっと相応しい別の何かがあって、
自分なんて役に立たないのではないかと思うことがある。
それは事実なんだろうけれど。

「もっと相応しいもの」
が 自分の大切なものを守ってくれるとは限らない。
だいたい見回してもどこにも存在しないのだ、
そのような都合の良いものなんて。


どんなに道理にかなっていなくても
向いていなくとも、「働く意思」を持ちつづけている者が
仕事においては勝ちだ。
そして、そうであるべきなんだとおもう。


駅を降りて 五条通りを踏み出して、
たまたま自転車に乗った彼女に出会うと

「おつかれさまです」
って穏やかに微笑んでくれる。

それは、緑には「おかえりなさい」
と言ってくれているように聞こえて、

ほっとして帰路に着くのだ。

これは、
夢のお店の店長さんの魔法にちがいない、
きっと。


山田命音
2013年05月04日(土)  12:28  / ラメピスト_ミドリ  / この記事のURL

川上から生まれる、お姫さまについて
色合わせの妙や、
色の微かな違いのうつくしさの知覚には
緑はまだまだ未熟であり
むしろ苦手な分野だが、
ラメ糸の色目には「味覚」をおぼえることがある。

たとえば フワフワした糸にパール風の
金属調でない輝きをのせて、
ほんのり赤みにキラキラさせた時
「甘い」光沢で美味しそうだな
と感じる。

この「甘さ」は
喫茶店の前のケーキやパフェの陳列を
眺めているときに思うような甘さである。
甘味は、他にもしょっちゅう感じるが、
「苦さ」や「辛さ」などはまだ感じたことがない。
折角なら もう少し複雑な味があじわえるように、
舌をきたえたい。

「味覚」以外には「物語」を感じる。
画像でのせているラメ糸は
弊社社長が ある日突然生み出してきた
特殊な光沢のラメ糸だが、
はじめ見たときには緑興味が少なかった。

しかし、5〜6色で揃って上がってきたときに
「竜宮城」が見えた。

「この赤いのが鯛で、緑は昆布で、灰色のは岩で、紫のはウツボです」
と言って、乙姫さまがいるようだと話した。

しばらくして、社長がこの新作に
「珊瑚」という綺麗な名前をつけてくださった。

竜宮城で鯛やヒラメが舞い踊り、
乙姫さまが金銀珊瑚に囲まれてほほえんでいるのだ。
そして玉手箱をわたすのだ。
素敵な名前で 満足である。

ちなみに、「マイテル」で有名な
川プロさんの新作「ファンシーマイテル」を、
緑は勝手に「スノーホワイト」と呼んでいる。

白雪姫のような、かわいらしさとドキドキがある。

みんな 美しい糸や生地をどんどん生み出してくださるので、
社会人になってからの方が
緑は夢見がちになってしまった。

繊維業界には、
すくなくとも 緑のいる川上には夢があり、
日々 物語とお姫様が生まれている。

山田命音
2013年05月02日(木)  06:46  / ラメピスト_ミドリ  / この記事のURL

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