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日本の技術が光るパワー切り替え素材
今回のモードシティ展では、出展者も日本から有力なメーカーの動きがあった。
製品では、都市型百貨店で固定ファンをつかんでいる「ランジェリーク」が出展3シーズン目であったのに加え、「プルミエ」も初出展。
そして素材アンテルフィリエール展の方では、常連各社に加えて、デジタルプリントの「ビスコテック」で知られるセーレン(福井で大正12年に会社設立)の初出展が注目された。

ちょうど昨年、上海アンテルフィリエールで同社を取材させていただいたのだが、中国市場は香港事務所を拠点に順調に成長しているとのこと。次のステップとして欧米市場への進出を狙い、今回のモードシティ初出展に挑んだものという。

一番力が入れられていたのは、ビスコテックス技術を駆使したインナー・スポーツ用機能素材「VISCOMAGIC(ビスコマジック)」。
一枚のフラットな生地に数種類のパワー切り替えができるというもので、丸編み素材でありながら柔らかいのが特徴だ。ヨーロッパの業界でも最近注目度が高まっている接着技術の進化版といえる。
繊維を溶かしながらプリントするという技術をパワーコントロールの切り替えに使うのは同社ならではのものだが、その良さは生地のみではなかなか伝わりにくいために、今回は大手商社との連携によって製品でわかりやすく紹介している。
このほか、丸編みフリーカット素材の「Flex Move(フレックスムーヴ)」ももう一つの柱となっていた。

最大の課題は、「グローバルな納期にいかに迅速に対応していくか」と話すのは、同社スポーツ・インナー事業部インナー販売課の塩田清太郎課長。

メイドインジャパンの物づくりの強みをこのように世界に発信している姿勢は、来場者であるファンデーションのプロたちの大いなる興味を引いたようだ。
ファンデーションとスポーツウエアが次なるものを求めているこの時期に、非常にタイムリーな出展だといっていい。
 2017/07/27 11:40  この記事のURL  / 
エスモード卒業の安居院さん
今回の「モードシティ」展の模様は少しずつお伝えしたいが、まずとても幸せな気持ちになったのが、素材展アンテルフィリエールでの“才能あるランジェリーの世界”と名付けられたコーナーだった。

パリ・エスモード校の今年の卒業生の4人の卒業作品が並んでいたが、その中に「TOMOKO AGUI(安居院智子さん)」の名前があった。

彼女が日本の大学でグラフィックデザインを学んで卒業するかしないかの頃、いずれにしても
パリにランジェリーを勉強しにいく決意をかためた頃にお会いする機会があったのだった。
その言葉通り、エスモードでの3年間を終え、今年卒業したばかり。
しかも、ランジェリー科の最優秀賞(major de promotion)をはじめ、シャンタル・トーマス賞(本人の前でプレゼン)、さらにトレンドオフィス賞(プリンセスタムタムの創業者妹であるValerie Delafosse で、有名ブランド複数のデザインを手掛けている)の3つの賞を獲得した。

卒業作品のテーマは、“おばあさんの家の裏庭で(Dans l’arriere-cour chez grand-mere)”。
そのテーマの情景が浮かび、懐かしさや愛おしさがこみあげてくるような作品だ。
自分でストーリーを作ってリサーチを行い、製作、そして審査会に至るまで1年を費やしたという。
「ダイナミックさはフランス人にかなわないので、日本人ならではの繊細さを完璧に表現したいと、細かいディテールまですべて手縫いでおこないました」と安居院さん。
20人のクラスに日本人は一人だったという。

この3年で自分が変わったと思うことは?と尋ねると、「感謝ですね。両親をはじめ私を支えてくれている周りへの感謝の気持ちが強くなった」と話してくれた。
その謙虚なひたむきさ、フレッシュさは、最初にお会いした4年前と少しも変わらない。
今後、彼女がどう活躍していくかが楽しみになってきた。




 2017/07/19 21:20  この記事のURL  / 
3つのモード展覧会
7月8〜10日に開催された「モードシティ」展の取材出張を終えて、帰ってきた。
「モードシティ」展はランジェリーと共に水着・ビーチウエアの比重も高いので、1月の「パリ国際ランジェリー展」に比べると、日本からの来場者も少なめ。
ただパリおよびヨーロッパではこの時期に思いがけない質の高いモードやアートの展覧会に出会うことができる。

今回はパリで「ディオール展」と「バレンシアガ展」。さらにベルギーのアントワープまで足をのばして「エルメスーマルジェラ展」を観てきた。
インナーウエア業界関係者にとって、ランジェリーの国際見本市で最新の情報を知るというのも重要だが、それと共に(いやそれ以上に?)ランジェリーやモードの背景にある文化や歴史に触れるということは、日本国内にいては絶対に体験することができない。
そういうことも含めての海外出張であることを、このビジネスに関わる人々に伝えたいと私は思う。

ルーブル装飾美術館で開催されているクリスチャン・ディオール展“COUTURIER DU REVE(夢のクチュリエ)”。
その規模、点数、構成力、空間演出の仕掛け等々、圧倒される。もう言葉がない。
ディオールはまさにフランスのシンボル、モードの歴史そのもの。

モンパルナス近くのブルーデル美術館で昨日まで開催されていた“バレンシアガ 黒の作品展”。
かつてブルーデル自身が住んでいた邸宅は、庭園も含めて心地よい美術館。
荘厳なブルーデルの彫刻作品が散りばめられた館内には、黒のドレスが不思議に溶け合う。
そのシルエットの美しさの秘密が垣間見られるような美しい展覧会だった。
アートとモードのこういった邂逅はやはりパリならでは。

パリから片道2時間で行くことのできるアントワープは、王立芸術アカデミーでも知られる場所。同出身の「アントワープの6デザイナー」の一人、マルタン・マルジェラの“MARGIELA THE HERMES YEARS(エルメス時代のマルジェラ展)”がMOMU(ファッション美術館)で8月まで開催されている。
マルジェラ自身のコレクションとマルジェラがウィメンズアーティスティックディレクターを務めた時代のエルメスのコレクションが、テーマ別に隣に並んでいる。
内側と外側の境を外すなど、ランジェリーの本質にも通じるコンセプチャルかつ実験的なデザインで支持されるマルジェラが、エルメスのデザイナーに就任した時は一瞬意外に感じたものだが、こうしてみるとマルジェラならではのエルメスコレクションであったことを実感した。
エルメス時代のマルジェラの服が似合う女は、私にとって永遠の憧れ。


 2017/07/17 10:15  この記事のURL  / 
イメージキャラクターもグローバルへ
ローカルマーケティングからグローバルマーケティングへと、ここのところ変化がうかがえるトリンプ・インターナショナル・ジャパン。
外資企業でありながら日本主導の商品戦略、マーケティング戦略が際立っていたが、日本発ブランドのイメージキャラクターもグローバル化が進んでいる。

「天使のブラ・スリムライン」のジェシカ・ハート(モデル・企業家)に続き、「フロラーレ・バイ・トリンプ」では話題性を集めた松田聖子に代わり、アメリカ女優のジュリアン・ムーアが登場する。


 2017/07/05 22:47  この記事のURL  / 
日本の女の歴史を
ブックディレクターとして活躍している幅允孝さんに、インタビューをしていただく機会があった。
幅さんと会話をすることによって、自分が望んでいたこと、求めていたことがはっきり見えてきたような気がする。
それは、私はやはり日本の女の歴史を書いていきたいということだ。

このINNER通信のように、時代の流れの中でランジェリーのトレンドがどう変化しているかを発信することを続けながらも、やはり私の興味の核にあるのは、モノよりヒト、そしてその歴史。
しかも個を普遍化させること、つまり個の積み重ねである歴史について探求していきたいのだ。特に日本の女が世代を超えて受け継いでいっているものを。

常に、下着やファッションの枠を超えたいと思ってきたが、下着というのは本来自由であって、ほかのいろいろなものとつながることができる。
私はやはり下着の文化的側面に惹かれるのだ。
下着でなくてもいいが、下着というフィルターは実におもしろい。
下着というフィルターを通して、社会や時代を見ていくという立ち位置をいただいていることはありがたいと思っている。



 2017/07/02 22:06  この記事のURL  / 
プロフィール
武田尚子(たけだなおこ)
ジャーナリスト・コーディネイター

ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。
ファッション・ライフスタイルのトータルな視野の中で、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。
また、セミナー講師やコンサルタント業務も行っている。
武田尚子プロフィール
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