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デザイナーオブザイヤーは「ハンロ」
パリで開催される各種見本市は、その年のデザイナーオブザイヤーが発表されるのだが、ランジェリーのおいては、日本でも長年おなじみの「HANRO(ハンロ)」が選ばれた。

スイスで131年前に生まれた歴史あるブランド。天然素材を中心とする上質で快適なニット素材と丁寧な物づくり(90%が自社工場生産)を特長に、レディスとメンズ、肌着・ラウンジウエアからブラ、またアウターウエアとの中間領域まで、幅広く展開し、今や世界主要都市で販売されている。

ハンロCEOのステファン・ホフマン社長(写真左)は、2007年に同社社長に就任後、8年で80%増の実績をあげ、昨年もグローバルで7〜8%の順調な伸びとなっているという。
ホフマン社長は学生時代に日本で生活したことがあるという経験の持ち主で私も親しみや近さを感じてしまう存在だ。

展示会初日には、素材展(アンテルフィリエール)の方でデザイナーオブザイヤーを受賞した、同じくオーストリアの「ウイリー・ヘルマン」と共に記者会見にのぞんだホフマン社長。本社が徒歩数分の所にあるという間柄で、モデルが着用した「ハンロ」製品は同社の素材を使用したものをあえて選んだという、なんともほのぼのとした記者会見の光景になった。

「ハンロ」の受賞は、タイムレスでエッセンシャル(本質的)なものが見直されているこの時にふさわしい受賞だったといえる。





実は、同社には日本人の敏腕営業マンがいる。小山さん。ワコール輸入品営業部でハンロを担当していたのを機に、数年前に転職。今や、日本を含むアジア、中東、ベネルクス3国を担当し、最近ではオランダに直営店をオープンさせたという。







これみよがしな華やかさやセクシーさとは異なる、知的で上品な大人のためのコレクション。まさに憧れのライフスタイルを感じさせる。
日本でもまだまだ潜在需要は高いと思う。

 2016/01/25 14:25  この記事のURL  / 
琴線に触れたファッションショー
3日間のパリ国際ランジェリー展がスタートした。
2重のセキュリティチェックはあるものの、会場に入るといつもと変わりがない。
ファッションショーだけでも1日に3種類。例のごとく、1時間刻みのスケジュールに動き回った。

強い印象を残したのは、“Garden of The Dreams”と題するショー。
冒頭の鳥居のビジュアルや歌舞伎のような動きをはじめ、全編を通して、JAPANをテーマにしていることは明白だった。背景のスクリーンと音楽を効果的に使っていた。
従来ありがちな東洋趣味ではなく、質が高く洗練されていて、日本のイメージもずいぶん変化したと思った。実際に日本への海外からの観光客が増えているだけのことはある。
こういっては何だが、今回、日本からの来場者が(おそらく)激減している現状との対比は皮肉というしかない。


それ以上に感動的だったのが、そのショーの中で「AMOENA」という乳がん患者専門のブラジャーを展開しているブランドのステージだった。

実際に乳がんを体験している8人の一般女性が、同ブランドのブラジャーやラウンジウエアを着用して登場。
その明るい表情や堂々とした歩き方は見る者の感動を呼び、大きな拍手で送られた。

ショーが終了した後、周りの人たちとすぐにこの話題となったのだが、誰もが大きく心を揺さぶられ、こみあげてくるものがあったこと、そしてこの場に来ることのできた幸福を確認しあった。

何か本質的なものに触れることができたショーだったといえる。
時代は明らかに変化している。

 2016/01/24 05:45  この記事のURL  / 
物づくりへの「愛」が支えた展覧会
1月14日から17日まで、青山スパイラルで開かれていたランジェリーの展覧会、「秘密のランジェリー展」はおかげさまで盛況のうちに幕を閉じた。
13日の内覧会も含めると、5日間で合計3600名の来場があったという。特に後半の盛り上がりはすごく、最終日の17日(日)は1092名を記録している。

同展は多くの方々に支えられて実現したわけだが、中でも私が注目したいのは、新しいランジェリーのオリジナル作品(会場では《モード》ゾーンに展示されたもの)の制作に当たった各社のデザイナーや企画の方々の秘めたパワー。
店頭で目立つようなメジャーブランドの専任デザイナーではなく、各社のとりまとめ役やどちらかというと普段は目立たない陰の存在で、ベテランから中堅のキャリアの人が多かったと思う。
通常はブラジャー中心、しかもOEM生産のみのメーカーも少なくなく、ランジェリーのデザインに取り組むのは非常にまれというケースがほとんどだった。

今回の《モード》ゾーンは、“誘う”というキーワード以外には全体の共通テーマを設けず、各社の自由な創意に任せるということだったので、月1回のミーティングを重ねている最中は迷いもあったに違いない。時間も限られているし、どんなものが登場するかあまり予想がつかなかった。

ところがフタを開けて見るとびっくり。
前日の設営日はあれよあれよという間にディスプレイが終わり、サクサクと準備が進行。展覧会開催中は、各社内で協力しあいながら、シフトを組んで交代で受付や会場に出てくださった。
普段、会社の展示会で慣れているとはいえ、皆さんのとてもうれしそうなイキイキした表情が私はとても印象的だった。
そして、同展を通して、会社を超えた絆も深まったようだ。

設営の合間に、今回の作品に関する話を数人に聞いたのだが、異口同音で多く聞かれた言葉が「ハンドクラフト」だった。つまり機械化合理化が進んできたインナーウエアの中でも、手をかけてものをつくる可能性が残っているのがランジェリーの領域。忘れかけていたその楽しさを再発見しまったという感じだろうか。デザイナーたちのランジェリーや物づくりへの「愛」をひしひしと感じた
もう、パンドラの箱は開けられてしまった。効率化とは真逆の方向ではあるが、彼らの熱情がある限り、日本のランジェリーの未来は明るいと思った。

 2016/01/18 22:31  この記事のURL  / 
日本のランジェリーの変遷
明日日曜日17日は、いよいよ青山スパイラルで開催している「秘密のワードローブ」展の最終日となった。
会場内の拠点には、テーマごと会社ごとに一言ずつ説明が掲示されているが、なかなか記憶には残らないかもしれない。また、受付そばの壁面には、主催者であるNBFの紹介と共に、「日本のランジェリー」の変遷をまとめたボードがある。
この文章は私が担当したので、参考資料としてその内容をここに転載させていただく。会場で見逃した方も、会場にいらっしゃれなかった方も、以下、ゆっくりご覧ください。


日本のランジェリー

レースや素材の魅力がたっぷりと味わえるのが、スリップやキャミソールをはじめとするランジェリー。
ブラジャーなどのファンデーションとは異なる自由さを持ち、アンダードレス(ブラ&ショーツとのコーディネイト)としても、ナイトウェアとしても身につけることができます。
また、デザインによっては胸元や裾など服の下から見せたり、透ける服の下に重ねたりと、アウターウェアに近い着こなしも楽しめます。

日本では第二次世界大戦後、メリヤス肌着やストッキングの次なる産業を構築しようという意気込みで、ランジェリーの開発が活発化していきました。女性たちに新しい時代の夢と希望を与えたランジェリーは、下着ブームも生み出しました。
終戦直後は、舶来文化をベースにした神戸のメーカーによる高級品がリードしていたこの市場も、足利をはじめとするトリコット生地産地の活況が量産化に拍車をかけます。
時は流れ、1980年代後半から1990年代にかけて急速に進んだボディファッションの高感度付加価値路線。その陰の立役者も、レースのランジェリーだったといえます。

しかしながら、ファッションのカジュアル化、合理化という大きな流れの中で、女性たちのランジェリー離れが進み、インナーウェアというとブラジャーに集約されてきた傾向は否めません。
どちらかというとナイトウェアの一環としてスリップを身につける文化が継承されているヨーロッパに対し、日本では今も変わらず昼間のアンダードレス需要が基本になっています。ブラジャーとスリップが一体化したブラスリップの伝統が、根強く引き継がれているのも日本ならではの特徴でしょう。

ボディファッションの主役であるブラジャーの陰に隠れ、近年はニット肌着の勢いに押されてきた存在ながら、ボディファッションメーカー各社は多様なデザインのランジェリーを提案し続けています。
ファッションのトレンドは今、スカートの復活を含めたフェミニンな方向へと舵を転換させています。それ以上に、女性たちの中に、合理性とは異なるおしゃれへの欲求がふつふつと芽生えていることを感じます。
この絶好のタイミングに、ぜひ肌に纏うランジェリーの魅力を再発見し、自分らしい着こなしを楽しんでください。あなたのワードローブに欠かせないものになるはずです。   
 2016/01/16 22:28  この記事のURL  / 
「秘密のワードローブ」展が担うもの
アートとデザインの今を発信し続けている青山のスパイラルで、今、ランジェリーの展覧会を開催している。
(一社)日本ボディファッション協会主催による「秘密のワードローブ〜Meet Lingerie〜」だ。

一昨日のメディア対象内覧会に続き、昨日の一般開催初日から多くの方にご来場いただき、好評を得ている(会期は17日まで)。

企画に参加した立場から痛感しているのは、この展覧会がまさにプラットフォームの役割を果たしているということ。
展示物を媒介にいろいろな人が集まることによって、業界業種の枠組みや異質なもの同士の壁を超え、何か新しいことを生み出す可能性を秘めていると思うのだ。
実際に昨日だけでも、会場では、普段ではありえない人と人との出会いに立ち会った。人が出会わなければ、新しいものは生まれない。

ファッションの中でもインナーウエア(下着)というのは、何か特殊なものとしてファッションの主流とは隔離されがちなところがあるが、そもそもそういう線引きを断ち切りたいとかねがね思っている者としては、この展覧会をより多くの方々に見ていただきたい。
そして、「ランジェリー」という未知の領域の発見でもいいし、新しいビジネスのコラボレーションでもいいし、何か新しい「次」につながればいいと願っている。
少なくとも、同展参加企業の自己満足に終わらせてはいけないし、ここをスタートラインに次のステップに進むことが重要だ。

その媒介役が「ランジェリー」というのは実に象徴的。合理性や実用性とは一線を画した、「夢」や「美意識」の領域の衣服である。それは非常にパーソナルなもの(作り手も着る側も)。おしゃれというものが本来持っている本質的なものを、ランジェリーが再び呼び覚ましてくれるような気がしている。

展覧会の詳細については、他のメディアも含めておいおいお伝えしていく予定です。
 2016/01/15 09:41  この記事のURL  / 
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プロフィール
武田尚子(たけだなおこ)
ジャーナリスト・コーディネイター

ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。
ファッション・ライフスタイルのトータルな視野の中で、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。
また、セミナー講師やコンサルタント業務も行っている。
武田尚子プロフィール
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