« 2015年06月 | Main | 2015年08月 »
女子美の学生が提案するランジェリー
4年目を迎えたワコールと女子美術大学との産学連携プロジェクト。2015年前期の作品発表会が、夏休み突入直前の女子美術大学杉並キャンパスで開かれ、私も出席してきた。

対象となる学生は、同大学アート・デザイン表現学科ファッションテキスタイル表現領域4年生の9名(山村ゼミ)。
今期は“リバース(Re Birth)ランジェリー”をテーマに、ランジェリーの歴史をはじめとする基礎知識の講義や本社研修〈ホップ〉、ホップで学んだ知識を活用した基本的なランジェリーの制作〈ステップ〉、未来に向けての新たな提案〈ジャンプ〉という三段階構成。今回は最終段階であるジャンプの作品を発表する場であり、学生一人ひとりが各自の作品のプレゼンテーションを行った。
素材選びや、最新のプリント技術を活用したオリジナルのプリントをはじめ、展示ボードやプレゼン用の映像、さらには話し方や伝え方に至るまで、トータルな意味での「作品」が披露された。

ランジェリーとしての物の完成度だけではなく、各自のアイデアをどう形にしていくか、そしてその形に込めた思いを周りにどう伝えるかというところに力が入れられていたのが興味深い。
特に今回は、これまではランジェリーに興味がなかった、あまり着たこともなかったいという学生がほとんど。ランジェリーに対する余計な固定観念がない状態で、自分の好きなもの、作りたいものは何かというふうに、自分自身を深く掘り下げたところからアイデアをスタートさせていることに非常に好感がもてた。それはまさしく服飾デザインの原点のような気がする。
また、世の中でいわれる女性らしさやセクシーなどへのアンチテーゼを表現した学生が少なくなかったのも印象に残った。

出席者による投票(「よかった作品、気に入った作品」を1人3票選ぶ)の結果、最も投票を得たのが、小林愛さんのベビードール・ショートパンツ・ショーツ。
キャッチフレーズは、20歳になる女性へのお祝いを込めた“二十歳からの、カワイイ。”自分自身がランジェリーを贈られた体験をもとに、本当に自分が着たいもの、プレゼントしたいものを作ったという経緯を披露。
派手さはないが、魅力あるバルーンシルエットにバランスのとれた仕上がり、そしてプロ並みの映像も高得点の理由に違いない。

朝重陽子さんの、「Fleuage」“纏う美しさを楽しむ”。
花がこぼれおちるような美しいプリントのスリップと、その上に重ねる透け感のあるペニュワールの組み合わせは、服の下から部屋着までいろいろな着こなしが。

渡邊るいさんの、「Roman」“Sky Is The Limit”。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をビジュアル化したというペティコート。自分自身の土台としてのペティコートに、らせん状の裾や4つの象徴的なモチーフなどの要素に物語への思いを込めている。

池田綾夏さんの、「湯上り美人」“ココロ、カラダ、ヒタル」”。
友達と行く夏休みの温泉旅行をイメージし、お風呂上りにくつろくワンピース、あるいは浴衣の下に重ねるインナーとして提案。このアイデアはすぐ商品化できそう。

ストレッチ素材のボディテディを提案した三星音絵さんの、「violetta」“憧れへの近道”。シンプルで大人っぽい。取り外しのできるスカートやグラデーション使いの紫など、きめ細かい物づくり。

ハレの舞台であるレッドカーペットをイメージした安ダユンさんのランジェリードレス。「女性=宇宙」”stellar museになれる時間。”内側にプリントを組みあわせ、ラインストーンを散りばめた、幾重にも重なったドレスの長い裾が美しかった。

バレエを続けている津田智子さんの提案するテディは、「ジゼル」をテーマにした”my precious time”。バレリーナの部屋着のような優しい色とシルエットは部屋着にぴったり。

ブライダルをテーマに選んだ衣笠理子さんの「Bloom」“幸せの花、咲いた”。
取り外しのできるスカートのベールにはお花がいっぱい。結婚した女性とその夫に向けて、お揃いのガウンも。

今回の学生の中ではただ一人、ランジェリーに対して親しんでいたという武内萌さんの“あなたへのワンシーンへの香りづけ”。スリップ、ガウン、ボレロ、アクセサリーなど小物までをラベンダー色でまとめている。

ワコールのデザイナー経験者の中でも中心となって同プロジェクトを進めている松村昭子さん(前中央)を囲んで、学生と講師の集合写真。松村さんの上が山村教授。

続きを読む...
 2015/07/25 12:04  この記事のURL  / 
「ジャン・ポール・ゴルチェ」展【上】
年2回の定期的なパリ取材。近年は諸事情で周辺都市に足をのばすことが難しくなっている分、パリあるいはパリ周辺で、フランスならではの文化的芸術的刺激を受けたいと努力している。
今の時代というものを肌で感じるために必須であるし、私にとってはある種の栄養補給。ランジェリーの情報を伝えるためにも欠かせないものなのだ。
その魂をゆさぶる体験というのは、日本にいてはなかなか得られないものである。

前回の1月は、それがフランク・ゲーリーによるルイヴィトン財団美術館だったが、今回はグランパレで開催されている「ジャン・ポール・ゴルチェ」展(8月3日まで)であった。まさにそれを観て体験するだけでも、パリに来る価値があるというもの…。
共にタイミングを間違うと混雑による疲弊感しか残らないかもしれないが、パリ滞在スケジュールの中で最優先させているせいか、いつも余裕をもって味わうことができているのは幸運というしかない。

ゴルチェといえば、この30年近く、パリ通いを続けている自分にとって特別の思いがある。日本のアパレル企業、カシヤマグループの支援を受けてデザイナーとしての躍進を遂げた時期に重なる(まさにファッションの爛熟期)。高価な服は買えないまでも、私も香水や比較的手頃なマリンストライプ他のカットソー、また独特のプリントのアイテムも愛用した。

今回の展覧会会場を入って最初に陳列されていたのが、ふるぼけたテディベア。よく見ると、胸には新聞紙で作って付けたようなおっぱい(片方はバラの花をかたどってある)が。子供のころから余程おっぱいが好きだったのだなあと感慨深い。
つまりこのテディベアこそが彼のデザインの原点なのである。

ランジェリーのデザイナーには必見の展覧会。街で買い物するよりも何倍もの価値がある。
少し間があくかもしれないが、次の2回目には、多くの写真を使って、今回の展覧会のダイジェストをお見せします。

 2015/07/18 11:25  この記事のURL  / 
原糸メーカーの新たな挑戦
パリのランジェリー素材展に古くから出展している日本の原糸メーカー、旭化成(旭化成せんい梶jが、今回のモード・シティにおけるアンテルフィリエールで新しい試みを発表した。

ロイカとキュプラをベースに、エコロジーでサスティナブルな素材を世界に発信してきた同社。ことにスパンデックスのロイカ「ECO-SMART」は世界認証GRSを取得し、インナーウエア(ファンデーション)とアクティブウエア(スポーツアパレル)領域へのアプローチを強化している。
まさに今回のモード・シティ全体の方向性にぴったり合った動きだ。

特に注目されるのは、これまでは糸を中心に据えた戦略だったが、今回は一般消費者に近いアパレル小売業の視点に立った“プレミアムストレッチヤーン”というコンセプトを打ち出している点。そのプロモーションを日本国内より先に、ヨーロッパから世界に発信しようというものだ。
ロイカ「COLOR-PERFECT」により、色の美しさとストレッチ機能の融合にも対応している。

さらに、旭化成90年の蓄積の上に立った3原則(Agreeable/Active/Adaptive)のシンボルとして、新ブランド「A-Cubic」を発表。滋賀県にある同社最新の研究施設を拠点に、アパレル小売業など取引先との共同開発に力を入れている。


最近の成功例といえるのは、グローバルなリーディング小売業であるイギリス「マークス&スペンサー」とのコラボレーション。バストの揺れを防ぐスポーツブラ「防振ブラ」を2年かけて開発し、半年前から店頭での販売がスタートした。同研究所のコンピューターシュミレーションによると、バストの揺れを40%抑えられるという商品で、反応も上々だという。

今後もこういう取り組みによって、日本ならではの技術力を世界に発信していきたいとしている。


マークス&スペンサーの「防振ブラ」(Extra High Impact Bra)

 2015/07/15 10:14  この記事のURL  / 
素材展の人形から連想したこと
「モード・シティ」取材を終え、膨大な写真と資料と格闘しながら、ディレクションの組み立て中。どういう現象がおこっているのか、その背景にあるものは何か。
詳細な商品トレンド情報は、8月・9月に開くセミナーに集約させていくが、このINNER通信ではちょっと違う切り口で紹介していきたいと思う。

私にとってパリは、目先の表面的な現象だけではなく、より本質的なことを考えさせる機会を与えてくれる。日本のことも俯瞰して冷静に見つめることができる。
今回はギリシャ危機とEU経済の問題が吹き荒れる中で、(ちょっと大げさだが)“ヨーロッパとは何か”というものを感じざるを得なかった。

来場者でいつも賑わうアンテルフィリエール(素材展)のトレンドフォーラム。
その中心に、今回はブルターニュ在住の人形作家による人形が並べられたコーナーがあった。出展素材メーカーによる素材で服などが作られているが、一つ一つ異なる人形にいろいろなメッセージが託されている。

その人形を見て、私がふと思い出したのは、今春106歳で亡くなったポルトガルの映画監督の『永遠の語らい』(2004年)という映画。
舞台は、地中海をめぐる大型豪華客船。そこに乗っている多様な国の人たち(カトリーヌ・ドヌーブやジョン・マルコヴィッチなどが出演)が、同じテーブルでそれぞれの母国語で会話をしているというのが、実にヨーロッパを象徴していた。つまりヨーロッパは大陸続きだから、違う言語を話すことはできない場合も聞いて理解することはだいたいできる。
何と理想的なことかと、強い印象を残した(皆の中心にいる船長役はアメリカ人のジョン・マルコヴィッチ)。

ところが、その豪華客船はテロリストによって爆破されてしまう。船長の的確な誘導によって、ほとんどがその前に脱出避難できるのだが、ある母親と小さな娘だけがその炎に飲み込まれる。なぜかというと、その女の子がどうしても船の中に引き返して忘れ物を取りに行くと言い張ったからだ。それは、どこか中近東の街に寄った時に市場で買い求めた人形だったのだ。(詳細はうろ覚えだが、だいたいの筋はこんなところ)

もちろん、これは私個人の連想の範囲であって、主催者にそういう意図があるわけではない。

 2015/07/11 10:56  この記事のURL  / 
モードシティスタートしました
近年にない暑さが続くパリ。ランジェリーとスイムウェアの国際展示会がスタートした。
水着のコレクションを発表するにふさわしい陽気ではあるが、会場内の暑さはものすごい。ほとんどエアコンは機能してない。プレスルームで配られた扇子(写真手前)がありがたい。
アクティブウエア、スポーツウエアに注力されている素材展を反映して、販促物やインテリアもカラフル。
熱中症にならないように、3日間乗り切ろう。
 2015/07/05 04:26  この記事のURL  / 
プロフィール
武田尚子(たけだなおこ)
ジャーナリスト・コーディネイター

ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。
ファッション・ライフスタイルのトータルな視野の中で、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。
また、セミナー講師やコンサルタント業務も行っている。
武田尚子プロフィール
リンク集
2015年07月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ

http://apalog.com/inner/index1_0.rdf
アパレルウェブ
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパログ携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード