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服飾の文化というものを想う
8月から東京を皮切りに一般公開される映画『フリーダ・カーロの遺品』の試写会に行った。
古くからフリーダ・カーロ(1954年に47歳で死去)に特別な思いを持ってきた私としては、これは見逃せない映画であった。メキシコにいつか行きたいと言い続けている思いのきっかけはこの人にある。

彼女の夫であったリベラの再婚相手が長生きしていたために、長年封印されていたフリーダの遺品が公開されていたのは2004年のこと。
「Mother’s」で世界的にも知られるようになった写真家・石内都に撮影の依頼があり、今回のドキュメンタリー映画(3週間にわたるメキシコでの撮影)につながったという。
(ちなみに、かつて私がその近くに住んでいた東京都写真美術館で開催された「Mother’s」は非常に印象的だった)。

興味深かったのは、メキシコの伝統的な衣服も日本の着物と同様、現代の衣服とは違ってほとんど洗濯をしていないということ。
まるで着物の半襟や襦袢のように、ドレスの裾の白いレースは取り外して洗えるようになっている。

話は横にそれるが、現代人は行き過ぎた清潔志向から、洗濯のしすぎであると私は思う。バスタオルやシーツを毎日取り換えるなんてもってのほか。
下着であっても、個人的なことをいうとショーツは夜寝る時と外出前とで日に二度取り換えるが、ブラなどは5、6回位着用することもある(ブラは必ず手洗いするから、もちもいい)。
昔は、ボディスーツやガードルといったコルセット(ファンデーション)類は(着用頻度にもよるが)数か月も洗わないのが一般的な習慣だったように記憶している。
言い方を変えると、衣服というのはイージーケアの方向で進化してきたのだが、1点1点の衣服としての価値(どれだけの時間をかけて作られているか)はやはり下がっていることは否定できないだろう。

メキシコも日本も伝統的な衣服というのは、親から子へと受け継がれて身に着けられているものであり、それと同時に、作り手も何代にもわたって受け継がれ作り続けられているということを改めて痛感させられた。

貧しさや苦しさに満ち溢れた生活の中で、いかに女性たちが織物や編み物、(刺しゅうなどの)縫い物といった根気のいる仕事に助けられてきたことか。
まさに服飾というものの文化はここにある。



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 2015/05/31 11:21  この記事のURL  / 
日本の水着市場が変わる!?
もう先々週のことになってしまったが、青山のスパイラルで「楽園のステージ」という水着の歴史を振り返る展覧会が開かれた。
日本の水着の代名詞ともいえるほど、その歴史を刻んできた「三愛水着」の60年史と、ワコールグループ傘下としての新たなステージを披露したもの。

初日前夜に行われた新会社Ai(アイ)による事業方針説明会では、ファッション水着の市場規模(縮小が進んで今では約220億円)と市場特性を踏まえた競争環境および事業計画を発表。@百貨店などへの出店をはじめとするシェア拡大、Aヤング中心からキャリア・ミセス市場への拡大、B下着と水着併設の売り場拡大と、これまで培ってきた実績と強みの上に、ワコールグループとの相乗効果で安定した成長を狙う戦略が明確に伝えられた。

日本では水着というと若い女性ばかりが中心で、大人の女性が(フィットネス以外では)水着と疎遠になってしまう、ランジェリーとの併設売り場が少ない、そもそも水着および関連商品の出番となるリゾートのライフスタイルが浸透していない…等々。
ランジェリーと並行して、30年近く国内外の水着の動向を眺めながら、日本の水着マーケットの特異性を悶々と感じてきた者としては、今回のアクションは非常に歓迎すべきことに映った。
市場の地殻変動に一石を投じる契機となることを期待する。

会場には、蜷川実花とのコラボ商品も

モデルフォトセッションでは、2015年三愛水着イメージガール(右から2人目)をはじめ、東レキャンペーンガール、旭化成グループキャンペーンモデル、第11第JSAキャンペーンガールと、水着のキャンペーンガールの揃い踏み

 2015/05/25 09:33  この記事のURL  / 
イノベーション進めるユニクロ
5月12日、虎の門ヒルズの会場で、ユニクロの2015秋冬物が披露された。

引き続き“Life Wear”をコンセプトに、日常のシンプルな衣服のもととなるジーンズ、フランネル、セーター、フリース、ヒートテックと、素材ごとに機能性が進化している。あっと驚く新製品や新素材はないが、これまでの蓄積のもとに、テクノロジーによる改良がくわえられているという印象。
ユニクロの展示会は、それらが単品ではなく、モダンなスタイリングによって世界感を伝える貴重な機会となっている。


インナー単品ではなく、すっかりトータルブランドになった「ヒートテック」

インナーはヒートテック史上最高の気持ちよさと暖かさを実現したという。ウィメンズのみだった椿オイルをメンズにも配合。ウィメンズは使用糸の一部を直径比較で約20%細くして、生地を滑らかに

ファッション性については、各種、クリエイターとのコラボを中心に対応している。おなじみ「イネス・ド・ラ・フレサンジュ」は、ヴィンテージスキーセーター風のニット、クラシックなウールジャケットが印象的。フランスの自然にイン
スパイヤされたフォレストグリーンやヴァンショー(温めたワイン色)をアクセントに

 2015/05/19 11:05  この記事のURL  / 
中間層が大移動?!
今週は、ワコールのワコールブランド事業本部・ウエルネス事業部の展示会、ウイングブランド事業本部の2015年秋冬展示会および記者懇談会が立て続けにあった。つまりワコールの大半のブランドの新商品を一堂に見られる機会であり、国内インナーウエア市場の先端の動きが実感できるといっても過言でない。
両事業部の経営陣共「変化の時」と口にしていたが、それにしても何と複雑な時代になってきたことかと、話を聞きながら、会場を回りながら、つくづく思った。

市場の大きな変化に対応し、同社は昨年から、百貨店・専門店・チェーンストアといった従来のチャネル別マーケティングから、エリア別のマーケティング戦略に切り替え、直営SPAブランドやインポートブランドも含めたオールワコールの総合力を発揮したビジネス体制に転換しつつある。
百貨店チャネルといっても、ごく一部の突出した都心店と、多くの地方百貨店を同一に語れなくなっているからだ。実際に、以前はワコールの売り場はどこに行っても大差がなかったが、今は本当に多彩な表情を見せるようになった。

かつて「一億総中流」といわれた時代ははるか昔のこと。インナーウエア市場の大半もこの中間層が担っていたが、最近は動きが鈍化しているようだ。
一方でプレステージブランド群はしっかりと顧客をつかみ、伸ばしている。
昨今の経済状況の中で、富める者はさらに富み、貧しいものはさらに貧しく、格差が拡大していることが、この市場にも大きく影響している。
中間層はどこにいってしまったのか。ユニクロをはじめとするSPAブランドチェーンの方に流れていることは容易に想像できる。低価格の割に質もまあまあ。ことさらユニクロが好きというより、実用品としてはユニクロで十分といった感覚であろう(ここでいう「ユニクロ」とは固有名詞というより、象徴的な意味合い)。

バブル経済の時代はインポートブランド(今でいうラグジュアリーブランド)を体験し、それなりにおしゃれも楽しんだ人は少なくないが、今はそれらのインポートブランドがあまりに高くなりすぎ(円安の影響もあるがそうでなくても)手の届かないところに行ってしまった。
人々の衣食住その他の消費バランスが変化し、身に着けるものをそれほど重視しなくなったこともあるが、それ以上に未来への不安がつのる中ではファッション消費は節約せざるを得ないというのが現状だろう。

ネットショッピングもすっかり発達し浸透した今、専業メーカーとして改めて店頭の売り場を見直さざるを得ない時期に来ているのだ、と感じた。



ワコールブランド総合展示会会場の前面に据えられていたのは、プレステージブランドの「ワコールディア」

GMSの衣料品苦戦という市場環境の中で、ウイングはNB(ナショナルブランド)の強みを発揮しようと、展示会場を大きく割いて、チェーンストアのインナーウエア売り場における売り場提案を披露。お客をモールのSPAブランドの方にいかに逃がさないか

ウイングブランドに限らず、ワコールブランド(本来は中高級品市場である百貨店・専門店向けブランドだったが、チャネルミックスの動きの中ではチェーンストアの売り場の中で独立したブランドとして展開)も洗練された売り場提案を。20坪を基本にしている

 2015/05/15 22:45  この記事のURL  / 
夏は夏のブラ!
この間までダウンジャケットを着て凍えていたのに、いつのまにか日中は初夏のような陽気が続いている。GWですっかり衣替えを済ませたという人も少なくないのではないだろうか。

インナーウエアでは、肌着と並んでいつも以上に気になるのがブラジャー。
ヨーロッパブランドは肩ひものないタイプが人気だが(左の写真は「HUIT」)、高温多湿で肌の弱い人の多い日本国内では、滑り止めのシリコン付のものが難しいために違うアプローチが見られる。



今年の特徴は、表にひびきにくいモールドタイプをはじめ、軽くて着け心地のいいものが増えており、ことに通気性がアップ。


トリンプ・インターナショナル・ジャパン「フリーブラ」

トリンプ・インターナショナル・ジャパン「Tシャツブラ」


ウイング「さら肌ブラ・ライティー」

ワコール「ナツブラ」


売り場をのぞいて確かめてください。
 2015/05/08 10:44  この記事のURL  / 
プロフィール
武田尚子(たけだなおこ)
ジャーナリスト・コーディネイター

ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。
ファッション・ライフスタイルのトータルな視野の中で、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。
また、セミナー講師やコンサルタント業務も行っている。
武田尚子プロフィール
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