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選択肢増えて「スローギーZERO FEEL」
3Dプリンターの技術をはじめ、ファッション分野にもコンピューテショナルファッションといわれる新しい波が押し寄せている。人の手によって「縫う」ことによって成立していた産業が、「縫わない」方向に進んでいるのだ。

インナーウエアの分野では、接ぎのないモールドカップのブラにしろ、丸編みニットにしろ、早くから「シームレス」の動きがあった。生産効率の面にとどまらず、表にひびきにくいという下着ならではのメリットにうまく合致したからだ。

近年目立つのは切りっぱなしのヘムで、日本国内はもとより海外でも浸透しつつある。特に接着技術を利用したものは、ファンデーション機能も付加されるために多様なかたちで進化している。

トリンプ・インターナショナル・ジャパンがこの5月から展開している「スローギー ZERO FEEL」は、同ブランドで人気だったショーツ「ウルトラヒップ」(パンツ税別1600円、ストリング税別1000円)とブラ「ウルトラフィットブラ」(税別2800円)をシリーズ化したもの。
縫い目が一切なく、伸縮性に優れたなめらかな素材(接着部分もストレッチする特殊な接着技術)を使用したもので、締め付け感なく、面で体に優しくフィットするのが特長だ。肌に当たると気にする人の多い商品ラベルも、生地にプリントすることでストレスフリーを実現した。

より幅広いニーズに対応しようと、2014秋冬の展示会では、よく伸びて肌触りの優しいモダール素材のシリーズも発表。ノンワイヤーのブラキャミソール(アンダーバストに4段階調節機能が内蔵)が注目アイテムとなっている。

インナーウエア売り場に限らず、雑貨業態などにも拡販していく戦略で、専用什器も提案。素材、アイテム、色(6色展開)が自由に選べるコーナーとなる。
何よりカラフルなのが売り場訴求に効果的。

週末のリラックスした場面や、ヨガなどのソフトスポーツにもぴったりで、ファンが増えそう。


 2014/05/27 12:01  この記事のURL  / 
消費税増税で痛感したこと
消費税増税から早いもので2か月近く経とうとしている。
一消費者として実感するのは、何でも高くなったなあということ。便乗値上げとは言わないまでも、端数切り上げ値上げが非常に多い。
以前は消費税込みだったスーパーの店頭価格が消費税抜きになったので、物をカゴに入れる時は感じなくても支払いの時にびっくりしてしまう。

ただ、今回の消費税増税は、ボディファッション(インナーウエア)業界にとっては、総じて吉と出たようだ。
ワコールなどは、3月単月トータルでいうと前年対比5割以上という過去最高の伸びを見せた。
インナーウエアはやはり実用必需品。いわゆるファッション商品とは違って、値上げを前に、ある程度の備蓄をするというのは十分に想像できるが、想像以上の強さであった。
メーカーが一つのブランドとして定着しているところ(メーカー信頼度が高いところ)、ブランドといえるほどポピュラーな商材を持っているところ、特に堅実な消費行動の中高年層を柱としているものは強かったといえる。

多少、増税後の落ち込みはあったものの、あくまで想定の範囲内であり、5月後半にもなると、通常の動きにほぼ戻っているという状況だ。
本当に必要なもの、欲しいものは、消費税がいくら上がっても関係ないというわけで、モード性にあふれた高付加価値ブランドなどは増税直後の動きも悪くない。
業界としては今回の動きをバネに、新しい挑戦をしていく必要があるだろう。

それにしても気になるのは、日本で貧富の格差がますます拡大していること。
産業としては質の高い高付加価値な商品をいかに開発するかが重要だが、一方ではバランスのとれた値ごろ品市場(そんなきれいごとではなく、ずばり低価格商品かも)のニーズも高まっている。
国の財政にとっては増税策が必至なのはよくわかるが、収入が減る一方の貧乏なシニア予備軍からすれば、今後の生活への不安はつのるばかりだ。


写真は、2014秋冬ワコール・ウイングの展示会風景

 2014/05/26 11:01  この記事のURL  / 
来冬の肌着トレンド
これから夏を迎えようという時に、次の秋冬シーズンの話題で恐縮だが、各社の新製品発表が終わったところで、忘れないうちに書き留めておきたいと思う。
業界でいうところのニットインナー、つまり肌着。今やブラジャーとの二本柱ともいえるほど、大きな市場になっている。
秋冬シーズンになくてはならない防寒ニットインナーの傾向をまとめてみたい。


ニットインナーというのは、素材開発と直結した分野で、日本の素材メーカーの強みである機能性素材の開発と連動したかたちで進化してきた。
とくに秋冬物に関しては、いかに薄く軽く、暖かいものをという方向性が長年定着していたが、それとは異なる方向があらわれたのは一昨年。昨年からはその傾向がはっきり表面化していた。
薄手から厚手へ――実際の着心地はもちろんのこと、見た目にもいかにも暖かそうと感じさせることが不可欠になってきたのだ。

そのきっかけは、メンズの肌着からきたトレンドのように記憶している。写真は2014秋冬のグンゼ「ホットマジック」メンズインナー。

各社展示会では、「bPの暖かさ」といったPOPが見受けられたように、そのブランドの中でどれが一番暖かいかという商品ガイドに力が入れられていた。
キルト編みなどふっくらふくらみのある素材は、新しいトレンドといえる(写真はウイング「着るとほっと」)。

〈薄手から厚手へ〉と並び、同時にあげられるもう一つの傾向は〈化合繊から天然素材へ〉という動き。
ユニクロ「ヒートテック」で大ブームとなったアクリル系の素材はいうまでもなく、化合繊が主流だったこの分野において、再び天然素材が見直されている。
2014秋冬シーズンの各社新製品では、綿素材100%および綿混、綿素材でありながら従来の化合繊のような機能性をもたせているものが増えている。
日本人は肌の弱い人が多いだけに、特に肌に当たる面については綿というものも多い。

敏感肌や肌触りにこだわる人を中心にファンを広げている島崎「フリープ」は、シンプルシリーズ、ファッションシリーズ(レースが肌に当たらないようにリニューアル)に加え、ドットシリーズを新発売。アクリルと綿の2枚を合わせたふんわりあったか素材で、肌側は綿100%(スマイルコットン)となっている。

美光「癒しの工房」では、肌に当たる内側がシルクで編まれた「サーモギア」シリーズが注目された(アクリル、絹、キュプラ、ナイロン、ポリウレタン混紡)。婦人服でもダブルフェイスやリバーシブルが一つの素材トレンドとなっているが、インナーウエアの場合はこのように機能性と密着した関係が見られる。

もちろん、薄く軽いもの、機能性を重視した化合繊へのニーズも根強いので、多様なニーズに対応し、ワコールでは単品ではなく「ワコールあったかコンシェルジュ」という商品群として店頭で打ち出す戦略。

トリンプ・インターナショナル・ジャパンでも、冬のさまざまな悩みや要望に対応する商品展開だが、目玉として打ち出しているのは生姜加工を施した「『冷え知らず』さんの生姜インナー マジ軽ホット」。従来からの遠赤外線放射機能のバリエーションとなっている。

海外はどうかというと、日本のように毎年新素材が発表されるということはなく、素材はもともと天然素材(綿、シルク、ウール、カシミヤなど)が中心で、しかもほとんどが定番。
アウター化で新鮮さを出すのが最近の傾向で、2014秋冬シーズンはレースを豪華に使ったものが目についた。

2014「パリ国際ランジェリー展」ショーより

インポーター・アルテックスの展示会より

 2014/05/21 11:26  この記事のURL  / 
2014秋はプリント満載
大手インナーアパレルの2014秋冬展示会が先週、終わった。
変化の時ということか、いろいろな新しい動きがあったので、INNER通信でも少しずつお伝えしたいが、まず分かりやすいところで目についたのは、非常にプリントが増えたということ。春夏シーズンによくあるようなアクセントアイテムといった位置づけではなく、主力ブランドでプリントを前面に打ち出している。

ワコールから7月に発売される主力商品「約束のブラ」は、着やせと寄せあげ、両方の機能を併せ持つ商品。カップ正面はエンブレースをあしらいながら、下辺や脇など身生地のメインに使われるのは、多くの人に好まれそうなかわいらしいプリント。レースとの相性もよく、自然に調和している。

篠原涼子起用で話題のトリンプ・インターナショナル・ジャパンの主力商品「恋するブラ」は、ややボカシの入ったようなプリント。従来にない色調が新鮮で、ダークからスモーキー、パステルまで異なる3色で、幅広い世代に対応している。

何と言っても圧巻は、ワコールの回復基調めざましい20代百貨店向けブランド「パルファージュ」。写真家・蜷川実花のデジタルフォトブック「ニナデジ」とのコラボレーションで、極彩色のプリント柄を発表。特にスリップは迫力がある。

同じ市場ポジショニングにあるトリンプ・インターナショナル・ジャパンの「ポアモア」も、店頭で映えそうなプリントグループが注目された。色によって、表情が異なるのがいい。

GMSなどチェーンストア向けウイングのプレステージブランド「レシアージュ」も、メイングループがプリント。

同じプリントでも、高度なデザインテクニックを見せているのが、ワコール「ラゼ」。「大人美人に仕立てるブラ」は、よく見るとチュールに重ねて使った内側の素材に、アニマル柄を使用。大人っぽいシックな逸品となっている。

機能性を重視する商品群だけに、メーカー側はことさらプリントはアピールしていないが、店頭で消費者の目に触れる時は、新鮮な印象を呼ぶに違いない。
 2014/05/18 23:11  この記事のURL  / 
ワコール総合展での感慨
昨日から明日16日まで、渋谷ヒカリエホールでワコールの2014年秋冬総合展示会が開催されている。
インナーウエアからファミリーウエア、ウエルネスまで、同社のほぼ全容が一堂に展望できる機会となっていて、百貨店バイヤーをはじめ関係者が多く訪れる。
私も記者懇談会の後、説明を聞きながら会場内を回った。

近年はこのように各部門が総合的に会するスタイルになったのだが、同社の歴史から物づくりまで、そのエッセンスが集約されていて、とても1、2時間では見て回れない内容の深さである。
特に今回は単なる部門やブランドの羅列ではなく、同社の販売チャネル横断を目指す新しい体制(縦軸から横軸へ)への意欲を感じさせる会場構成となっていて、とても見やすいものとなっていた。企業として追い風に乗ったバランスの良さを感じさせる。

それに、かれこれ30年以上にわたる記者歴のおかげで、部門部門でいろいろな方が声をかけてくださる。もちろん、企業文化や伝統は最終的に商品にあらわれるものだが、人ありきだなとつくづく思う。
人と人が会って話す、そういうコミュニケーションこそが展示会の意義だろう。

ふと気がつくと、周りはすっかり世代交代してしまって、感慨深いものがあるが、私はもう少し、見続けていたいと思っている。

 2014/05/15 09:35  この記事のURL  / 
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プロフィール
武田尚子(たけだなおこ)
ジャーナリスト・コーディネイター

ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。
ファッション・ライフスタイルのトータルな視野の中で、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。
また、セミナー講師やコンサルタント業務も行っている。
武田尚子プロフィール
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