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「発展的解消」をとげたNB
新ブランドに関しては提供側も力が入っているために大きくとりあげられるが、無くなったブランドについてはほとんどニュースにならない。だが、後者も前者同様に時代を反映している。

インナーウエアは婦人服に比べると、ブランドの淘汰はそれほど激しくないし、近年は割合長期的に継続するようになっている。
だが、2014春夏シーズンの国内メーカーの展示会の中では、いくつかのブランドの消滅、いや「発展的解消」が印象的だった。

まず、グンゼの「アンテリージェ」。ブランドの経緯としては「J.L.シェレル」を前身とした、自社による百貨店チャネル向け高級ブランドで、ランジェリーマニア好みの装飾性が特徴だった。最近はファッションブランドとのコラボなどにも意欲的だったが、採算性においては厳しいものがあったのだろう。
同ブランドのデザイナーは、次シーズンから神田うの無き後の「トウシェ」を担当。今までの2〜3割ほどの価格で、これまでの「アンテリージェ」のトレンド性が味わえるだけでなく、今までの濃厚なレース使いを敬遠していたシンプル派にも好感がもたれそう。
同社のレディスインナー部門はこれによって、対象を量販チェーンストア市場にぐっと絞り込んだかたちになった。

そして、ワコールの「MC」。こちらは日本のインナーウエアにシンプルモダンな新しい流れをもたらした「モアクレエ」を前身とするもので、近年はシンプルな「リボンブラ」がヒットしていた。また、サイズMDについては、今や希少になったAカップもきちんと構成していた。
同ブランドのデザイナーは、同社が新しくスタートさせる「インカラット」を担当し、また社命をかけるかたちで新しい挑戦を担っている。
「リボンブラ」MCバージョンの部分は、「パルファージュ」の中で生き続ける模様だ(写真は同社プロパーの「リボンブラ」)。


このようにブランドは役割を終えて消えていっても、それによって蒔かれた種は着実に育っていく。
 2013/12/20 18:03  この記事のURL  / 
個が発信するコミュニティ型オーダー
「作家性」を突き詰めるとここまでくるという例を。
以前も少し紹介した、12月上旬にそごう横浜でオーダー会を開催した菊池佳代子さんのシルクランジェリー。

『東京オーダーメイドカタログ』(ギャップジャパン発行)でも紹介されているオーダー専門のランジェリーで、同店でオーダー会を開催するのは今回で既に3回目であった。
回を重ねるごとに着実に顧客がついており、接客の合間を縫って少しだけ菊池さんに話を聞くことができた。

福島出身の菊池さんは、東京の青山学院大学で知り合ったご主人の郷里である高知で暮らしていたが、ご主人が31歳の時に心筋梗塞を発病し、43歳で亡くなった。
「私にとってのランジェリーは、昔からの夢だったとかそういうことでは全然なくて、喪失感を乗り越えるためのものだった」と、菊池さんは話している。

ヨーロッパからの素材の仕入れから縫製も含めてすべてが菊池さん一人の手によって、高知のアトリエで生み出される。お客様のことを思って一針一針縫うという行為そのものが、菊池さん自身の生を支えているようだ。シルクという素材の力も大きいだろう。

もともと高知には個人の起業を助ける気風と環境があり、菊池さんのパリ留学(50代の挑戦)の際には地元新聞に彼女の連載コラムが掲載され、また地元では既に口コミによる根強い顧客の輪があるという。
通常の商品流通である巨大中央発信型の広がりとは異なる、コミュニティ型の個のつながりに大手百貨店がひかれたというのが大変興味深い。

今年4月に、地下から4階にフロアが変わって大きくしたリニューアルしたそごう横浜。
窓下には港が見えるL字型の売り場ロケーションを生かし、ホテルのようにコンシェルジュカウンターをはじめ、国内外のブランドが通路に沿って配置されているが、そのメインディスプレイに菊池さんのランジェリーが飾られていた。

十分すぎるほどのモノ、しかも優れたモノたちに囲まれた私たち。最後にいきつくのは人と人とのつながりである。
商品としての完成度とか、品質とか、そういう尺度ではかってはいけないものが確実に存在している。


 2013/12/18 10:24  この記事のURL  / 
求めるのは作家性・アート性
映画にしても、テレビのドキュメンタリー番組にしてもそうなのだが、私はファッションやランジェリーについても、作家性、あるいはアート性のあるものに強く惹かれる。
もちろん大衆的なものやメジャーなものにも優れたものは少なくないが、それらの商品の価値とはまた別の次元の価値がそこにあるのだ。

ランジェリーでも以前はよく「高感度」ブランドという言い方がよくされた。
最近はあるテイストを指す場合が多く、シンプルでモダン、リバーレースなど編みのレースを使ったインポート感覚(日本市場はかわいい刺しゅうレースが人気なので、その対比の意味で)など、いずれにしても都会的な洗練された人々を対象に、素材の選び方やディテールのこだわりを特徴としている。
マーケティング的にいうとそういうことになるのだが、そういう表層的なことではなく、その底に流れているのは「作家性」であり、「アート性」であると言いたい。ある意味では、作り手の人生がかかったものなのだ。

まず、その代表と言えるのは、「ランジェリーク」(カドリールインターナショナル)。

トリンプ・インターナショナル・ジャパンの「エッセンス・バイ・トリンプ」もそこを目指している。


そして、この市場の頂点に立つのは、やはり「ワコール・ディア」(ワコール)。


決して市場の大きな割合を占めるようになるものではないが、これらの存在がその国の市場の成熟度をあらわしていると思うのだ。

 2013/12/16 14:12  この記事のURL  / 
モードをとりもどそう
“ランジェリーにモードを取り戻そう“というメッセージを強く受け取ったのが、ワコール麹町ビル9階で開かれた「WACOAL LOVE MODE GALLERY」。

ワコール広報・宣伝部主催によるこのイベントは、マネキンを初めとする商業デザインの七彩との共同で、半年前から計画を進めていたという。
展示に使われていたランジェリーは、同社のプレステージラインである「トレフル」と「スタディオファイブ」が中心。

会場は大きく4つのテーマの展示があったが、何といってもランジェリーの奥深さである「光と影」が、さまざまな素材を通して空間に表現されていたのが印象的。

さらに、それぞれのテーマに合ったオリジナルスイーツが体験できる仕組みで、まさに視覚と味覚でランジェリーの魅力に酔わせてくれるイベントであった。
(勧められるままに全種類のスイーツをいただいてしまった私は、ちょっと反省)。




 2013/12/06 13:13  この記事のURL  / 
シルクランジェリーのオーダー会
今週末、12月6・7・8の3日間、そごう横浜店で、ランジェリーデザイナー・菊池佳代子の「シルクランジェリーオーダー会」が開催される。

菊池さんはパリのESMODを卒業後、パリでよく知られたランジェリーデザイナー、ヴァニーナ・ヴェスプリーニのもとで修行を積んだ。
帰国後、2008年に高知に「プチ・シャ」をオープン。自ら買い付けたこだわりの素材を用い、オールハンドメイドで製作を行っている。

とはいえ、フリーランスで活動している一般には無名のデザイナーのオーダー会を、百貨店が開くというのは、非常に異例なこと。
今回のイベントが実現するのは、そごう・西武のランジェリーのチーフバイヤーである川口美代子さんの熱意によるものだ。

「菊池さんのことは、2009年の繊研新聞の記事で知りました。その後、お願いして上京の機会にお会いしたのですが、51歳でフランスに留学したこと、シルクにこだわった物づくりに大変興味を持ちました。シルクで新しい独自の価値観を提案したいと、横浜店リニューアルのイベントとして受注会を開くことをお願いしました。自分だけのランジェリーは豊かな気持ちになります。私も個人的に作っていただいたのですが、生地選びやレース選びは楽しいですし、自分の手元に届くまでの待つ気分も楽しい。シルクの美しさ、軽さ、やさしさを知ってほしいし、菊池さんの豊かな感性、ひたむきなモノづくりへのこだわりは、お客様にもきっと伝わると思います」

完全予約制。予約・問い合わせは、そごう横浜店4階・インナーウエア売り場(電話045(465)5291直通)へ。
インナーウエア売り場内〈海の見えるフィッティングルーム〉で採寸しながらオーダー会を行う。

写真は、西宮のStrasseでのイベント風景。

 2013/12/02 23:06  この記事のURL  / 
プロフィール
武田尚子(たけだなおこ)
ジャーナリスト・コーディネイター

ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。
ファッション・ライフスタイルのトータルな視野の中で、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。
また、セミナー講師やコンサルタント業務も行っている。
武田尚子プロフィール
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