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切なる願い“WELL-BEING”
商品動向であれ、人々の心理を反映した時代性であれ、トレンドという観点で取材を続けている身にとって、気になるのはキーワードである。
今回の「モードシティ」では、興味深いことに、日本語でいうところの「しあわせ」「幸福感」がクローズアップされていた。
トレンドユニオン監修による製品のトレンドフォーラムは、その名も「WELL-BEING FORUM」。
“WELL-BEING”(フランス語では“BIEN-ETRE”)という言い方は、数年前、日本でも「快適性」が盛んに言われていた頃、よく目にした記憶があるが、再び頻繁に登場している。
〔健康で安心なこと、満足できる生活状態、福祉、幸福}といった意味で、経済危機を経て将来に対する不安がつのっているヨーロッパではよりリアリティがある言葉であろう。
もちろんそれは日本も同じで、医療や年金、老人介護問題、子育ての問題と、社会問題が山積していることは言うまでもない(特に私のようなフリーランスで独身、貯金なしという社会的マイノリティは、その言葉から最も遠い)。
また、素材展「アンテルフィリエール」のトレンドフォーラムの方は、「Happy is Chic」というテーマがつけられていた。
ランジェリー(内側)から幸せになろう、ハッピーになるためにはランジェリーを大切にしよう、というわけだ。
いずれにしても、今の時代、年代や職業、国の違いに関係なく、人々がいかに「幸福感」を求めているか。たとえ、それが一瞬であろうと…。
つまり、あらゆる産業活動も福祉も、人々のその切なる要求にいかに応えるかが大きなテーマであることは間違いない。
2013/07/25 16:23
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ただひたすら、継続は力
今年1月の「パリ国際ランジェリー展」は50周年を銘打っていたが、今回の「モードシティ」は30周年だったらしい。
「パリ国際ランジェリー展」に2、3年遅れて通い始めた同展も、はや四半世紀となるので、我ながらよく続いているなと思う。30回のうちの25回以上来ているようなプレス関係者は、世界でもそういないと思う。
ことに私のように写真も撮るというような、カメラマン兼任のジャーナリストなどはほとんどいないのではないだろうか(今回も1000枚をはるかに上回る写真を撮り、整理に追われた)。
正直言って、体力、気力ともにかなりきつくなっている(20年前もきつかったが)。
しかも、初日の開始時間から最終日の終了時間までびっしり会場に張り込んで歩きまわっているようなプレスは、はっきりいってほとんどいないと思う。
不思議なことに、会場をまわっていても、世界のプレス関係者にはあまり会うことがない。
もう少し要領よく取材したいのだが、思い通りにならないのが外国、ことにフランスという国。近年はセミナーで直接情報を伝える場を与えられているので、手を抜くわけにはいかないのだ。
主催者から配られる資料だけでもある程度の輪郭はつかめるが、コミュニケーションをとりながら人と話をしなくては、生の情報というものは得られない。
大規模な見本市取材がきついのは若い時も同じだったが、極東からはるばるやってきたプレスを大事にしてくれた時代ははるか昔のこと、ゆっくりくつろぐ場どころか、資料でどんどん重くなる荷物を気軽に預けておくところもない。
それ以上に困ったのは、製品も素材展も撮影がしにくくなっていることで、ファッションショーの撮影などは最後方においやられ、今回などは舞台との距離が数十メートル。しかもほとんど段差のない水平なので、脚立や大きな望遠レンズがなくてはいい写真がとれないようになっていたのは実にショックであった。
まあ、愚痴をいっても始まらない。
これほど続けられているのは多くの支えがあってのことだから、今後も何とか取材の環境を整えて行けるように努力したいと思っている。
そんな苦行の中でも、うれしいのは、昔からの顔なじみの元気な姿に会うことだ。
今回、久々にランジェリー展に復帰した「ヴァニナ・ヴェスプリーニ」は、何とブランドデビューに立ち合っている。1996年9月の「リヨン・モードシティ」がデビューだった。
当時はお母さんとの二人三脚だったが、今は自分の会社の若いスタッフたちに囲まれている。久しぶりにお会いしたお母さんもお元気そうだった。
やはり、90年代からの顔なじみが「サブリナ・ナダル」、たぶん少し遅れて「エリス・オークチュリエ」。
デザイナーは皆もう40代半ばだろう。皆、以前とあまり変わることなく、独立系ブランドが集まるセクターの重鎮として、存在感を見せている。
そういうクリエイターの仕事ぶりに励まされながら、私も可能な限り、淡々とひたすらに継続していこうと思うのだった。
2013/07/23 21:09
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夏服がまぶしいパリ
真夏の日差しの中で開催された今回の「モードシティ」。
直前まで肌寒い日が続いていた中で、急に夏がやってきたような絶好の陽気の環境を得て、来年、2014春夏シーズンの新作が発表された。
その内容はおいおいお伝えしたいと思っているが、それ以前に、同じ夏でも日本とフランスとではこうも違うものかと、改めて感じることが少なくなかった。
まず太陽を求める要求が大きく違うこと。
日本は冬でもポカポカした晴れの日が多いが、ヨーロッパは暗くて長い冬の後だけに、暖かくなると待ってましたとばかりに外に繰り出す。
連日暑いといいながら、通りの温度計は29℃。それでも地中海に近いだけに日射しがじりじりと焼きつくようで、明らかに体感温度は高い。
直射日光に当たることを好まない民族にとっては、どんなに暑くても外、しかもパラソルもないところで食事をするという感覚が理解できない。
紫外線の心配はもちろん、太陽に当たっていると気分が悪くなるという私のような人は決して少数派ではなく、そんな国で水着が売れないのは仕方ないなと思うのである。
また、夏の装いがずいぶん違うものだと思った。冬以上に、夏は違いが出る。
これは体意識の違いからくるものだが、胸が半分以上はだけていてもおかまいなしだし(ボリュームの違いもあるが)、脚は相変わらずほとんどが素足。そして肩や背中が大きく開いた服が多い。
全体的に体にうすい布がはらりと乗っているだけという印象で、それは無防備さを感じるほど。
つくづく日本は身だしなみの国だし、重ね着を好む国だと思う。
それは、私のような冷え症で冷房が苦手という人が多いのも原因のような気がする。
ちなみに、パリといってもいろいろな国や民族の人々がいることは言うまでもないが、日本人の皮膚感覚はやはり特殊かも(東南アジアの外と室内の気温差はもっと苦手)。
今回は特に、女性のサマードレス姿が非常に魅力に映った。それはファッショントレンドのせいもあるが、膝の見える短めの丈のワンピースとサンダルをさわやかに着こなしている。
ワンピースは着ている本人も涼しくて便利だし、見た目にも涼しげだ。コットンレースはその代表かもしれない(あれは見た目ほどに涼しくないが)。
日本も昔は夏になるとワンピースをよく着たものだが、そういえば最近はそれほどでもなくなったのではないだろうか。
私もすっかり影響されて、新しくスカートやワンピースを買いたくなってしまった。
以下、数枚の写真は、「モードシティ」展の室外のイベントの様子(武田撮影)と、室内で撮影されたもの(主催者から提供されたもの)。そのままずばりの写真はなかなかないが、雰囲気は伝わるはず。
パリの街中ではなかなかカメラを向けるわけにはいかないので、ご勘弁を。
2013/07/16 21:49
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パリで2つの展覧会
いつもランジェリー展取材に入る前日は、パリの街を回ることにしている。市場調査というわけだ。
今日は天気予報に反して、日中29度を示していたパリ。待ってましたとばかりに、皆、外に繰り出して、街全体が活気に満ちていた。
そんななかで私は、実に興味深い2つの展覧会を見ることができた。
まず、パリ市庁舎(HOTEL DE VILLE)で開催されている「パリ・オートクチュール展」(某一般新聞には「パリ市立美術館」と出ていたが、前もってサイトで確認して、間違いに気づいてよかった。限られた出張の中で時間を無駄にしたくない)。これは今回の楽しみの一つだった。
ちょうどオートクチュールコレクションの終了直後だったこと、明日、6日が最終日だったことで、入場制限が出るほどの賑わいだった。
気の遠くなるほどの手間と時間をかけた装飾の美しさ、職人による手仕事のすばらしさは、私が言うまでもない。
今回、痛感したのは、ファッションの最高峰ともいえるオートクチュールの底にあるのは、その作品がどういう女性を表現したいのかということ。言い換えると、女性の体をどう見せるか。それが時代によって変化する様子が非常に興味深く映った。
作品の展示の仕方も実に効果的だったが、会場の最初のエリアに展示されている当時の写真や映像、製作過程のノートなどはこれまであまり公開されていないと思われる。こういう宝を大切にしているフランスという国にはただただ敬服する。
もう一つは、ルーブルの装飾美術館で11月まで開催されている「LA MECANIQUE DES DESSOUS(下着の機械学)」展。こちらの方は、パリに来てから情報誌の片隅に見つけたもの。ほとんど宣伝されていないだけあって、入場者はまばらであった。
が、ものすごい中身の濃い展覧会であったのだ。
「下着」といっても、体(シルエット)を形作るファンデーションを主にしたものだが、有名なコルセットやバッスルなどに限らず、男性用や子供用、またふくらはぎや袖、肩など、「体型補整」の部位も多岐に及んでいて、書物などでも今まであまり見たことのないものも少なくなかった。
時代がどう変わっても、人間の衣服というのは、細くみせたいという欲望、誇示したいという欲望、この両面から成り立っているという意味では不変なのである。
「オートクチュール展」を見た後だけに余計に、衣服の原点にあるものを考えさせられる展覧会であった。
この2つの展覧会が見られたことはラッキーだ。まだ出張はスタートしたばかりだが、今回の最大の収穫かもしれない。
フランスという国の歴史や文化を少しでも感じたいなら、買い物するよりもやはり美術館に足を運ぶべきですね。
2013/07/06 03:46
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今週末から「モードシティ」
7月6日からパリで開かれる「モードシティ」(ランジェリー&ビーチウエアの2014SSコレクション)に向けて、いよいよ明朝出発となった。
今回は帰国後がいつにも増して超過密スケジュールとなっているため、手ぬかりなく準備万端に整え(といいながら、何かは忘れるのだが)、滞在先でも毎日仕事の整理に励むつもりだ。
体調管理も大切な「準備」の一つである。
さて、今回もいくつかの出展者からインヴィテーションメールや写真などが既に届いている。
下の写真は「Made by Niki」の2014SSコレクション。この1枚の写真からも時代の空気が伝わってくる。
素材展「アンテルフィリエール」から届いている2014-15秋冬シーズンのランジェリートレンドの全体テーマは、“happy is chic!”(evolution 〈edition21〉)。次の4つのテーマから構成されている。
1.SILENCE
2.OXIDISED
3.SUMPTUOUS
4.PLAYFUL
ファッションやランジェリー、つまり女性の心理をとりまくマーケットがどのように変化しているのか、いつものように足で歩き、肌で感じてくるつもりだ。
今回は日本からのおそらく唯一のプレスになりそうだし、帰国後のトレンドセミナーの日程も決まっているので、皆さまご期待を。
「モード・シティ 2013」トレンドセミナー 詳細はこちら
大阪:8月29日(木)
東京:9月10日(火)
2013/07/03 11:35
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プロフィール
武田尚子(たけだなおこ)
ジャーナリスト・コーディネイター
ボディファッション業界専門誌記者を経て、1988年にフリーランスとして独立。
ファッション・ライフスタイルのトータルな視野の中で、インナーウエアの国内外の動向を見続けている。
また、セミナー講師やコンサルタント業務も行っている。
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