« 前へ | Main | 次へ »
数値面から現状の立ち位置を知る。
まだまだ寒い日も続きますが、冬物の販売はひと段落といったところでしょうか。前々回「過去から学ぶということ」という題で、今シーズンの検証・反省するために必要な考え方をブログに記載させていただきましたが、今回は数値面からどういうことを検証すべきなのかを探ってみます。

一口にシーズンの検証・反省といっても色んな方法が考えられるので、今回は数値面からみるブランドの現状を知る方法をいくつか考察したいと思います。


・値入率(原価率)と粗利率の差を知っておく。

例えば、あるショップ・ブランドの年間売上が1億円として、それを売るために仕入れた商品の年間平均仕入値入率が60%(原価率40%)。最終粗利率が50%だとすると、年間OFF率が20%になります。

売価(上代)換算すると、売上金額の1億円に対して、粗利率が50%だということは、売上原価が5,000万円。5000万円の仕入原価を原価率40%仕入れると1億2,500万円の仕入売価(上代)をおこしたことになります。(消化率100%として)言い換えれば、2,500万円分の売価分、売上ベースより多く仕入れることができます。(売上売価金額の125%の仕入売価が可能ということです。)

OFF率=売価変更金額÷元(プロパー)売価
上記の例だと〜2,500万円÷1億2,500万円=0.20(20%)

これはどういうことを表しているかというと、値入率と粗利率の差がほとんどないということは、ほぼ、プロパー価格で商品を売ったということになり、値入率と粗利率の差が大きければ大きいほど、その金額を売るために余計に仕入をおこしたということになります。
上記に対して、在庫が残れば(残在庫ロス)更に余計に仕入れを起こしたということになります。(上記の例に習うと、年間売上が1億円の場合で残在庫ロスが5%だとすると、500万の在庫原価が残る。結果的に1億3,750万円の仕入売価(売上金額の137.5%)をおこしたことになる)

各会社・ブランドによって当然事情は違うと思いますが、予算計画段階で値入率(原価率)と粗利率の設定が行われていると思います。
そして、この計画そのものがブランド・ショップの特徴・指針をあらわしているともいえます。

例として、値入・粗利の差がないブランドはほぼプロパー販売を目標しているブランド。大きいブランドは年間のセール計画ありきで考えているブランドになります。

予算計画段階での、値入・粗利率の設定に比べ実績ベースで値入と粗利の差が大きい(OFF率が高くなってしまった。)ほど、何がおかしかったのかを具体的に探ることができます。(商品・MD運営能力・その他・・・)時間があれば、一度数字を出してみて検証みることをお勧めします。

(まとめ)
値入率ターゲットと粗利率ターゲットの差が大きい。
メリット→OFF率の設定が大きくなるので、より多く仕入点数を確保することができ、OFF施策がしやすく、粗利コントロールがしやすい。
デメリット→原価率を低く設定しなければならないので、商品売価と商品クオリティに説得を欠く場合がある。
代表的なショップ・ブランド〜GAP(推測です。)

値入率ターゲットと粗利率ターゲットの差が小さい。
メリット→原価率の設定を上げることで、納得できる商品クオリティを構築できる可能性がある。
デメリット→OFF施策がほとんど打てない。売れなくて、OFF施策を実行した場合粗利高は悲惨な状況になる。
代表的なショップ・ブランド〜鎌倉シャツ(推測です。)


・売上点数ベースの消化率はあまり意味がない。

よくこの業界でいう消化率なる数字はよく出てきますが、年間の検証でみる場合、点数ベースでの消化率はほぼ意味をなしません。もし、消化率を使うのであれば、

期間売上原価金額÷期間仕入原価金額です。

下記の例だと〜4,800万円÷5,000万円=0.96(96%)

例えば、年間売上が1億円で、年間売上原価金額が4,800万円(粗利率52%)で年間仕入原価金額5,000万円だった場合、消化率は96%になります。
(年間残在庫原価金額200万。年間残在庫ロス率2%)
消化率を検証する場合には、こちらの計算式をお勧めしますし、消化率の前に値入率と粗利率の差(想定よりどのくらい差があったのか)・OFF率を調べ、消化率の結果を併用することで、自分たちにとって都合のいい検証にはならないはずです。


・各年度の1点単価の比較

次に知っておきたいのは、各年度の1点単価の推移です。

1点単価とは   期間売上金額÷期間総売上点数


年間売上金額が1億円で総売上点数が1万点であれば、1点単価は1万円です。過去数年の1点単価を調べ、一番ブランドとして良かった時期の1点単価と今シーズンの1点単価はどのくらい違いがあるのを調べることは有効であると思います。
一番良かった年に比べ、特殊な事情もなく1点単価が±5%以上になっている場合は注意が必要ですし、±10%以上になっている場合お客様からみると、違うブランド・ショップになっていることと変わらないとも言えます。要はブランドコンセプト・指針がブレブレだということです。一度調べてみることをお勧めします。


以上いろいろ述べましたが、年間の反省・検証を行う場合上記3つの項目を組み合わせ「要因」を探ってみると、また別の要因が見えてくるのではと思います。但し、これはあくまで数値面という片側の側面からみた検証であるので、当然、現場を廻ったり、普段から消費者を観察したり、商品を直接触る・着用するなどフルに5感を活用した「感性」の検証も並行して行わなければなりません。

科学的思考で客観的判断ができるよう、見たくない現実から目をそらさないことが重要です。


https://www.facebook.com/masafumi.sato.777

本日はブログを閲覧いただき、ありがとうございます。
次回もどうぞよろしくお願い致します。
 2016/01/21 16:20  この記事のURL  / 

10年着られる服に関しての私感〜part1
そろそろ春物も店頭に並びはじめシーズンの「トレンド」の傾向などが、さかんに叫ばれる時期ではありますが、今回は全く逆の発想で「10年着られる服」についての私感を述べていきたいと思います。

そもそも「10年着られる服」っていうのは、時折雑誌等でも特集が組まれていると思いますが、そこに出てくるようなブランドの商品というのはたいがい高い商品ばかりで、いわゆる定番品といわれる商品が多数を占めています。当然、高いだけに使ってみると納得できる商品がほとんどですが・・・

私なんかが思うに「10年着られる商品」というのは、ブランドや商品・定番品という概念ではなく,要は消費者であるそれぞれ個人の「お気に入り」でいいじゃない!!ということです。違う見方をすれば自分が「10年着たい商品」とも言えます。
一過性のトレンドものなんかも、自分が「10年着たい」と思えばそういう商品も当てはまるということです。

但し、「10年着られる服」となると最低限の条件があるわけで、「10年着たい服」とは少し趣を異になります。

「10年着られる服」の最低限の条件は
・良い縫製である。・頑丈な生地である。
当然のことながらこの2つになります。そこには生産国・生地値などは全く関係ありません。日本製の物より、中国製の物の方が良いものがたくさんあるのも紛れもない事実です。高かろうが安かろうが、その商品をガンガン着倒して、洗ったりを繰り返していると値段だけじゃない、商品のクオリティそのものを見極める目が養われてきます。
そんな中、今回は私のクローゼットの中から私自身の「10年着られる(着たい)服」をいくつかご紹介したいと思います。

@80年代くらいの生産のCWU−45

これは私が昔いた会社の先輩から8年くらい前に譲りうけたものです。もともと加勢大周の時代からMA-1が好きということもあり、いろいろ探していたんですが、先輩がこれを着ているのを見かけて,その商品に一目ぼれしたということもあり、無理言って譲りうけたものです。当然軍物ですから商品は頑丈そのもの、このカーキの色あいも絶妙で、毎年ヘビーローテーションで着倒しています。うんちくかたると尽きないのでここでやめときますが、今後10年も着ていく服になるでしょう。

A古着のロゴ入りスウェット

昔からスウェットが好きでいろいろ持っているのですが、最近偶然古着屋で見つけた1品。1,800円でした。ロゴがダサいです。おそらく推定すると80〜90年代くらいの商品ですが、ブランド名もわかりません。ただ一応アメリカ製らしく、状態も大変良好です。(何度も洗濯しましたが、全然へたれません。)ネイビーに白ロゴってあるようで私自身が良いと思うものがなかなかないんですね〜これが・・・これも今後私の「10年着られる服」になることでしょう。

BDK madeのフランス軍テント地スナイプコート

これは私の親友でもある、(株)DK labo代表兼デザイナー加藤大輔氏の作品で10年ちょい前に、展示会で見て即買いした商品です。当時は珍しかったフランス軍のテントで使用している生地をそのままコートにしたという1品でした。生地は当然頑丈で固く、よくこんなの縫製したなと思う程のものです。工場のおばちゃん?は縫製するのが大変だったことでしょう。そんなことはさて置いて、着るととにかくかっこいい!!ということで、春・秋は毎年必ずこのコートを着てます。
但し、このコート注意点が1つだけありまして、このコートを着ていると、よく警察に職務質問をされるということです。どうやらこのコートを着ていると怪しい人に見えるようです。ただ、今後も着続けたい1品です。

その他にも紹介した商品がいっぱいあるのですが、次回以降のブログにとっておきたいと思います。

この業界では「トレンド」を追い続けることは大事なことではありますが、皆様もときには立ち止まって「10年着られる服」について考えを巡らしてみるのも、違う景色が見えてきて、何か新しい発見ができるのではないでしょうか。

私もいつか自分で「自分が着たい、10年着られる服」のブランドを立ち上げるのが、今後の目標の一つです。その目標を達成するためにも、今の仕事を「積小為大」の精神でコツコツと頑張って、いつかその目標を達成したいと思います。


このたびはこのブログを閲覧いただきありがとうございます。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
 2016/01/14 18:57  この記事のURL  / 

« 前へ | Main | 次へ »

プロフィール

マサ佐藤(佐藤正臣)

(株)エムズ商品計画・代表取締役

95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。
02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立ちあげをMDとして担当。
10年よりフリーランスとして活動開始。
シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。
その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。
企業へのMDアドバイスや文化服装学院で講義・また海外での講義等。
「お客様の側に立ち、人の役に立つ仕事をする。」
をモットーに、アパレル業界発展のため活動中。

株式会社エムズ商品計画
http://www.msmd.jp/


最新記事
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ
更新順ブログ一覧