« 前へ | Main | 次へ »
数量の壁は思っている以上に高い
先日、親交のあるフリーライターの南さんのアパログを読んでいると、以下の記事がありました。
「規模の論理」
http://www.apalog.com/minami/archive/1882

そして、この記事にはこのようなことが書いてあります。
”ユニクロはもとよりZARAだって「規模の論理」で成り立っていることは明白である。”

私も組織人時代、このことで多くの悩みを抱えることになりましたが、南さんのおっしゃていることは正論であり、間違いのないことです。そこで今回は、このことについて、この業界にいる若い人、または目指す人にも理解してもらえるよう意識して、記述させて頂きます。

そもそも、何故たくさん数量を作る、仕入れるとコスト(原価)が下がるのかというと?

@ 生産・製造
簡単に端折って言うと、経費。とくに固定費率を低く抑えることができるということです。固定費は、商品を製造しようが、しまいがかかる経費のことです。製造枚数が多くなればなるほど、商品1枚あたりの固定費が少なくなります。(製造コストが低くなる)また、同じ商品を大量に製造できれば、その分手間が省け、効率的に多くの枚数を製造することができます。

A 仕入(卸・小売)
小売側がある、卸メーカーから商品Aを仕入れる際、小売り業者Aは100枚の注文をした。小売り業者Bは、1000枚の注文をした。A社は卸価格100円で仕入れたが、B社は数が多いので、70円にしてほしいと言った。そしてメーカー側はその条件をのんだ。何故、そのような条件をのむのかというと?

(メーカー側から見れば)
A社  100×100枚→1万円の売上
B社  70×1000枚→7万円の売上


メーカー側からみれば、利益率はA社の方が高いですが、利益高でみれば、B社の取引の方が断然儲かるからです。

また、SPA(製造小売業)で自社商品を製造するとなると、こんなことが起こりえます。

”あるブランドAとBは、偶然にも同じ生地を使い、同じ工場で別のシャツを製造することになった。基本的には行程も手間も変わらないが、こんなことが起きた。”

〈Aブランド〉→シャツの製造枚数100枚。用尺は2メーター(用尺とは、シャツ1枚あたりに使う生地の長さ)。ということは?生地は4反(1反50メーター)必要なので、生地問屋から、1メーター1,000円で購入。工賃その他の経費は1枚2,000円だった。

〈Bブランド〉→製造枚数1万枚。用尺は2メーター.生地は400反分かかるので、生地問屋を通さずに、1メーター500円で同じものを作った。1万枚生産なので、@の論理で工賃は抑えてもらい、工賃その他経費は1枚1,200円だった。

そうなると、各ブランドの1枚シャツの原価は下記のようになります。

〈Aブランド〉→(生地1メーター1000円×用尺2)+工賃他2000円=商品原価4000円
〈Bブランド〉→(生地1メーター500円×用尺2)+工賃他1200円=商品原価2200円

AブランドとBブランドは、同じ生地・工場で行程が変わらないにも関わらず、原価で倍ほどの差がつきます。それだけ、数を多く製造できる企業・ブランドは、コスト面で圧倒的に有利になるということです。(規模の小さいブランドがコスト下げるために数量多く発注しても在庫が大量に残るだけ。)

このことが、少ない製造量のブランドに対して酷いことをしているのでしょうか?そうではありません。このことが南さんのいう「規模の論理」です。

そういった事情も理解せず、工場・メーカー側に大手と同じ工賃・生地値にしろ!!と声高に叫んでも、その行為は「製造業キラー」と呼ばれ、嫌われるだけでしょう。

では、このことをどう考えて。ブランド力を高め、お客様に支持を得るかは?とにかく知恵を絞りだすしかありません。それが、販売・PRも含めた戦略なのか?デザイン・パターンを含めたブランドの付加価値アップなのか?また、MDスケジュール・MD数値面を突き詰め、製造側との緊密な連携を図るのか?原価率を大幅に上げ、セールをしないビジネスモデルを構築するのか?

私には、答えは出せません。ですが、今書いたことも含め、すべての面で今以上に努力する。そして、新しい道を探る必要があるのでしょう。

但し、このことを行ううえでは、最低限のMDにおける数値の基礎が理解できていないと全く意味がありませんが・・・

ファッションMD・マネージャー講義「正羽村塾」生徒募集してます。(個人・企業等)ご興味のある方は下記連絡フォームより気軽にご連絡ください。
http://www.msmd.jp/service2.html

私の記事はフェイスブックからご覧になれます。気軽にフォロー・友人申請してください。
https://www.facebook.com/masafumi.sato.777
このたびはこのブログを閲覧いただきありがとうございます。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
 2017/05/30 08:00  この記事のURL  / 


« 前へ | Main | 次へ »

プロフィール

マサ佐藤(佐藤正臣)

(株)エムズ商品計画・代表取締役

95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。
02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立ちあげをMDとして担当。
10年よりフリーランスとして活動開始。
シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。
その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。
企業へのMDアドバイスや文化服装学院で講義・また海外での講義等。
「お客様の側に立ち、人の役に立つ仕事をする。」
をモットーに、アパレル業界発展のため活動中。

株式会社エムズ商品計画
http://www.msmd.jp/


最新記事
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ
更新順ブログ一覧