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産地とデザイナーの関係性を考える「Secori Book Vol1」を読んで


ちょいとおこがましい気もするのだが、広く読まれるところに書くことできっとご指導も受けられるやもしれぬという思いからちょいと書いてみるしだいである。

日本の繊維産地とデザイナーをつなぐことを目指す書籍「Secori Book Vol1」を拝読した。

Secori Galleryとは、
Secori Galleryとは「ノマドギャラリー」というコンセプトのもと、シーズン毎に異なる
会場で、様々なデザイナーと展示会を企画する「キュレーションプロジェクト」です。
(中略)
プロジェクトでは、海外での展示会を企画して日本のファッションデザイナーを招き「外
に発信すること」と同時に、"日本のものづくりとは何か" を生産者と一緒に考え、原点回
帰をすること。
この二つの活動を継続することで、日本のものづくりの創造に貢献できると思っています。


で、このプロジェクトから刊行された第1号の書籍が、同書である。

日本のテキスタイルは世界でトップレベルと言われてきましたが、多くのファッションデ
ザイナーがオリジナリティ富んだ日本のテキスタイルを充分に使用できていない現状にあ
ります。(中略)ロットの問題以外にも、産地の方々はデザイナーのことを深く理解する機会が少なく、デザイナー側も産地に足を運ぶことが少ないという、距離の問題があると考えています。
そこで『Secori Book』は紙媒体で刊行をして、産地のご紹介/取材と、デザイナーのご紹
介/取材をして、双方の理解を深めるサポートをするという目的があります。



議論の論点や内容、挙げられていた課題などには、目新しいものはなかったが、魅力的なキーワードや取り組みがたくさんあった。

私が気になったキーフレーズには以下のようなものがある。

ニットコンサルタントの田沼英治氏のインタビューの、「色んな地方から色んなデザイナーが出て、その地域の特色あるものを作」るのが「面白い(同書p.31)」というのや、
デザイナー Kimura Miyabiが自らの寄木細工を用いたプロジェクトに取り組むにあたってのモチベーション「どうHOME(=日本)に貢献し、それを自身の強みにできるか(同書p.42)」。
というのも、いわゆる「社会貢献性」が自分ゴトになっているデザイナーの視点など。


今どき、カッティングやパターンメイキングがどれだけうまくてもそれだけでは生き残れない。デザイナーさんたちは、本当に過酷な生存競争で戦っている。
だから、こういう視点も今後の生き残りのキーポイントになるに違いないと、希望を持った。自分の課題意識を強みに昇華させていけるデザイナーさん。
Honest By.のBruno Pietersは生産の「透明性」について。MATOHUは性急すぎるモノ・ことと人の関係性について。
先述の田沼氏の同書内の言葉にあやかれば、「社会と向き合う」デザイナーのこと。
単純に、ストーリーを呈示すれば消費者が感動して買ってくれるわけじゃない。

消費者が無意識に潜ませる社会(すなわち自分の住む世界)課題に対して、それを少しだけ揺り起こし、コタエを暗示させるブランドが今後生き残っていくんじゃないか。
(まぁ、それって、当たり前のマーケティングですね。)

自分の身の回りを見つめ、生まれ育った過程を見つめ、いったい何によって自分のファッションがかたどられ、彩られてきたのか。
Secori Bookのような書籍は、そういう「自己分析」のきっかけ、そしてお伴になるだろう。

パルコ内・ぴゃるこなどで販売しているとのことなので、私含め若い世代こそぜひお手に取ってほしい。
 2013/02/12 01:23  この記事のURL  / 

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