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私たちはなぜオシャレするんだろう? アーティスト・片山真理さんの「ハイヒールプロジェクト」
私がアーティスト・片山真理さんに初めてお会いしたのは、4年前の5月頃。

ウェブで見かけた両足義足+ハイヒール姿の真理さんに度肝を抜かれ、インタビューをご依頼して、茨城のアパートまで訪ねました。

『ハイヒール』(2012年)

なぜハイヒールを作ろうと思ったのか、いじめられていたこと、福祉における「装い」のこと、障がいのこと、家族のこと……
と、気づけば3時間。帰り道眺めた、ピンクとオレンジの濃密なグラデーションの空をいまでも覚えています。

すごい人がいる……!

「身長の調整、自由自在だよ」と自慢する真理さんは、圧倒的に輝いていて、帰り道には、ただただ純粋に憧れを覚えました。

特に、「いじめっ子たちに、意思表示をするためにオシャレしていた」という話には、「うらやましい」と思ったのです。

「いじめっ子たちは、私の言葉を何一つ聞こうとしない。じゃあ、言葉が通じないなら見た目で表現するしかない、と。それでちょっとわけの分からない格好して、真緑に髪を染めたり眉毛を全部剃ったり……超ミニスカートにして義足に絵を描いたりしていました。それはもう、めちゃくちゃ怒られました(笑)。」

何のために服を着たいんだろう? 何のために服にこだわっているんだろう? ファッション大好き(センスはさておき)なのに、その理由を見つけきれていなかった私は、自分の意志・主張を持って服を着る彼女に、ただただシンプルにキラキラとした「うらやましい」を感じたのでした。

ハイヒールプロジェクトは、「障がいがあることで、オシャレするという選択肢を持てない」という、福祉と装いを取り巻く環境に一石を投じる真理さんのプロジェクト。

オシャレを良いと思ってもいい/思わなくてもいい、という選択肢すらないーーそこで、「『オシャレしたいって言っても良い』と気づいてもらえたら」と、真理さんは両足義足を晒し、ハイヒールを履いて街、はてや海外まで飛び出しています。


ぜひ、プロジェクトについてのインタビューも読んでみてください!
両足義足でハイヒールを履くという選択 / アーティスト・片山真理さん


今回、発表から4年たって、あらためてハイヒールプロジェクトについて、衣服・介護シューズコンサルタントの岩波君代先生と対談を行いました。

→【対談】岩波君代×片山真理 人はなぜ、装うのか? ハイヒールプロジェクトから見える「オシャレ」する意味

さてここで、「みっともないのは嫌だから」レベルから、もうぜーんぜんファッションに興味がないという人、「オシャレ・スペクトラム」があることは前提のうえで、 そもそもなぜ、人ってオシャレしたいんでしょう?

けっこう長らく超・ぼんやりと考えていましたが、ときおり本を読みながらも、なかなかピンとくる答えが見つかりませんでした(難しくて…)。

先生は40年以上、義肢装具の現場や、障がい者の生活の中の装いについて見続けてきた方。
でもその40年以上の間、この装いと福祉を取り巻く環境は変わっていないそうです。

なぜその環境が続いているのかを探りつつ、じゃあ、ハイヒールプロジェクトのメッセージはなんだろうか、と先生が言い換えた言葉を聞いたとき、「なぜ人はオシャレしたいのか?」という、答えが見つかったように感じました。

「靴に限らず、人がチャレンジしたいことはどれも、『どうしてもしなきゃいけないこと』じゃないですよね。だからって諦めていったら、いまの自分からは抜けだせないんじゃないの? と。」

それを聞いて、あぁ、なるほど。人は本質的に「より良い自分」になる欲求を持っている。
外形という自己像もあくまで自分自身である限り、より良い自分になりたいっていう、ただシンプルな本能なんだな、って。
自己イメージへの関連を感じる強度や、じゃあどういう自分を「より良い自分」と思うかは、価値観でバラバラ。
だけど、単純に「より良い自分」を目指してるからかぁ、とストンと腹に落ちる感じがしました。

そう得心したとき、真理さんが言っていた言葉が、いよいよ生き生きと感じられるのです。

「両足義足の場合、パイプの長さを変えれば簡単に身長を伸ばすことが出来ます。ですが、ハイヒールのほんの数センチの高さは、それとは違う目線であると思います」

心の目線がくいっと上がる。オシャレって、ほんとすてきだなぁ!
 2016/02/22 13:16  この記事のURL  / 


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