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先生とわたし

 私事で恐縮だが、新聞記者になるまえは、大学の研究所で特別研究員をしていた時期がある。そのときの師匠が、文芸批評家・思想家として現在でも活躍中の柄谷行人先生だった。

 研究員といっても、雑用係のような仕事をしていただけであり、学問的にはまったく不肖の弟子だったに違いない。それでも、先生と弟子という関係は特別なものだ。第三者から見れば理解不能だろうけれども、いまでも先生に対する感情は特別なものがある。それは心酔とか、ましてや個人崇拝といったものとも違う。ある時期、何らかの運動(学問とは結局、ある種のムーヴメントだ)にともに参加した者だけが持つ信頼の絶対性とでもいうものだ。
 なぜ突然、こんなことを書いたかと、ついさっき本屋で柄谷先生の新著『世界史の構造』(岩波書店)を見つけたから。近々、刊行されるということは知っていたけれども、実物を手に取ると、やっぱり圧倒された。500ページを超える大著だったからだ。
 先生には代表作が多いが、とくに有名なのは『トランスクリティーク―カントとマルクス―』(批評空間)だろう。国内外に衝撃を与えた書物だった。ところが、トランスクリティーク以降も、先生の知的営みは止まるところを知らなかった。トランスクリティークで提起した「交換様式から社会構成体を見る」という構想の実践として、¥10¥年にわたる思索の結果として『世界史の構造』が出来上がった。
 ちょうど、わたしが研究員として仕えていた頃、その構想の一端を常に語っていた。頓珍漢な受け答えしかできなかったけれども、いくばくかは議論(とは言っても、居酒屋での談義がほとんどだったが)にも参加したことを思い出す。
 先生の本を読むと、そういった記憶とともに、最近は失いつつある学問的熱意を蘇らせてくれる。そういう意味でも、先生は、いまもわたしを指導してくれていると感じるのは、第三者から見ればおかしな振る舞いだろう。しかし、“先生とわたし”という関係の絶対性は、そういったものだ。人に理解してもらいたいとも思わないし、理解されたとしても、それは恐らく誤解に過ぎないだろう。(M.U)

2010年06月30日(水)  10:02  / この記事のURL

キング・オブ・ポップの夜

 週末、東京・西麻布のバーでマイケル・ジャクソンの追悼イベントにお招きいただいた。ファンではないが、すでに個人の好き嫌いの水準を超えてしまった存在。それに、会場の店は有名なジュークボックスがある。

一目拝んで1曲聴こうと出かけていった。ご覧の通り、いい感じに年季が入ったたたずまい。100円で2曲選べる。硬貨を入れてボタンを押すと、ドーナツ盤がプレーヤーに載せられる。シャトル織機をはじめて見たとき、その巧緻な動きに目を見張ったが、こちらはふんわりした動き。数秒の沈黙の後、スピーカーから流れてく少し籠もった温かい音が流れ出す。この「間」がいいですね。デジタルプレーヤー全盛の今、ちょっと音が聞こえないと故障かと心配してしまう。タイトルと全然関係ないまま終わります。すみません。
(S・T)

2010年06月29日(火)  10:08  / この記事のURL

インナーもセレクト

 ファッションの小売り形態といえば、いまや“セレクト”抜きには成立しないほど、スタンダードなものになっている。もちろんオリジナルの方が利益率は高いのだが、多様化する生活者を満足させるようなオリジナル発信を、常に発信し続けることは至難の業ではない。そこでオリジナル商材にバイイング商材をミックスさせることで、常に新鮮な店頭演出を可能とするのが、“セレクト”業態ということになる。

 ワコールが展開するショップ業態「アンフィ」はインナーアイテムが核になるが、周辺アイテムを広げることで“インナーのセレクト業態”の構築を図ろうとしている。その一環として秋冬に向けて「クッキーフォーチュンLOVE」ブランドを導入し、ルームウエアや小物などを展開。またインナーブランド「ラヴィアドゥ」との協業アイテムも差し込む。
 駅ビル立地には、雑貨などで様々な切り口でのセレクト志向のショップが林立する。そういった激戦エリアで、同社はアンフィ業態の積極拡大に乗り出す。

2010年06月28日(月)  10:00  / この記事のURL

コマ送りの織機

 タオル製造大手、ツバメタオル(大阪府泉佐野市)の工場を見学させてもらった。タオル工場を見るのは初めて。

この機会にタオルの織り方を理解しようと意気込んだが、高速で動いているエアジェット織機を見ても、何がどうなっているのかさっぱり。で、案内してくれた社員の方が工場長を呼んでくれた。タオルの経糸は、上部と下部の2箇所から供給される。それぞれの糸は、緯糸が打ち込まれるたびに、地組織とパイルを形成していく。この仕組みを工場長は、織機を瞬時動かしは止めるという面倒な操作を繰り返し、コマ送りのようにして見せてくれた。申し訳なかったので「良く分かりました」と口走ってしまったが、実は何となく分かった程度(工場長さん、すみません)。でも、何が分からないかは分かったような気がする。今度工場見学の機会があったら、もっと的確に質問できるはず。(IT)
2010年06月25日(金)  09:38  / この記事のURL

常識を覆せ!

 昔、都築紡績(現在KBツヅキ)からもらったバスタオルを愛用し、中国赴任のときも持っていたが、さすがに5年以上し、ぼろぼろになってしまったので、新しいのがほしいと思っていた。そんなとき、もらったタオルは浅野撚糸(岐阜県安八郡)が、おぼろタオル(津市)と開発した「エニータイム」。

 最大の特徴はなんと言っても大きさ。通常のバスタオルが約60×120センチの大きさに対し、約30×120センチとほぼ半分。それでも水分の吸水力は通常に比べ1・5倍以上高くふわふわしていて触り心地がいい。乾燥も早く、サイズが小さいことから、毎日洗濯しても邪魔にならない。
 しかも通常のタオルは洗濯すればするほど硬くなるが逆に柔らかくなるというから驚きだ。「常識を覆す」と話す浅野撚糸の浅野雅己社長。撚糸企業が「小売り」「ブランドを持つ」「タオルで軽さを追求する」など“非常識”に挑戦するのは、今の環境では常識を覆していかなくては「会社がつぶれてしまう」と述べる。すでに7万点のオーダーを受け、手応えをつかむ
(O)
2010年06月24日(木)  10:00  / この記事のURL