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東大阪市の不思議な魅力

 【大阪本社】歯ブラシからロケットまで――。大阪府東大阪市のモノ作りの多様性を指す言葉だ。同市には高度成長期には6000社を超える中小企業があったが、今では4000社弱までに減っている。
 それでも個性的な企業、世界に唯一の技術、商品を誇る企業が多いことは今でも変わらない。これまでもヘアピン世界シェアトップ企業や絶対にゆるまないネジを製造する会社、ボーイングの飛行機の部品メーカーなど多様な企業を取材してきた。毎回、個性的な社長が登場し、それぞれの技術レベルの高さや創業からのエピソードに感動することが常で、こんな企業が集まるこのまちの不思議な力を感じる。
 過日、同市近鉄河内小阪駅近くの縫製業、イワサキを取材しまたも驚かされた。同社は店頭価格5万円以上の有名ブランド婦人服の縫製を専ら手掛ける。驚いたのは「繊維ニュース」紙面でも散々、縫製業の人材不足、高齢化を指摘し続けているにもかかわらず、同社では毎年10〜20人を採用しており、しかも従業員は20、30代の若手ばかりなのだ。現在、従業員は85人、今月また新たに10人ほどが入社する。
 その理由は社内に職業訓練学校を併設していることにある。仕事をしながら、縫製技術を徹底的に教え込み、国家資格の洋裁技能士2級、1級が取れるまでにするというわけ。実際に難関資格の取得者を当たり前のように毎年輩出している。従業員は北海道から沖縄まで全国から集まり、隣接する社寮に住み込み毎日無心で技を磨く。
 その結果、工場は常に人員数を確保し、そのうえ技術水準も極めて高いレベルを維持している。印象的だったのは工員らの志をたたえた真剣な眼差しだ。昨今の国内縫製の縮小ぶりを思うと、彼ら一人ひとりが資格取得後の職人としての活躍することが国内縫製にとってどれほど貴重なものかを感じざるを得ない。誰に聞いても縮小するという国内縫製だが彼らはそのなかで数少ない技術継承者として今後の日本の縫製の未来を紡ぐ技術者になるだろう。(学)
2016年03月02日(水)  10:00  / この記事のURL