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神農祭

 【大阪本社】大阪本社からほど近い、大阪市中央区の道修町(どしょうまち)は薬問屋の町として知られる。豊臣時代に、薬種取引の場として薬種業者が集まったことに始まる。江戸時代には、幕府が道修町の薬種屋100数件を株仲間として唐と和の薬種の適性検査をし、全国へ売りさばく許可を与えたことから繁栄した町である。そのため、現在も道修町には薬を扱う会社が数多く軒を並べる。
 道修町のビルの間に2間ほどの間口の少彦名(すくなひこな)神社がある。人命にかかわる薬を扱うことに難しさを感じた当時の人々が、日本医薬の祖神である少彦名命を京都から呼んで祀ったのが始まりとされる。この町らしい神社なのだが、「えっ? こんなところに神社?」と驚くほど小さく、見落としてしまいそうになる。だが、入ってみると実は、立派な拝殿がある。大阪の“止めの祭”とされる神農祭は、この神社のお祭りだ。
 神農さんと呼んで親しまれるこの祭りでは、張り子の虎を五葉笹につるして授与されるので、これを手にした人でにぎわう。文政のころ流行したコレラを鎮めるために作られた虎の頭蓋骨などを入れた丸薬が効いたことによる。
 11月末、道修町を自転車で走っていたら、献灯提灯が立ち並び、笹にくす玉が飾られ、祭りの準備が始まっていた。それを横目に、今年も終わりか……と思う。そういえば、大阪で育っても道修町という字が読めない若者が増えたという昨今、こんな文化も知る人がだんだん少なくなるのだろうな……などと、大阪人としては、少し寂しさを覚えた。
(陽)
2015年12月24日(木)  10:00  / この記事のURL